「いい子」でいようとした私へ
幼い頃から私は「いい子」だった。
兄と2人兄弟。小さい頃に父を亡くしてから、母は女手ひとつで私たちを育ててくれた。
おとなしい性格の私は、いつも「優しい子ね」「本当にいい子」と言われていた。
中学生の頃、兄の反抗期がひどく、母に暴力を振るう兄の姿を見て誓った。
——絶対にあんなふうにはならない。私が母を守るんだ。
それから私は、母を安心させるために、迷惑をかけないようにと、
勉強や部活に打ち込むようになった。
「いい子」でいることで母が笑ってくれるなら、それでいいと思っていた。
そして大人になり、母になった私は、自然と「いい子を育てよう」としていた。
悪いことをすれば叱り、正しいことを教え、「いい子」に育てようとしていた。
でも、ある出来事をきっかけに、私はふと立ち止まった。
——自分を押し殺して“いい子”でいようとする息子は、何のために生まれてきたんだろう。
その問いは、私自身にも向かっていた。
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