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プロダクトマネージャーがどれだけ頑張っても創業者には勝てないのか?

BASE株式会社で金融事業の事業責任者と執行役員をしている柳川と申します。
私はエンジニア→PdM→事業責任者というキャリアを歩んできました。
その経験を踏まえて考えた、「プロダクトマネージャーと創業者の違い」をまとめてみました。

プロダクトマネージャーや事業責任者をやっていると「創業者との違いって何だろう」と悩むことがあると思います。意思決定の権限の違い?リスクの取り方の違い?ビジョンの持ち方の違い?

もっとぶっちゃけトーンで話すと、「創業者がいるのに、何かのオーナーみたいな顔して、気合い入れて頑張るのバカみたいなのでは、でしゃばっているのでは、なんのために頑張るの」などと思うこともあると思います。

今回この難しくセンシティブな話題を考えるために、本に書かれている原理を活用しながら記事を書いてみます。このパターン、僕にしてはかなり珍しいです。

なのでいつもと勝手が少し違うかもしれませんがお付き合いください。
絶対通じない例えだけど、マウスピースの調子が悪くて速い演奏ができなかったコルトレーンがBALLADS作りましたみたいなノリ。

名盤です

タイトルで書いてしまった手前煽ってしまったみたいで申し訳ないですが、勝つとか負けるとかとかは本質ではないです。

ソース原理をみなさんご存知ですか?

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ソース原理って何よ

概念の説明いらない人は「プロダクトマネージャーはサブソース?」くらいまで飛ばしてください。

この話をするには色々前提というか言葉の定義が必要なんです。詳しくは本を読んでいただくとして、ごく簡単にソース原理まわりの言葉の説明をさせてください。ここで離脱しないで!!

ソース原理とは、「あらゆるプロジェクトには『たった一人のソース』が存在する」という考え方です。

このソースの感覚、分かる人は一発であれか!ってわかるし、わからない人は全然ピンとこない思う。ピンとこなくてもそのまま読んでください。

ソースは「これをやる」と決め、リスクを取って一歩を踏み出した人です。
これは権力の上下関係ではなく、「イニシアチブ(誰が始めたか)の自然な秩序」です。

これもタイトルから誤解されちゃうかもしれないんですが、ソースとは創業者とか会社経営しているとかいう前提はないです。
むしろ企業とかは前提条件ではなくて、それを始めようとした人がその場にいるかどうかを前提としてる感じです。なんにしろソースは一人ということが大事です。

ソース原理では、主に二つの役割があると定義されています。

  • ソース(The Source):ビジョンを受信し、最初の一歩を踏み出す人。平たくいうと、最初に始めた人。原則一人。

  • ヘルパー(Helpers):ソースのビジョンに共感し、実現を手伝う人

    ここで重要なのは、ヘルパーも「特定の領域を任されたソース」として、その担当範囲内では創造性を発揮するということです。
    これがサブソースという考え方です。

サブソースとは

ソース原理の世界観では、組織図はいわゆるピラミッドではなく、「円の中に円がある入れ子構造」をイメージしてください。ティール組織的なノリね。

これは階層的に上下関係ではなく、スコープ(範囲)の違いです。

雑だけどこんなイメージね

グローバル・ソース(大元のソース)

プロジェクト全体の大きな円(境界線)を持っています。
全体のビジョンと価値観を保持しています。
例:創業者、事業責任者

事業責任者がグローバルソースかどうかは論が分かれるところですね。

サブソース(特定の領域のソース)

大きな円の中にできた、「小さな円」を任された人です。
その小さな円の中では、自分がソースとして振る舞い、創造性を発揮します。
例:プロダクトマネージャー、各種リーダー

なんかややこしくなってきたね!
始めた人(グローバルソース)とそれを支援する人(ヘルパー)がいて、支援する人の中でもちょっと特別な人(サブソース)がいるよ!
くらいで捉えておいて下さい!

なんでサブソースという概念が必要なの

サブソースの概念が重要になってくるのは、いわゆる自己組織化やティール組織のような文脈を成立させるためです。

従来の「管理職」は、上司の命令を部下に伝え、管理する役割になりがちです。
でも、ソース原理の「サブソース」は、担当領域の「小さな起業家」です。
「全体のビジョンを実現するために、私の担当するこのエリアでは、私が最高だと思うことをやる」という気概を持ちます。

でも全体としてはグローバル・ソースが生み出すクリエイティブフィールドという磁場みたいなものに従います。意思を持ちながら空気は読まないといけない、難しい役どころなのです。

プロダクトマネージャーはサブソース?

