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アートフェアのことを聞いた日

どうやらアートフェアが始まったらしい。
風の便りで聞いた。

今年もきっと、彼は出品しているのだろうと思った。

前に彼が出たとき、
私は行きたいと言った。

でも彼は、
「一人で来るんじゃいいよ。チケット代もかかるし」
と、やんわり断った。

私は彼の作品を見たかったのもあるけれど、
それ以上に、その会場にいる彼という人を見てみたかった。

どんな立ち振る舞いをするのか。
他のアーティストたちとどんなふうに話すのか。
彼がどんなふうにそこに立っているのか。

そんな姿を見てみたかった。


そのとき彼は、
「あとで会場の動画、見せるね」
と言ってくれた。

でも、その言葉はきっと彼の中では
長く残るものではなかったのだろう。

後から思い出して話してみても、
結局一度も見せてもらうことはなかった。

たぶん、覚えていなかったのだと思う。



ふと、去年のことを思い出した。

彼が長野で展示をしていたとき、
彼女がストーリーを上げていた。

「彼が展示に出品します。
わたしも楽しみです」

そんな言葉だった。

それを見たとき、
ああ、今の彼女は
彼の展示を見に来てくれる人なんだな、と思った。

今になって振り返ると、
彼は私が展示を見に行くこと自体よりも、

周りの人に気づかれることや、
「彼女」として紹介することを
避けたかったのかもしれない。


過去のやりとりを思い返すと、
そんな気がしている。



今、あなたは
どんな作品を作っていますか。

私は今日も、
自分の表現に向き合っていました。




今日、友達からプレゼントが届いた。

ホワイトデーだったらしい。

私はバレンタインに
何もあげていなかった。

でも「いつも感謝してるから」と言って
送ってくれたのだという。

素直に受け取ることにした。

その気持ちを受け取って、
またいつか、
何か返せたらいいなと思う。




そういえば、
バレンタインのことも思い出した。

私は毎年、
アーティストの彼にチョコを渡していた。

去年も、
彼の好きなオランジェットを。

でも、何も返ってこなかった。

それどころか、
少し嫌な顔をされたようだった。

何かが欲しかったわけじゃない。

ただ、
何も返ってこなかったのは
去年だけではなかった。

毎年そうだった。

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