全東信の倒産で、世の中に何が起きるのか
クレジットカード決済代行会社の「全東信」が倒産した。
負債額は報道によって少し差があるものの、1000億円を超える規模。
今年最大規模級の倒産とも言われている。
ただ、正直このニュースを見ても、
「全東信って何?」
「自分には関係なくない?」
「決済代行会社が潰れただけでしょ?」
と思った人も多いと思う。
でも個人的には、これはかなり重要なニュースだと思っている。
なぜなら今回の倒産は、単に一つの会社が潰れたという話ではなく、
お店の売上
銀行の貸付
キャッシュレス決済
中小企業の資金繰り
にまで影響する可能性があるから。
全東信は何をしていた会社なのか
まず、全東信がやっていたのは、簡単に言うと、
クレジットカード売上の早期入金サービス
のようなもの。
普通、お店でお客さんがクレジットカード決済をしても、そのお金がすぐにお店へ入るわけではない。
カード会社からお店に入金されるまでには、一定のタイムラグがある。
でも、飲食店や夜のお店などは、毎日の支払いがある。
家賃。
人件費。
仕入れ代。
光熱費。
借入返済。
つまり、売上は立っていても、入金が遅いと資金繰りが苦しくなる。
そこで全東信のような会社が、
「本来まだ入ってこないカード売上を、手数料を取って先に払う」
というサービスをしていた。
ざっくり言えば、
売上の前借り
に近い。
専門的には、ファクタリングに近い仕組みとも言える。
まだ受け取っていない売掛金を、手数料を払って早めに現金化するということ。
資金繰りが苦しいお店にとっては、かなりありがたいサービスだったと思う。
なぜ利用する店があったのか
今は、楽天ペイ、Square、Airペイ、PayPayなど、安くて便利な決済サービスがたくさんある。
だから普通に考えると、
「なぜわざわざ手数料の高いサービスを使っていたの?」
と思うかもしれない。
理由はいくつかあると思う。
まず、大手の決済サービスの審査に通らない店舗があった可能性。
特に夜のお店や一部の飲食店などは、審査や業態の問題で、メジャーな決済サービスを使いにくいケースもある。
次に、早期入金への強いニーズ。
お金が翌月に入るのでは間に合わない。
今週の仕入れ代が必要。
従業員への給料を払わないといけない。
こういう状態だと、多少手数料が高くても、すぐに現金が入るサービスを使いたくなる。
そしてもう一つは、情報リテラシーの問題。
今ならもっと安くて便利なサービスがあるのに、昔から使っているからという理由で、比較せずにそのまま使い続けていた店舗もあると思う。
これはかなり怖い。
ビジネスでは、
何となく昔から使っている
が一番危ない。
手数料も、契約内容も、入金サイクルも、会社の信用力も、本来は定期的に見直すべきだと思う。
なぜ倒産したのか
全東信が倒産した理由は一つだけではないと思う。
報道を見る限り、
コロナ禍で飲食店や夜のお店が大きなダメージを受けたこと。
加盟店側の売上が落ち、サービスの前提が崩れたこと。
金融機関からの借入が重くなったこと。
そして、粉飾決算の疑惑まで出ていること。
こうした要因が重なった結果、資金繰りが限界に来たのだと思う。
このビジネスは、かなりお金の流れが重要。
お店に早くお金を払うには、全東信自身にも資金が必要になる。
つまり、金融機関から借りる。
加盟店の売上を回収する。
手数料を取る。
また次のお店に立て替える。
この流れが回っているうちはいい。
でも、どこかで資金調達が止まったり、加盟店の売上が減ったり、金融機関が警戒して融資を絞ったりすると、一気に苦しくなる。
まさに血液が止まるようなもの。
決済代行会社にとって、資金繰りが止まることは致命的。
今回の倒産は、その構造が一気に表面化したように見える。
影響① 店に売上が入ってこない
一番大きな影響を受けるのは、全東信を使っていた加盟店だと思う。
お客さんはすでにカードで支払っている。
でも、その売上金がお店に入ってこない。
これが起きると、お店は一気に資金繰りが苦しくなる。
特に飲食店は、もともと利益率が高い業種ではない。
毎月の家賃、人件費、仕入れ代、光熱費が重い。
そこに数十万円、数百万円、場合によってはそれ以上の入金遅れが起きたら、かなり厳しい。
最悪の場合、
全東信の倒産をきっかけに、加盟店側も連鎖倒産する
可能性がある。
これはかなり深刻だと思う。
倒産したのは全東信だけでも、その影響は取引先に広がる。
これが企業倒産の怖いところ。
影響② クレジットカードが使えない店が増える可能性
今回の件で、全東信を使っていた店舗は、別の決済サービスに切り替える必要が出てくる。
ただ、すぐに全店がスムーズに切り替えられるとは限らない。
審査がある。
契約がある。
端末の入れ替えもある。
