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中学受験で悲しいパターンにならないために(主にサピ)

<アプデ感想>

下記はもう7年も前の記事です。サピックスの功罪について述べていますが、今ではこれがグノーブルをはじめ、四谷大塚も同傾向を追従し、中学受験はさらに群雄割拠の時代になっています。これ以上は、子供の負担も限界に近く、そこまでしても得られるリターンは相対的に小さくなってきて、中学受験が「おいしい」ものにはならなくなる可能性があります。

最大大手だから、合格実績がいいから、という触れ込みだけでとりあえずサピ、というのは止めておきましょう。サピが育ててくれるなら良いのですが、そうはならないのが中学受験の難しいところです。

そのような「後悔しないため」の講演を来る2月22日、代々木にて下記のように行いますので、よろしければどうぞ。youtube配信やブログでは出せない本音の部分をお話していきます。

詳しくはお受験ブルーズの記事もご参照ください。

2月22日お受験軍議→ライブのご案内

<以下記事>

 関東の中学受験では、サピックス、四谷系(早稲アカなど含む)、日能研と大きく分けて3大大手が君臨している状態です。これに、近年勢いのあるいくつかの個人系の塾があります。


 今年も中学受験本番を迎えようとしていますが、やはり3割から4割くらいの方は、思ったほど伸びなかった、伸びたという実感は一度もなかった、という感覚を持って本番に臨まれることと思います。


 ただ、これがことサピックスの話になると、その率は5割を超えるかと思います。サピが今年も最強であり、最高の実績数を出してくることは間違いないとは思いますが、その一方で、塾の内部で生徒たちの思考力を「伸ばせているか」と考えると、僕の目からは正直、疑問に思えるのです。


 サピックスのカリキュラムは、業界のスタンダード四谷を10とすれば、お世辞抜きで100のパワーを要します。(参考までに、早稲アカは20、日能研は8。当然、コースやクラス、先生にもよる)

 ですから、仮に半分くらいしかこなせなくても、50のパワーがあるので、名門校には受かります。最上位クラスであるアルファクラスにいる子でも、カリキュラムが6割くらいしかこなせていない子も多いです。


 最近の僕の中学受験の案件は、7割くらいがサピックス関係です。一昔前は8割から9割だったこともあるので、このブログに集う方は、同調圧力から解けた部分もあるのかなと思っています(笑)


 個人的に家庭教師という仕事は、いろいろな地域のいろいろな塾を見て、僕の場合は大学受験まで可能なので、さらにいろいろな進学先の生徒さんのその後をみることになります。

 そのうえでの比較検討を僕の中で繰り返し行っています。


 そのうえでやはり面白いのは中学受験ではあるのです。また、中学受験をしっかりやってさえいれば、生涯の確固たる学力や知性の土台はできるし、粘りや継続力の練習、自己参照にもなり、いろいろと良い刺激が多いです。


 中学受験は、「これをすべき」というある程度の型が固定されていまして、小4くらいからの数年と期間が比較的短く、到達すべきゴールもあまり差はありません。

 これが大学受験ですと、日東駒専レベルと東大を比べた場合ですら、天と地の差がありますし、目指す場合は全くやり方を変えねばなりません。文系と理系、私立と国立でもやり方はかなり違います。


 その差は、中学受験の開成筑駒と中堅校程度における差、とは全く次元が違います。中学受験の各生徒間の違いなど、僕からみればちょっとした差に過ぎません。そのちょっとした差を見逃したり、甘さで流され続けて大きな差になるにすぎません。


 ですから、たとえ御三家といわれる学校に行けなくても、その後でいくらでも中学受験で空いた差は埋めることができます。(高校受験では、一度とった内申は消せないので、そのへんは厳しい。また小学から中学の差なので如何ともしがたいものがある)


 そのうえで、その「ちょっとしたこと」が、中学受験の現在進行中のご家庭ではなかなかわかりにくいのだろう、という見解も僕は持っています。冷静になれば当たり前のことも、なかなか普段から気を付けたり、改めて気づくのは難しいようです。

 ましてや、ある一つの塾に通っていては、当然に他のことは見えにくいわけです。


 ここ数年、気になっているのは、サピの子が以下のような性質に陥りやすく、その場合、中位くらいのクラスから上に一度も行けない、落ちると復活できない原因になりやすいです。これは他塾でも上位に伺うのに、大いに応用のきく見解だと思いますので参考になさってください。



・図を書かず、方程式的な「式」で済ませる。解法暗記に走りやすく、思考力が伸びにくい

 ……最も気になるのはこれです。他塾の子に比べて圧倒的に図やグラフ、ダイヤグラム、表などを書く頻度が低いです。


 これは、ちらりとは10年前くらいから感じてはいました。でもま、それは子供の個性や面倒くさがりなところからくる個人的差異だと思っていたのです。が今は、どうもそうではなく、塾のカリキュラムの影響なのでは、と疑っています。ひっかかるところが判を押したように同じなのです。