用語や概念の説明は一旦終わり。
ここでまでの話を活用して、プロダクトマネージャーと創業者の違いを、ソース原理で考えてみましょう。

創業者は「グローバル・ソース」
事業全体の大きな円(境界線)を持っています。
事業全体のビジョンと価値観を保持しています。
事業の「境界線」を守り、方向性を示す責任があります。

プロダクトマネージャーは「サブソース」?????
プロダクトという「小さな円」を任された人です。
その小さな円の中では、自分がソースとして振る舞い、創造性を発揮します。創業者のビジョンから外れない限り、具体的なプロダクト戦略や機能開発は、プロダクトマネージャーの直感と創造性で決めます。

プロダクトマネージャーがサブソースとして機能するために

どうですかここまでの説明をみて。自分の普段の仕事での役割はなんだろう?サブソースになりたい!ソースになりたい!と思いましたか?
プロダクトマネージャーがサブソースとして振る舞わずに、ただの「ヘルパー」として振る舞ってしまうと、以下のような問題が起きます。

  • 「創業者のビジョンを実現するだけ」になってしまう

  • プロダクト領域での創造性が発揮されない

  • 意思決定を創業者に委ねすぎてしまう

  • 「指示待ち人間」になってしまう

プロダクトマネージャーが「サブソース」として振る舞うために必要なことは、以下の通りです。

プロダクト領域でのビジョンを持つ
創業者のビジョンから外れない限り、具体的なプロダクト戦略は自分の直感と創造性で決めます。

プロダクト領域でのリスクを取る
「この機能を実装する」「この方向で進める」と決断します。

プロダクト領域の「境界線」を守る
プロダクト領域の範囲を明確にし、その中で責任を持ちます。責任とは何か。売上だと僕は思います。

プロダクト領域の方向性を示す
「全体のビジョンを実現するために、僕の担当するこのエリアでは、僕が最高だと思うことをやる」という姿勢です。

ここまでやれたら事業責任者なのでは?

ここまでの内容を踏まえた上で、サブソースとしてプロダクトマネジメントをやり切るには、実質的に事業責任者になるしかないと僕は思います。そうではないプロダクトマネージャーは、サブソースではないと僕は思います。ただのヘルパーです。

ただのヘルパーですと言いましたが、これは良し悪しを判断していません。物事を成し遂げるには、ソースもサブソースもヘルパーも必要なのです。
ソースなのかサブソースなのかヘルパーなのか、現状どうで、今後何を目指すのかを考えてみるのは思考実験として役に立つと思います。

創業者のビジョンから外れない限り、具体的なプロダクト戦略や機能開発は、プロダクトマネージャーの直感と創造性で決めます

どう思いますかこのセリフ。これがね、結構難しいのだよね。
創業者のビジョンとか、わからんよ。どこまでOKでどこからがダメなのかとかわからんのよ。創業者自身もわかってなかったりする。

うまくいっている時はいいけど、ふとした瞬間に自分は”サブ”ソースなんだなと気がつく。うまくいかなかった時も含めて輪郭が定まっていくみたいなこともあるので、それ自体も全く悪いことではないです。

心がグチャグチャしてくると「サブソースではなく、ソースになりたい。でも事業責任者も所詮サブソースなのでは」とか思う場面も出てくるわけです。

ソースの継承について

この書籍にはソースの継承という概念が紹介されていて、これがべらぼうにいいので詳しくは本を読んで欲しいです。プロダクトマネージャーや事業責任者として、役割を広げてきた人にはブッ刺さるから。

簡単に説明すると、ソースの継承は、現ソースが「完全に手放す」と決意し、新ソースが「完全に引き受ける」と決意した瞬間に移動します。これが実際にどの瞬間に起きるかというのは色々な実例があるらしい。たくさん準備した中でのふとしたきっかけだったりするらしいです。でも当事者の間ではその瞬間が確かにわかるんだとか。

大事なことは、サブソースからグローバル・ソースへの移行は、単なる役職の変更ではないということ。
明示的に努力した上で生まれるということです。

名目上はソースの継承がされているように見えても、実際にはソースの継承がされていない瞬間、心当たりがある方いるんじゃないでしょうか。
もう少し具体的にいうと、社長という肩書だからといってグローバルソースとは限らない!ということです!
これは社長が途中で交代して引き継ぎをされていない、という状態も指しますが、社長だからといって「物事を始めたその人」だと限らないケースもあるよということです。
社長ではなく創業者と言う表現を使っているのには理由があるのです。

