名前にまつわるエトセトラ#6
仮初めの名前である源氏名でも何でも、人に晒す名前というものは重要なのではないか?と常日頃から感じている。親から与えられた本名と違って、仮初めの名前は自分でつけるものが大半だからだ。
バンド名もしかりである。
男に生まれたのであれば、一度は考えるであろうナニのサイズ。
それを噯にも出さずにバンド名とした奴らが、かつて英国にいた。
それは70年代の英国パンクバンド「The Buzzcocks(バズコックス)」だ。
日本語で言うならば「デカチン達」「デカマラ達」「巨根達」である。
「Sex Pistols」「The Damned」「The Clash」の3大バンドの次席のバンドだ。(3大なんちゃらって表現は実はあまり好きではない...)
創設メンバーのピート・シェリーとハワード・ディボート(デビューしたらすぐ辞めた)が「Sex Pistols」のギグの帰りに雑誌タイムアウトの書き出し「It's the buzz,cocks」から名前をつけたらしい。
しかし、「Sex Pistols」に影響を受けて、社会を挑発するような名前を付けたかったのだろうが「巨根」とは大きく出たものだと思わざるを得ない。
自分たちで「巨根達」と名乗るということは、ある程度はモノに自信があったのではないだろうか?
4人組のバンドだったら、「短小」が一人いても不思議ではない。デカチン・デュオならいけそう気がするが、デカチン・バンドとなると難しくなってくる。
「巨根達」はメンバーチェンジもあったから、新メンバーが加入する際に「俺、実は粗チンです。すみません...」みたいなことがあったんじゃないだろうか。
それ以前に、「楽器できるし、入りたいけど粗チンだから僕、止めときます...」もいたんじゃないかと思ってしまう。
それどころか楽器もできないくせに「俺、デカイっす」で人気バンドに入ろうとした輩もいたかもしれない。
そして、人気バンドには、取り巻きの女の子が付き物だ。その子とワンナイトなんてこともあるかもしれない。
要らぬ心配なら良いのだが、そんな時にもし粗チンメンバーだったら、女の子にリークされて「巨根達を名乗るバンドのメンバー、実は粗チンだった!?」とタブロイド紙の紙面を飾ること間違いなしだ。
逆に「巨根達」を名乗って全員「短小」だったら、それこそ社会に食ってかかるパンクロックスピリットに溢れているのかもしれない。
「巨根達」と書いていたら、的場浩司さんがやっていた「炎達(ファイヤーズ)」ってのがいたなんてことを思い出した。まあ、聴いたことことはない。
名前で随分と茶化してしまったが「The Buzzcocks」って実はマンチェスター音楽シーンの最重要バンドだ。
彼らがいなかったら、「Joy Division」そして後の「New Order」のようなポストパンクバンドは誕生しなかっただろうし、彼らが属したFactory Records(マンチェスターのインディーズレーベル)も生まれなかっただろう。その後のモリッシー率いる「The Smith」、マッドチェスタームーブメントの重要バンド「Happy Mondays」「Stone Roses」だっていなかったはずだ。ということは、二言目にはすぐF××kと口走る兄弟の「Oasis」だって誕生しなかった可能性もある。
詳しくは映画「24 Hour Party People」を見てもらえばすべてわかる。
でも、あの世に行ったら、「The Buzzcocks」のピート・シェリーに聞いてみたいことはこれしかない。
「歴代メンバーってみんな巨根でしたか?」
名は体を表す。それ故に重要だ。
おしまい

本当のところは、buzzは本来、蜂がブンブンと音を立てると言う意味なので、「やかましい」が正しいのかもしれない。cockはまあチンポで差し支えないだろうから「やかましいチンポ達」が正解じゃないかと思う。
でもバズコックスの話をすると、大半の人は「デカチン達」と言うからそれもあながち間違いでもないのだろう。海外の人もそう言ってたからそう言う意味もあるはずだ。
たぶん様々な意味が込められているはずだ。
馬鹿げていて、意味深で、卑猥で、挑発的。
最高の名前だと思っている。