 日能研や関西系の指導をする個人塾の子たちは、成績層が下でもよく図を書いています。その習慣があれば、中学以降に伸びやすいです。


 図を書かないと、まず算数ができなくなるのですが、それ以上に深刻なのは、方程式もどきを乱用(濫用)するところです。


 比を①などとおいて解くのは今や常識ではあるのですが、それが行き過ぎて何でもかんでも①や△でおきまくり、消去算的処理(中学の連立方程式)で解いてしまいます。


 まあ、昨今の中学受験では、そうしないと手も足もでないものがあり、しょうがない部分はあります。が、サピではどうも、それを授業で使う頻度が多いと感じます。


 僕は元々、自分の中学受験では、市販の「力の5000題」や「応用自在」などで学習し、そこでは灘の算数を意識した関西流。プロになってからは四谷を基準にして教務力をつけてきました。それがここ10年は、サピが基準になりつつあります。


 サピを基準にすると、まず逆算の頻度が増えます。

 例えば、<1,3、5……>のような等差数列で99が何番目ですか、と訊かれたとします。

 僕ならば、「99-1=98で、2が98÷2=49回足されている→(植木算的に間を考えて)50番目」と論理を追いながらイメージを使い、サクッとやります。

 

 でも、サピの子は、これを1+□×(2-1)=99の逆算を用いる子が多いです。これは、公式を暗記→その逆算、としているわけです。このパターンがいろんなところに見られます。さすがに(僕の嫌いな)速さの「は・じ・き」は少ないですが。


 まあ、この程度ならどっちでもいいですが、論理を丁寧に追って、「なぜこうなっているか」を完璧に使いこなしている僕の前者のやり方ですと、イメージも作れ、論理的に強くなっていきます。


 この説明を僕が授業でする場合は図を書き、丁寧にします。ですが、これを小4くらいの小学生にわからせるのはなかなか大変です。こちらの根気が要りますし、図を前に書くと、それを写す子供のスピードに差が生じ、授業スピードが落ちてしまいます。


 サピはそこを端折って、たくさんの問題数をこなす方に重きを置いているように感じます。それはそれで受験戦略としてはアリなのですが、万事この感じなので、結果として、図などをあまり使わない子が多くなっています。


 そして、ここがポイントなのですが、それでもサピの上位層には図やグラフを自分で書くし、思考力を自分で深めている子が多いです。

 結局、言われなくても書く子が上位で安定している現実があるのですが、それが中位以下の子にはわからないのです。(クラスも違うし)


 サピはそのあたりが自由で、特に塾から「絶対書け!」というような厳しい指導はありません。それがゆえに、子供には居心地の良い場所になりやすいです。サピを嫌がる子は、下位層でも驚くほど少ないです。

 厳しくて子供が嫌がるところの方が、子を結局は伸ばしている現実はあると思います。


 自由とは恐ろしいことです。宿題も最近でこそやっと「クラス内昇降」で点数化して、強制力を設けて、下位クラスには特にさせるようになったようです。

 が、それをすると、サピの最大の武器・良さである「自主性のある子だけが大きく信じられないくらい伸びる」点も失われることにもなります。

 たまーに、ごくごくたまに(笑)、自主性に目覚め、大きく伸びる子が出るのもサピの良いところです。自分からきつい中学受験に挑める子は、相当な精神的老成を成しています。それを促すには、ちょっとやそっとの刺激では不可能です。サピくらいの厳しさがいるのです。


 僕としては、サピは王者として今の路線を維持し、将来の日本をリードするぶっちぎりの超がつく天才をバンバン輩出してくれれば良い、そのための塾であればいい、と思っています。

 ついていけない子は、別に他塾に移ればいいわけですし(サピ→他塾なら余裕で大体ついていける)、自主性のない凡才を無理くり伸ばすのは他塾や昔ながらの塾もやっているわけで、同じことをやっていてはオリジナリティ、ウリがなくなります。

 

 自主性のある天才・秀才をどんどん伸ばすのはサピ、という立ち位置で良い気がしていますし、親御さん方もそれを理解して通塾させるべきでしょう。


 まあ、現状ではさすがに中位以下を切り捨てすぎているのを先生方も感じているのかもしれませんね。少子化も極まってきましたし、もう少し価格を上げ、少数精鋭制にするか、他塾のようなフォロー体制を充実させるかのどちらかの選択は、サピでも数年内に迫られると感じます。


 上位層でキーとなる、ダイヤグラムも小6で1回の授業をまるまるそれに充てる素晴らしいカリキュラムがある(他塾でそれをしているのは、中野などにあるジーニアスくらい)のですが、そこでダイヤグラムを自分で書くようになる子は、その時点ではもういなくなっています。

