HR担当者向け:Claude の Human Resources プラグイン、9つのスキルの紹介
はじめに
Anthropicが提供するAI「Claude」には、Human Resources プラグインがあります。
このプラグインを使うと、採用・評価・報酬・入社対応といったHR業務に特化した9つのスキルが使えるようになります。
この記事では「各スキルが何をするか」「どんな設定になっているか」を、ひとつひとつ記載していきます。ChatGPTや他のAIを使っている方も、同じ考え方をご自身の運用に応用できるはずです。
そもそも「スキル」とは何か?
ClaudeのスキルはGitHubで公開されています(anthropics/knowledge-work-plugins)。各スキルは実質的に「Claudeへの事前指示書」で、次の要素で構成されています。
目的:このスキルが何をするか
必要な入力:ユーザーが何を伝えればよいか
出力フォーマット:どんな形式で回答するか
コネクター連携:外部ツールと繋いだときの拡張機能
つまりスキルとは、「AIに専門家として振る舞わせるための設定」です。ChatGPTなど他のAIでも、同じ情報をシステムプロンプトとして渡せば近しい動作が再現されるはずです。
9つのスキル紹介
1. Interview Prep ── 面接設計
何をするか
コンピテンシー型の面接プランを設計する。質問リスト・スコアカード・デブリーフテンプレートまでセットで出力する。
設計の原則(スキルに組み込まれているもの)
構造化面接(全候補者に同じ質問)
コンピテンシーに紐づいた質問設計
行動質問(STAR形式)+状況質問の組み合わせ
評価は「感覚」ではなく「1〜4段階のルーブリック」で
必要な入力
ポジション・評価したいコンピテンシー(4〜6個)・面接官の構成・時間
出力されるもの
面接官の担当パート割り当て、コンピテンシーごとの質問一覧、面談結果共有用テンプレート
2. Recruiting Pipeline ── 採用パイプライン管理
何をするか
採用の各ステージ(ソーシング→スクリーニング→面接→オファー→入社)の進捗を管理・可視化する。
スキルが把握しているメトリクス
採用ステージごとの経過日数
ステージ間のコンバージョン率
ソース別の採用効果
オファー承諾率
求人公開から承諾までの期間
3. Draft Offer ── オファーレター作成
何をするか
内定通知書・オファーレターの完全なドラフトを生成する。
必要な入力
役職・レベル・勤務地・基本給・エクイティ・サインオンボーナス・入社日・レポートライン
出力されるもの
報酬パッケージ一覧(基本給・株式・ボーナス・初年度合計)
条件サマリー(入社日・勤務形態・雇用形態)
ベネフィット概要
オファーレター本文(候補者宛)
採用マネージャー向け注記(交渉ガイダンス・補足)
コネクター連携
HRIS接続:給与バンドデータの自動取得、ヘッドカウント承認確認
ATS接続:候補者情報の自動入力、パイプラインステータスの自動更新
4. Onboarding ── 入社対応プラン
何をするか
入社前チェックリストから30/60/90日目標まで、オンボーディング計画を一式生成する。
必要な入力
氏名・ポジション・所属チーム・入社日・マネージャー名
出力されるもの
入社前チェックリスト(アカウント・機器・バディ設定)
Day 1 タイムスケジュール
Week 1 アクションリスト
30 / 60 / 90日目標
キーコンタクト一覧
必要ツールアクセス一覧
コネクター連携
HRIS接続:チーム組織図と必要ツールリストを自動取得
カレンダー接続:Day 1スケジュールと初週の会議招待を自動作成
ナレッジベース接続:チームのオンボーディングドキュメントを自動参照
5. Performance Review ── 評価・フィードバック
何をするか
自己評価・マネージャー評価・キャリブレーション資料を構造化して生成する。
スキルが守る設計原則(組み込みのガイドライン)
「よくやってくれた」ではなく具体的な行動と影響を記述する