人生のサブプロジェクトを持とう!という提案

プロダクトマネージャーや事業責任者を目指している人は、「ソースであらねば、ソースでありたい」、という気持ちを持つ方も多いのではないでしょうか。それは素晴らしいことです。
そして不確実性の高い状況で、プロダクトや事業で成果をだすにはサブソース的な動きは必須です。サブソースとしてのプロダクトマネージャーは、必要とされる役割ですし非常にやりがいがあります。目指して良いと思います。

でもふとした瞬間になんか満足できない、鬱屈した気持ちを持つこともあるんじゃないでしょうか。「グローバルソースになってみたい。」
そんな時はサブプロジェクトを持ちましょう。
副業じゃないですよ!サブプロジェクトです。自分で始めた自分のためのプロジェクトを持ちましょう。
副業は誰かに何かを依頼されて、お金をもらってやるわけです。それってもろヘルパーです。それではソースになりたい気持ちは満たされません。

ここでポイントなのが、お金が稼げるかどうかとか、そんなことは度外視で、やりたいことをやってみましょうということです。
やっぱりねー、お金を稼ごうと思うと色々難しいのです。しかもそれ一本で食って行こうとか思うと一気に難易度が上がる。逆にいうとそこを考えなければ案外何か見つかるもんかなとも思うのです。
資本主義とかエクイティファイナンスとかとあえて距離を置いてみる。サブプロジェクトならそれが出来るのです。

本業としてお賃金をもらえる仕事を持ちつつ、サブプロジェクトをじっくり育てる。これこそ現代のスタイルなのでは?
副業やってる場合じゃないよ。お金を稼ぐが第一目的に来ちゃうと歪む。

分かりやすいので副業と比べてみましょう。

副業

  • お金をもらう

  • 依頼されたことをやる

  • スキルを切り売りする

サブプロジェクト

  • (最初は)お金をもらわない

  • 自らやりたいことをやる

  • 新しいスキルを身につける

サブプロジェクトについて詳しくは、後日別で記事を書く予定です。

世の中には効率化してはいけないものって結構あると思うんですよね。再現性を求めてはいけないものもあると思うのよ。コーチングとかキャリアアドバイスとかね。属人性にこそ意味のあるものあると思う。

でも資本主義の世界観だと、効率化と再現性が神なんです。故に資本主義の世界で勝ち抜くためには、割り切って効率化とか再現性に全力でコミットしましょう。それは一つのゲームみたいなものだと思った方がいいです。
資本主義やエクイティファイナンスと相性が悪いものは、無理に資本主義のロジックに乗らずサブプロジェクトとしてやって行くのがぴったりだと思います!

逆に言うとエクイティファイナンスを受けておいて、資本主義の論理に逆らうのは違うと思う!ということは強く言いたい。
ビジネスから守るとかプロダクトの健全な成長とか片腹痛いよ。プロダクトの健全な成長は資本の最大化に資する場合のみ正当化されるのよ。資本主義のルールの中でやるのであれば、資本主義の論理を前提としたうえでなんとかするしかないのよ。

何回も言いますが勘違いしてはいけないのは、資本主義のルールじゃないと活動ができないということはないです。この辺の話はtoMeの文脈は近いですね。

依存しないのは無理なので依存先を増やそう

サブプロジェクトを持つとは、言い換えると依存先を広げることです。
人間何かに依存します。何ものにも依存しないのは無理です。認めて諦めましょう。
ではどうするか。依存先を増やしましょう。
依存先が少ないと病むし、メンヘラになります。意固地にもなります。その依存先がなくなったら、終わりだから。

複数依存先があれば、一つぐらいなくなってもどうってことないです。
いや、どうってこともないこともないんだけど、日々の心の余裕にはつながります。日々の心の余裕は、すべてのことを好転させます。心の余裕がないゆえに依存関係が破綻することは多々あります。

(この話を聞いて、「私は何にも依存していない」という人は少し危うさを孕んでいる可能性があります)

健やかに生きるためには依存先を増やすことは必須です。新しい依存先としてのサブプロジェクト、どうですか。

自分がソースである場所が一つでもあれば、ある場所でサブソースやヘルパーであることに折り合いがつけられる

自分がある場所でソースになったという経験があること。これはとても大事なのです。
ソース経験があると、別のプロジェクトにサブソースやヘルパーとして参加した時に、ソースがしてほしいことがなんとなくわかるのです。良い協力関係が築ける。なので絶対にソースになる経験はあった方がいいです。