 勝手に自分で書く2割程度の子が上位に行くだけ、ますます差が開く、という現実があります。


 中位以下の子は、図を書く習慣がなくなり、頭の中だけで式も書かずに解こうとする子が多くなります。大体、小5の中盤あたりから伸び悩むパターンに陥ってきます。図も式も書かない凡才が、どうして図も式も書く上位クラスの子に勝てましょうか。まずは、その辺でイーブンにしてから勝負しましょう。


 イメージをもってどんな問題も「なぜそうなっているのか」を理解することをサピの方は特に、その他の塾の方も現状よりさらに上に行きたい方は心がけましょう。小4くらいからやっていないと、身につかないきらいもあります。



・プレッシャーに弱いと治らない

 ……これも気になっていることの一つです。サピはクラス分けが激しく、一旦クラスが落ちると浮上するきっかけがつかみにくい(テストが全員同じすぎる。例えば日能研なら上位→応用と中位以下→基礎の区別などがある)ので、皆さん必死になります。


 これが毎回のクラス分けテストで、プレッシャーでガチガチになって、ケアレスミスを繰り返す子を作ります。そういう子は、いや親子ともども、毎回のテストに競走馬のように視野が狭くなって挑んでいくので、長期的な視野が持ちにくいし、長期的戦略ができません。


 すると、毎回、付け焼き刃を繰り返すことになって、結局はケアレスミスだけに気を付ける状況になる→気を付けなきゃと力む→ケアレスミスをする→付け焼き刃を次のテストにも……、となり、じわじわと成績が下がってきます。


 そういう子のお母様ほど、ケアレスミスをみかけると角が生えてくるように見えます(笑) 子にとっては余計にプレッシャーになってしまいます。挙句、子供が点数だけを気にするようになってしまうと、悲劇の始まりとなります。


 厳しく怒りすぎる家庭ほど、子は隠し事が増えていくものです。(老子も似たようなことを言ってました。孫子や老子などの哲学書をお母様が読むのもおススメします)子を想っての行動だとは思いますが、アウトプットの仕方は気を付けましょう。


 ケアレスミスは十分な学力と理解があれば、減るものです。「1+1」を間違える人はいません。そこに注視せず、目先のミスだけを気を付けていては、どんどんできない問題は増えてきます。時間も迫ってきて、大きな変革は起こせなくなります。

 ケアレスミスにせこせこ気を付けるより、論理や思考、文章的な理解の方に注意を向けたほうがうまくいきやすいです。


 プレッシャーに弱い子はさらに可哀想で、じわじわと点数が下がってくるので、褒められたり自信をつける機会にも恵まれず、弱いまま本番を迎えることになります。不憫に思えます。



・単純計算力が遅い、速くならない。国語が弱い場合、絶望的に伸びない

 ……数年前から、基礎トレと呼ばれる毎日の課題が難化しました。特に小5くらいから難度が跳ね上がり、「どこが基礎やねん」と毎日、子供がひーひー言いながらするようになります。


 計算力の基礎は、単純な暗算の繰り返しです。どんな計算も分解すると四則演算になっています。その四則の中でも、割り算は引き算とかけ算を、かけ算は九九と足し算を使います。つまり、その大元を鍛えないと速くならないのです。

 その大元は、百ます計算的なもの、公文的単純なものを繰り返しすることが最も効率よく上がっていくものです。

 中学受験では、四谷の計算一行が最も適度な難度に思います。


 サピの基礎トレは途中から難しくなりすぎて、計算が速くなりません。ここも、最初から速い子だけが時間的余裕を持つことになります。


 また、難化したことで、さらに「解法の暗記」ばかりするようになり、図を書いたり論理の手順を追うことがなくなります。ある程度身についた子なら、簡単なものは途中をすっ飛ばしてやってもいいのですが、小5いっぱいまではそのような勉強法はやめたほうが良いと感じます。


 また、国語の課題文は長すぎます。これでは、普段読書をしない子は、とっつけずさらに本が嫌いになり、面白さを感じるところまで行きません。国語は日能研が最も適切で、設問も的を射ている印象です。



 サピに入るなら、ある程度の計算力と読書量は絶対に要ります。それをせずに入ると、えらいことになります。意味なく、みじめで自信を失くすことにもなります。

 親に振り回される子供の気持ちになって、塾は選んであげてください。

 

 僕はサピックスに対しては、今回の記事でもわかるように、良い面悪い面の両方を感じています。日本にとってプラスな面もあるでしょう。

 きちんと(善悪、清濁といった)二面性を抑えるのは、思考の基本です。まずは親御さんもそのような考え方をお持ちください。


 それをうまく使うのは、ご家庭側です。間違っても、無思考に近所の子がいってるから、という感じで放り込まないようにしていただきたいです。

 いつも読んでくださってありがとうございます。

本家お受験ブルーズはこちら https://ameblo.jp/jyukuko/


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