2 【ショートショート】ツチノコを追え!!
中学2年の夏、ぼくはツチノコを見た。
山奥の親戚の家に泊まりに行ったときのことだ。
夕方、畑のあぜ道を歩いていると、前方の草むらがガサガサと揺れた。
何かが、ボヨンボヨンとバウンドして跳ねていった。
胴体は太く、しっぽも頭も小さい。足は、ない。
――間違いない、ツチノコだ。
ぼくは思わず腰を抜かしてしまい、その隙に姿を見失ってしまった。
あんなへんてこな動きではあるが、実は俊敏なのだろうか?
流石伝説の生き物だと惚れ惚れした。
興奮して大人に話すと、全員が笑った。
「ツチノコ? ああ、昔はよう言うとったなあ」
「それよりスイカ食べとけ」
なんとロマンのない人達か。
誰もまともに取り合ってはくれなかった。
しかし、そんなことではへこたれない。
だって、ぼくは見たのだから。
その夜、ネットを漁っていて、ある掲示板に辿り着いた。
「ツチノコは“跳躍型偵察生命体”である」という仮説が真顔で語られていた。
曰く、内部に空気袋を持ち、重力を測定するために跳ね回っているらしい。跳躍中は不可視化する性質もあるという。
ぼくは思った。
跳ねてる間だけ透明になる?それなら、あの素早さにも説明がつく。
笑い話のようで、ぼくの中の何かが反応した。
それからというもの、ぼくは観測に没頭した。
中学・高校と理系に進み、地元の大学で生物物理学を専攻した。
大学では「跳躍型未確認生物の運動エネルギー変換特性に関する研究」という卒論を書き、教授からは「君の頭は大丈夫かね?」と心配された。
だが、ぼくは本気だった
だって僕は確かにツチノコを見つけたのだから。
そして社会人になったぼくは、ついに実験装置を開発した。
それは「空間歪曲カメラ」といい、通常の目では見えない空間のひずみを検出して可視化できる。
早速、ツチノコ目撃地点にカメラを設置した。
結果は驚くべきものだった。
画面の中に、ピョン……ピョン……ピョン……と定期的に跳ねる“ひずみ”が映っていたのだ。
しかも、よく見るとその跳躍リズムはモールス信号に一致していた。
翻訳すると、こうだった。
「観測完了。これより脱出する。地球、やはり重力重すぎ。以上。」
