見出し画像

AIエージェントの進化 / Chat GPT5の反響 / AIが人と感情共有ーーAI概念の変容可能性雑感②ーー_0812


 AI概念の変容可能性についての続編である。AI概念で現在よく説明されるのが、「人+高度な電子計算機」である。AIを示すものとして、極めて適切な定義である。そして、このAI概念はAIに関する法解釈の指針となりうる重要なものと考えている。その概念に影響を及ぼしうるような従来想定し得なかったAIの最新の変化について触れていきたい。

 パーソナルAIの出現とAI概念の再定義の可能性については以下で触れた通りである。

加えて、3点最新動向を挙げておく。

1 AIを人間のパートナーとして活用するケースの増加


 AIを人間のパートナーとして活用する事例が一部の限られた人の話でなく、世界的に見てもAIに期待される大きな役割の一つとして根付いてきているかもしれない。
 ニュース等でもAIを人間のパートナーとして活用する事例は多く触れられよく耳にするだろう。そうした中、Chat GPT5がリリースされた直後の反応として一番多いように感じられるのが、Chat GPT5の反応がChat GPT4に比べて機械的で冷たいというものである。この声は世界的にも大きく、Open AIのトップであるサム・アルトマンがAIモデルの愛着について緊急で自らの考えについてすぐに述べる。アルトマンはChat GPT5の性格変更も検討し、その結果、8月13日現在Chat GPT4もモデルの選択肢として復活している。この一連の経緯は、AIを人間のような感情を持つ存在として捉え、向き合っている人の多さを示すものといえるように思える。

Sam Altman X投稿
https://x.com/sama/status/1954703747495649670

Sam Altman X投稿
https://x.com/sama/status/1955438916645130740

2 AIが人間と感情共有しているとする海外の論文

 北京大学、清華大学といった名だたる大学の共同研究による論文が発表されている。Xiuwenらによる論文では、AI が人間と感情を共有しているだけでなく、心理学的に妥当な情動を精密に誘導できることの検証が行われている。人間がAIを情緒的存在としてのパートナーとして活用するケースが一般化していく過程を見れば自然な流れともいえるかもしれない。
 そこで考えて欲しいのが、上記にリンクを貼ったパーソナルAIと接続しての検討である。私自身の見解を記すよりも、読者の皆様それぞれで考えてみて欲しい。

Xiuwen Wuら「AI shares emotion with humans across languages and cultures」https://arxiv.org/pdf/2506.13978

3 AIエージェントの進化


 AIエージェントの進化は加速している。NTTでは、「人間と同じく対話を通じて、他のエージェントとアウトプットイメージをすり合わせながら協調してタスクに取り組むAIエージェント自律協調の基盤技術を開発」しているようである。また、驚くべきことに、知識管理に人間の記憶のメカニズムも応用しているとのことである。

(出典)NTT「お互いに空気を読みながら複雑なプロジェクトを推進するマルチAIエージェント技術~対話を通じて相手の意図を読むAIエージェントが自律的に連携して問題解決~」(2025.8.8)https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/08/08/250808b.html

「◆NTTは、人間と同じく対話を通じて、他のエージェントとアウトプットイメージをすり合わせながら協調してタスクに取り組むAIエージェント自律協調の基盤技術を開発しました。

◆従来技術では質の高い解の導出が難しかった、「企業ブランディング戦略の立案」「多角的なビジネスプラン検討」といった、一貫性・実現性・具体性が求められる複雑なプランニング業務へのAIエージェントの適用や、継続的な業務改善への貢献が期待されます。

◆引き続きAIエージェント自律協調技術の研究開発を促進し、本年度中のPoC(Proof of Concept)に向けて取り組んで参ります。」

(出典)NTT「お互いに空気を読みながら複雑なプロジェクトを推進するマルチAIエージェント技術~対話を通じて相手の意図を読むAIエージェントが自律的に連携して問題解決~」(2025.8.8)https://group.ntt/jp/newsrelease/2025/08/08/250808b.html

 加えて、NTTデータグループは、Google Cloudとのグローバルパートナーシップとパートナーシップを締結し、業界に特化したエージェント型AI導入およびクラウドモダナイゼーション強化を加速させる。

NTT Data「Google Cloudとグローバルパートナーシップを締結し、業界に特化したエージェント型AI導入とクラウドのモダナイゼーションを加速」https://www.nttdata.com/global/ja/news/topics/2025/081300/

 各論として産業界におけるAIの社内利用という側面だけで見ても、影響かかるAIエージェントの進化は、AIの社内活用において課題とされることが多い部門間の調整をAIが自律的に代替することができる可能性を秘めている。その一方で、何か問題が起きた際の責任の所在はより不明瞭で特定困難なものになっていくとも思える。そうした点の検討は必要になってくるだろう。

 さらに、踏み込んで言及すると、言語を発明するという、人間の叡智の結晶をLLMで自動化することに成功した旨がコーネル大の論文で報告されている。これが、何を意味するか。以下、単なる未来予想でしかないが、将来AIエージェント同士の会話に応用が可能になる土壌ができたことになる。つまり、英語や日本語より早く正確に伝えるAIが使用する言語を創設することができればAIエージェント同士の会話ではそれを用いるのではないだろうか。

Morris Alperら「ConlangCrafter: Constructing Languages with a Multi-Hop LLM」 Pipelinehttps://arxiv.org/pdf/2508.06094

むすびにかえて


 これらのAIの最新動向はほんの一部に過ぎない。本記事では3件のトピックに留めたが、AIはもはや一週間単位で目まぐるしい変化と進化を遂げている。
 AI概念もAIの変化とともに変容していく可能性を秘める。そして、それを絶えず考え続けることがAIに関する法解釈を検討する上で重要なメルクマールになると考える。


(マガジン)「AIと法雑感」

※目次は以下を参照


note総則規約3条2項前段
3.2 クリエイターが制作したデジタルコンテンツの著作権は、クリエイターに帰属します。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集