ポジティブと改善点のバランスをとる
フィードバックは性格ではなく行動に向ける
開発アクションは「コミュニケーション改善」ではなく「次回の全社MTGで発表する」レベルに具体化する
6. Comp Analysis ── 報酬分析
何をするか
役職・レベル・勤務地別の市場ベンチマーク分析、給与バンド配置、エクイティモデリングを行う。
3つの使い方
単一ポジション分析:「SF在住のシニアエンジニアの市場給与は?」
データアップロード:CSVやバンド表を渡して社内データと市場を比較
エクイティモデリング:「株価$50で1万株を4年ベスティング」
出力されるもの
25/50/75/90パーセンタイル別の基本給・株式・トータルコンプ、バンド配置分析、リテンションリスク評価、推奨アクション
スキルに組み込まれている変数定義
役職・レベル・勤務地・会社ステージ(スタートアップ/グロース/上場)・業界の5軸で分析
7. People Report ── 人材データ分析
何をするか
ヘッドカウント・離職率・ダイバーシティ・組織健全性のレポートを生成する。
4種類のレポートタイプ
組織スナップショット
離職・退職分析
ダイバーシティ指標
組織健全性(スパンオブコントロール等
スキルが把握する主要指標
リテンション:自発的・非自発的離職率、平均在籍期間、フライトリスク
ダイバーシティ:レベル別・チーム別の代表性、採用ファネル、昇進率
エンゲージメント:eNPS、調査スコアのトレンド
生産性:従業員一人当たり売上、スパンオブコントロール
8. Policy Lookup ── 社内規程案内
何をするか
社内ポリシーや規程を平易な言葉で答える。「有給は何日とれますか?」「海外からリモートで働けますか?」といった日常的な問いに対応する。
カバーするポリシー領域
休暇・ベネフィット・報酬・リモートワーク・出張・行動規範・成長支援(研修予算等)
スキルに組み込まれているガイドライン
情報源を必ず引用する
ポリシーが見つからない場合は「わからない」と明示する(憶測しない)
法的・コンプライアンス的な判断が必要な場合はHR/法務への相談を促す
コネクター連携
ナレッジベース接続:ハンドブックや規程文書を自動検索し、該当箇所を引用
HRIS接続:その社員固有の有給残日数・ベネフィット加入状況を取得
9. Org Planning ── 組織設計・ヘッドカウント計画
何をするか
組織構造・報告ライン・ヘッドカウント計画・採用優先順位の最適化を支援する。
出力されるもの
テキスト形式の組織図、コスト込みのヘッドカウント計画、採用の優先順位ロードマップ、構造上の問題(単一障害点・過剰な管理階層)のフラグ
他のAIで使う場合
ChatGPTやGeminiなど他のAIを使う場合も、同じ構造でシステムプロンプトやカスタム指示を書けば、同等の動作を再現できます。たとえばInterview Prepなら:
「あなたは構造化面接の設計者です。コンピテンシーを定義し、行動質問(STAR形式)と状況質問を各2〜3問作成し、1〜4段階のスコアリングルーブリックとデブリーフテンプレートをセットで出力してください。」
スキルのSKILL.mdはオープンソースで公開されているので、自社のAI活用ガイドラインを作る際の参考にもなります。
まとめ
Human Resourcesプラグインの9スキルを整理するとこうなります。
Interview Prep:採用面接設計・スコアカード
Recruiting Pipeline:採用パイプライン管理
Draft Offer:採用オファーレター作成
Onboarding:入社30/60/90日プラン
Performance Review:評価評価文・キャリブレーション
Comp Analysis:報酬給与ベンチマーク・バンド分析
People Report:データ組織分析レポート
Policy Lookup:社員対応社内規程の問い合わせ
Org Planning:組織設計ヘッドカウント・組織構造
次の記事では、各スキルの実際の使い方とプロンプトの書き方を深掘りしていく予定です。
