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「ぼく、何も悪いことしてない」その一言で、手が止まった夜


キッチンでご飯の支度をしているときでした。
背中越しに、息子がぽつりと話し始めました。

「ぼくは何も悪いことしてないのにさ……」

その声が、いつもより少し小さくて。
私は、手を止めて耳を傾けました。



「やめて」って言ったら、黙れって言われた


息子の話は、思っていた以上に重いものでした。

友達に、嫌がらせをされていること。
やめてと伝えたら、「黙れ」と言われたこと。
気に食わないことがあると、暴言を吐かれたり
お尻を叩かれたりすることもあること。

聞いているうちに、
頭の中が真っ白になりました。

冗談の延長なんかじゃない。
からかいで済ませていい話でもない。



そんなことをされてたんだ……


胸に込み上げてきたのは、怒りよりも先に、
気づいてあげられなかった自分への悔しさでした。

そんな思いを抱えながら、
息子は毎日学校に行っていたんだ。

私は、何も知らずに
「今日どうだった?」なんて聞いていた。

その事実が、
じわじわと胸を締めつけてきました。



それでも息子は「仲直りしたい」と言った


もっと辛かったのは、そのあとです。

息子は、目に涙を溜めながらこう言いました。

「本当はね、仲直りしたいんだけどね……」

え?
どうして、そんなふうに思えるの?

一方的にされているのに。
何もしていないのに。

仲が良かったからこそ、
相手も甘えてしまったのかもしれません。

でも最近は、息子を吐き出し口のようにして、
意地悪やイタズラをされることが増えてきたと、
静かに教えてくれました。


優しすぎるその言葉に、
私の方が泣きそうになりました。




何もしないからって、何をしてもいいわけじゃない


大人しくて、言い返さないから。
反撃してこないから。

そういう相手を選んで、
ストレスをぶつけてくるのなら、
それはもう、はっきりとした悪意だと思います。

息子は、誰かを傷つけていません。
気に触ることは何もしてないと言います。
それでも、傷つけられている。

その現実に、
親として、胸が張り裂けそうになりました。



担任の先生に話すと決めた息子


息子は、自分で考えて、
担任の先生に話すことを選びました。

「話したら、少しは変わるかもしれないから」

その言葉を聞いて、
私はただ、うなずくことしかできませんでした。

正直、怖さもあります。
話したことで、状況が悪くならないか。
余計に辛いことにならないか。

それでも、
少しでもいい方向に向かうことを願うしかありません。



親にできることは、全部を解決することじゃない


今回のことで、改めて思いました。

親は、
子どもの問題を全部解決してあげられる存在ではない。

でも、
困ったときに「話してもいい」と思える場所でいること。
すぐに動けるよう、スタンバイしていること。

それは、できる。

子どもの小さな変化に気づける親でいたい。
「大丈夫?」と聞く前に、
表情や声の違いに気づける親でいたい。



正解は、まだ分からない


この先、どうなるのかは分かりません。
すぐに解決するとも思っていません。

それでも、
息子が勇気を出して話してくれたこと。
それだけは、ちゃんと受け止めたい。

今日も私は、
「お疲れさま」と言える場所を用意しています。

それが今の私にできる、
精一杯のスタンバイです。



※この出来事は、まだ進行中です。
今は、息子が安心して話せることを一番に考えています。
息子の出来事を語りたいからではなく、
母として揺れた心を、忘れないために書かせて頂きました。

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