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藤の咳丸の、LINE来給ひて|枕の掃除

深夜、特に目的もなく方々をぶらぶら巡回していたら、「頭の弁」よろしく、山友の藤原咳丸より仕事終わりのLINEきたる。

咳丸:「しごおわ~」
咳丸:「三徹~。今回はマジでやばかった」
咳丸:「もうボロボロ、マジ無理っす」

などと、丑の頃まで与太話の応酬をせし。
疲れたるなら、風呂に入り一杯引っ掛け、早く寝ろし。
されど、明日の山行は忘るるな、と念押しして散会したり。

さて、つとめて、風邪引きの絵文字ひき重ねて、

咳丸:「風邪引いたっぽくて、なんか熱っぽい」
咳丸:「すまん、今日の山、延期せん?」

など云ふ電子文きたる。
あわせて、

 これやこの
 堅きせき所を 越え往けど
 行くに行かれぬ 病床のせき ──藤原咳丸

など、どこぞの「蝉」気取りで、ちょっと雅ふうな歌送らるるは、いとわろし。逢坂の関より、むしろ己が咳こそ憂く思へし。

お返しに、

清酒:「さては、夜更けまで深酒などせしやあらむ」
清酒:「ならば、その二日酔いは、百薬の長にも治せまい」
清酒:「お気の毒だね」

と、突き放せしも、また返事が来て、

咳丸:「ちげーし。中国の関には非ず、日本の酒なり。もはや峻別できん」
咳丸:「とにかく、重い咳が止まらぬ。どんな名医も薬も効かないレベル」
咳丸:「これヤバいんじゃね?」

と、いと気弱げなり。
三徹の、達筆でも明晰でもなきせき所論争、ここに極まれり。
仕方なく、さらに返す。

 夜をこめて
 龍角散を ためせども
 余に咳丸のせきはとめらじ ──清酒納言

清酒:「その妙酒は、さぞかしよく効く百薬の長にありけむ」

これ書きつくりければ、間髪入れずレスあり。

 わがせきは
 大そう重き せきなれば
 龍角散にも ごほんといふとか ──藤原咳丸

咳丸:「清酒、げに冷たし、マジで」

その後、未読のまま、つひに絶えにけり。

清酒と云はば冷やにあらむ。肴は炙った烏賊なりけむ。まいて、一味マヨの連ねたるは、罪深くて、いとをかし。まさに赤提灯界隈の三蹟ならむ。

など、本家枕の「関」のくだり思ひ起こされて、宮中浪漫に同じ型なれど、などか饐えた臭ひありや。まいて、このやり取りのをのこ同士なるこそ、いとあやしけり、烏賊なれば。

かかるやり取り、いとすさまじく、もはや捨ておきたしと思ひけむ。
ていうか、もう大人しく寝てろし。

さすれば、仕方なし、ポカリなど持ちて訪ねてやらむ、でもなし、と思ひけり。

 これやこの、「行くも帰るも」てか?

#清少納言 #枕草子 #擬古文 #文学的実験 #逢坂の関 #函谷関 #和歌ごっこ #LINE文学 #赤提灯 #頭の弁 #まったく爽やかじゃないポカリ


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