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​「楽しめないなら、やってる意味がない」ドイツの二軍戦で僕が殴られた言葉。

ドイツのグラウンドで見つけた異様な光景

​ドイツの地方都市、夕暮れのグラウンド。

大学生を卒業し、ドイツへ渡った僕は、そこであり得ないような光景を目の当たりにしていた。

​グラウンドには、ドイツのユース世代代表選手がキレのある動きを見せていて、一方でビール腹を揺らしながらバットを振る50歳くらいのおじさんが同居していたのだ。日本では「引退」して観客席に回っているはずの世代が、現役選手として、泥にまみれている。

​ある日、僕が所属していたクラブの2軍チームの公式戦でのこと。ミスが続き、重苦しい空気のまま1試合目を落としてしまった。ダブルヘッダーの2試合目に移る前のミーティング。暗い顔でうつむく僕たちに向かって、キャプテンが円陣の中心で叫んだ。

​「なに暗くなっているんだ。俺たちは野球が好きでここに集まっているんだろ? それならまずは楽しもうじゃないか。そうじゃないと、やってる意味がないぞ!」

​その言葉に、僕は頭を殴られたような衝撃を受けた。

日本で野球をしていた頃の自分に、時空を超えて喝を入れられたような気がしたのだ。

​中学や高校の頃の自分は、どこか「義務感」を持ってグラウンドに立っていなかったか。いつの間にか、誰のために、何のために野球を選んだのかを忘れていなかったか。

彼の言葉は、僕が17歳の春に失った「スポーツの純粋な喜び」を、鮮やかに呼び起こしてくれた。

日本を縛る「ノックアウト制」の呪縛

​なぜ、ドイツでは50歳のおじさんが三振して本気で悔しがり、心から笑えるのか。

それは、ドイツには「上手くないなら、辞めるしかない」という選択肢が存在しないからだ。

​ドイツのクラブは、1軍、2軍、3軍……と続く「階層制(ピラミッド構造)」で編成されている。そこには監督の「お気に入り」という概念は薄い。自分の実力に見合った「箱」が用意されており、所属する全員が戦力として公式戦に出場できる仕組みが整っている。全員が当事者だから、練習に身が入る。

​翻って、日本のスポーツ環境はどうだろうか。

僕が高校3年の春に「戦力外」を突きつけられた最大の理由は、日本のスポーツ界を支配する「ノックアウト(トーナメント)形式」の弊害だと思っている。

​負けたら終わりの緊張感。その中で結果を出すために、組織は「選別」を加速させる。うまくなければ、プレーする機会すら奪われてしまう。指導者のゆとりも奪われ、練習はいつしか「ミスを恐れるための時間」に変わる。

勝利を目指すことは素晴らしい。でも、トーナメント「だけ」が目的になってしまう環境は、あまりにも多くの「野球が好きだったはずの少年少女」を切り捨ててきた。

​「場所」を変えるだけで終わらせない

​いま、日本は「部活動の地域移行」という巨大な転換期にある。

しかし、僕は強い危機感を抱いている。

​ただ活動場所を学校から地域に移すだけでは、何も変わらない。

中身が「ノックアウト形式の大会に向けた選別」のままなら、結局またどこかで、あの「二択」の残酷さが繰り返されるだけだ。

​僕たちが目指すべきは、スポーツを「教育の一環」という枠組みから解き放ち、多世代が混ざり合う「社会生活の一環」へと位置づけを変えることだ。

​地域に根ざした多世代・多階層のクラブ。

自治体が支援し、学校から切り離された場所で、誰もが年間を通じて公式戦を楽しめるリーグ文化。

これこそが、ドイツで見つけた「第3の選択肢」の正体だ。

COMPASSが「新しい箱」を実装する

​では、なぜ日本でこの「理想のクラブ」が広がらないのか。

それは「運営の重さ」にある。

​日本のように世代や競技ごとにバラバラの任意団体が乱立している状態では、事務作業の負担が大きすぎる。活動場所の確保、集金、名簿管理、保護者への連絡。指導者の情熱が、こうした「事務」によって削り取られているのが現実だ。

​だからこそ、僕たちは『COMPASS』を創っている。

​デジタルの力で事務負担を極小化し、複数の世代や競技を抱える「総合型クラブ」をスマートに運営できるようにする。運営を「価値」へと変換し、指導者が選手と向き合う時間を創り出す。

​僕が運営している野球コミュニティ『TURTLES(タートルズ)』では、すでにこの思想を形にし始めている。

複雑な登録を廃し、初心者でも「できた!」を噛みしめられる場を創った結果、5年間で延べ5,000人以上が参加してくれた。人数が揃えば必ず試合形式を行い、参加者全員が「野球を味わう」ことを最優先している。

​「楽しめないなら、やってる意味がない」

あの日、ドイツのキャプテンに教わったこの真理を、日本のスポーツの「当たり前」にしたい。

​場所を移すだけではない。

僕たちはデジタルの力で、日本のスポーツ文化そのものを、塗り替えていく。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
いま僕は、この「第3の選択肢」を日本中に実装するために、Smart Clubhouse 『COMPASS』を開発しています。同じように「ベンチ外」の悔しさを抱えたことがある方地域移行の波の中で、新しいクラブの形を模索している指導者の方このビジョンに共感し、一緒に「日本のスポーツの未来」を創ってくれるエンジニアやビジネスサイドの仲間ぜひ、コメントやメッセージをいただけると嬉しいです。一緒に、次の世代の「居場所」を創りましょう。

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