入金サイクルも変わる。
その間、一時的にクレジットカードが使えなくなる店も出てくるかもしれない。
特に夜のお店や小規模な飲食店では、
「カード決済停止」
「現金のみ」
「別のQR決済だけ対応」
みたいな対応が増える可能性もある。
つまり、消費者側にも影響はある。
普段行く店でカードが使えなくなる。
会計時に現金を求められる。
お店側がキャッシュレス対応を見直す。
こういうことは普通に起こり得ると思う。
影響③ 金融機関にも損失が出る
今回の倒産で影響を受けるのは、店舗だけではない。
全東信にお金を貸していた金融機関にも影響が出る。
報道では、複数の金融機関が多額の貸付をしていたとされている。
もし回収できなければ、銀行や信用組合などに損失が出る。
もちろん、大手金融機関なら一社の倒産だけで即危機になるわけではない。
でも、地域金融機関にとって数十億円、数百億円規模の貸し倒れはかなり重い。
しかも、今回のように粉飾決算疑惑まで出てくると、
「なぜ見抜けなかったのか」
「審査は適切だったのか」
「担保は取れていたのか」
という問題にもなる。
これは単なる決済会社の倒産ではなく、
金融機関の与信管理の問題
にもつながると思う。
影響④ 決済代行業界の再編が進む
今回の件で、決済代行業界への信頼も揺らぐと思う。
加盟店からすれば、
「決済会社が潰れたら、自分の売上はどうなるのか」
という不安が出る。
だから今後は、より大手の決済サービスに流れる店舗が増えると思う。
楽天ペイ、Square、Airペイ、PayPay、カード会社系のサービスなど、知名度が高く、資本力があるところに切り替える動きは強くなるはず。
一方で、同業他社にとっては営業チャンスでもある。
全東信を使っていた店舗に対して、
「うちに切り替えませんか」
という営業が一気に増えると思う。
少し言い方は悪いけど、倒産した会社の顧客を取りに行く動きが出る。
ビジネスとしては当然。
でも、利用者側は焦って契約するのではなく、手数料、入金サイクル、運営会社の信用力、サポート体制をちゃんと比較した方がいいと思う。
影響⑤ 「一社依存」の危険性が広く認識される
今回の件で一番大きな教訓は、
一つの会社に依存しすぎるのは危険
ということだと思う。
決済サービスもそう。
取引先もそう。
仕入れ先もそう。
集客媒体もそう。
SNSアカウントもそう。
ビジネスにおいて、何か一つに依存しすぎると、それが壊れた時に一気に終わる。
全東信を使っていたお店も、複数の決済手段を持っていれば、ダメージを抑えられたかもしれない。
もちろん、小さなお店がすべてを完璧に分散するのは難しい。
でも、
「この会社が止まったら、自分の店はどうなるか」
という視点は持っておくべきだったと思う。
これは決済だけの話ではない。
会社員でも同じ。
副業でも同じ。
投資でも同じ。
一つの収入源。
一つの取引先。
一つのサービス。
一つのプラットフォーム。
そこに依存しすぎると、何か起きた時に一気に詰む。
今回のニュースは、そういう意味でもかなり学びが大きい。
僕たちに関係あるのか
一見すると、このニュースは飲食店や夜のお店、金融機関だけの話に見える。
でも、実は一般人にも関係あると思っている。
キャッシュレス決済は、もはや生活インフラになっている。
コンビニ。
飲食店。
美容室。
病院。
ネット通販。
サブスク。
あらゆる場面で決済会社が間に入っている。
つまり僕たちは、普段意識していなくても、決済インフラにかなり依存している。
その裏側で何かが壊れると、お店の売上が止まり、銀行に損失が出て、消費者の支払い手段にも影響が出る。
今回の全東信の倒産は、
お金の流れが止まると、社会は一気に不安定になる
ということを見せた出来事だと思う。
まとめ
今回の全東信の倒産は、ただの一企業の破産ではない。
影響はかなり広い。
加盟店には売上未入金のリスク。
飲食店には資金繰り悪化のリスク。
金融機関には貸し倒れリスク。
決済業界には信用不安と再編。
消費者にはカード決済停止の可能性。
そして社会全体には、
決済インフラに依存するリスク
を突きつけた。
個人的には、今回の件で一番大事なのは、
便利なサービスほど、その裏側のリスクを見ないといけない
ということだと思う。
早く入金される。
手軽に使える。
昔から使っている。
周りも使っている。
そういう理由だけで一つの会社に依存しすぎると、何か起きた時に一気にダメージを受ける。
これは店舗経営だけではなく、個人の人生にも同じことが言える。
一つに依存しすぎない。
情報をアップデートする。
手数料や契約内容を見直す。
リスクが起きた時の逃げ道を用意しておく。
今回の全東信の倒産は、その重要性をかなり分かりやすく示したニュースだと思う。