別にプロジェクトなんていう立派なものでなくてもいいです。日々の暮らしの中で、これは自分が自分で決めて推進しているのだというものを何か持ちましょう。

勝つとか負けるとかではなく役割の違い

プロダクトマネージャーがどれだけ頑張っても創業者には勝てない?
という問いを立てて文章を書いてきました。
この問いへの答えとしては、「勝てるわけないだろ!」です。勝つ必要もない。
言い換えると「勝つとか負けるとかではなく役割の違い」ということです。役割の違いには優劣も何もない。

それはそう。それはそうよ。そんなもん最初からわかってるのよ!それでもその境目に悩むのがプロダクトマネージャーであり、事業責任者じゃない?そうじゃないですか?とも思う。

そして自己組織化の本音と建前というか、難しさでもあると思う。

今回は色々悩んだ上でどう折り合いをつけるか、ということをつらつら書かせていただきました。

本業も頑張る!サブプロジェクトも頑張る!それでいいし、それがいい!

なんかグチャグチャしたけど、結論というかまとめというか、最終的な主張を書かせて!

本業も頑張る!サブプロジェクトも頑張る!それでいいし、それがいい!

この記事は「創業者には勝てないから、諦めてサブプロジェクトをやれ!」という記事ではないですよ!!
ソースの経験も、サブソースの経験も、ヘルパーの経験も、全てつながっていて相乗効果があるよ!という記事です!

なので全部頑張って大丈夫!自分がグローバルソースではない仕事、つまり会社で行う仕事、で得たスキルは確実にサブプロジェクトに生きます。逆にいうとサブプロジェクトで得た経験が本業に生きることもたくさんある。
逆にグローバルソースしかやってないと、疲れちゃうのもあるし、何より幅が出ないんですよね。
そしてグローバルソースの仕事をしっかりやろうと思うと、サブソースやヘルパーの経験がないと無理です。難しいではなく無理です。だってサブソースやヘルパーに手伝ってもらわないとやりたいことできないのだから、サブソースやヘルパーの気持ちを知らないと動いてもらえないです。
なので創業者は逆にサブソースやヘルパーになる経験を積むといいと思います!
逆にグローバルソースになったことのない人は、創業者の気持ちはわからないので、グローバルソースになる経験も必要なのだ!という理論です。

グローバルソースに無茶言われても、サブソースやヘルパーとしてはこっちの方がプロだから!みたいな精神性の持ち方もありますね。

何に取り組むかという観点でスキルの幅などを広げるのも大事だけど、関わり方のバリエーションも大事だよ!という話でした!

本業がうまくいかないからといって、サブプロジェクトに逃げるのは違いますからね!(自戒も込めて)

お前はどうなの

僕の場合は今自分が管轄している事業に関しては、明確にソースとして振る舞っています。完全に自分がやりたいことを、自分の決断で、自分のためにやっている。それを実現するために、自らのわがまま込みで、みんなを巻き込んでいる自覚がある。
しかし会社全体の磁場からは逃れられない。それは当たり前のことです。会社員ですしね。ただしこれはネガティブな意味ではないです。現状においては、会社全体の磁場と自分のやりたいことが一致しているので。

気持ちとしては完全ソースですし、実際自分発信で始まって続いていることもたくさんあります。でも現実問題、ソースのように振る舞う”サブ”ソースではあります。

ゆえにですね、ソースになるという欲を満たしたり、ソースの気持ちを知るために、サブプロジェクトとしてnoteだったり、マネジメント道場だったり、プロダクトぶれんじゃねぇラジオだったり、各種コミュニティ活動だったりをしているわけです。
そしてこれは何もネガティブなことじゃなくて、いろんなバランスの取り方があるんだよ!という話がしたかったのです。

僕の例だとコミュニティ活動系の例が多いけど、サブプロジェクトは何でもいいですよ!自分がやりたいと思うことでいい!多分家庭を持つ(僕はこの表現嫌いだけど)とかもサブプロジェクトでソースになる経験だと思う。

とにかく!ソースもサブソースもヘルパーも全部全力でやってみようぜ!相乗効果あるよ!!

編集後記

僕にしては珍しく、書評兼自論という形式で書いてみました。
僕あんまり本読まないんですよね。本を読むより自分で考えたいので。そんな僕が珍しく読んで救われた本がこの本。アフィじゃないよ。

余談ですが、僕の中で本を読むのは答え合わせなんですよね。新しい情報をとりにいくためじゃない。自分中で答えがあるものの表現を探しにいっている感じ。

今回、プロダクトマネジメントアドベントカレンダーということで、僕なりにプロダクトマネージャーに寄り添う記事を書いてみました。いや、シンプルに自分の悩みの吐露なのかも。最終日いただきありがとうございます。

感想待ってます。アディオス!


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