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【第8話】第1章 投資家としての覚醒|なんだかんだで40年(相場にやられないコツは…、世の中を甘く見ることだ!)

第1章:投資家としての覚醒

1.なんだかんだで40年

ごく普通のサラリーマンとして働いていた私が、投資という世界に足を踏み入れたのは、ほんの些細なきっかけからでした。
仕事にもようやく慣れ、少しばかり心の余裕が生まれた頃、ふと立ち寄った本屋で、一冊の投資をテーマにした漫画本が目に留まりました。当時、投資は遠い世界の話だと思っていましたが、「何事もやってみなければ分からない」という性分が、私をその世界へと誘いました。

当時の貯金は200万円。右も左も分からぬまま、その漫画本で得たわずかな知識を頼りに、富士電機とシャープをそれぞれ1,000株ずつ購入したのが、私の投資家としての第一歩でした。

驚くべきは、投資を始めてからの自分自身の変化です。
それまで無関心だった経済ニュースや世界の情勢に、自然と目が向くようになりました。新聞の株式欄を穴が開くほど眺め、ニュースの行間から未来を読み取ろうとする毎日。そこには、単なるお金儲けを超えた、知的好奇心を刺激する面白さと、世界が広がるような感覚がありました。

これは、これから投資を始める方に、ぜひ体験してほしい感覚です。投資は、お金を増やす手段であると同時に、世界を深く知るための最高の学びの場でもあるのです。

幸運にも、私が投資を始めた時期は、ちょうど日本がバブル景気の真っただ中にありました。市場全体が熱狂に包まれる中、私の資産は驚くべきスピードで膨れ上がり、瞬く間に2,000万円へと10倍に増加しました。
この頃、私はさらにリスクを取り、信用取引にも手を出し始めました。「株で儲けること」が、まるで呼吸をするかのように簡単に思えた時期です。

「素人が信用取引だと!こんなやつがいるから退場者が絶えないんだ!」

ヤン・ウェンリー

しかし、永遠に続く繁栄などありません。
その後のバブル崩壊、そして2008年のリーマンショックという未曾有の経済危機は、私の資産を大きく削り取りました。ピーク時には2,000万円あった資産は、一時は750万円まで減少。多くの投資家が市場から撤退していく中で、私もまた、何度も諦めそうになりました。

「わが部隊は現在のところ負けているが、要は最後の瞬間に勝っていればいいのだ。」

ヤン・ウェンリー

それでも、私は投資をやめませんでした。
給与の余剰分は全て投資に回し、来る日も来る日も市場と向き合い続けました。頼れるものは、他者や市場の雑音に惑わされない、自分の思考力と判断力のみ。
自己責任が投資の原則であることは重々承知していましたが、まだ若かったこともあり、時には一点集中型の信用二階建てというハイリスク・ハイリターンの手法まで実践しました。
それでも、リスク管理を徹底していたため、追証(追加保証金)を求められる事態はありませんでした。(ヒヤリハットの連続)

この時期に培われた、市場を読む力とリスク管理への意識は、その後の投資人生において、ある意味かけがえのない財産になったと思います。


「投資で一番重要なのは、資産を増やすことではなく、市場から退場しないことだ」


この教訓は、あるいは、この困難な戦いの時期に学んだのかもしれません。
これから投資を始める方も、短期的な利益の追求に行き過ぎることなく、この「退場しない」という大原則を心に刻んでいただければと思います。

そうこうしながらも、山あり谷ありの長い年月の投資の結果、資産は着実に膨れ上がり、定年退職を迎える前に、金融資産1億円を超えていました。

しかし、投資に終わりはありません。
2020年のコロナショックで一時的に資産を減らしたものの、私は次の市場の動きを読み解こうとしました。
パンデミック後の経済回復期には、いずれインフレと金利上昇が来るだろうという思いを抱き、あえて低迷していたメガバンクの三井住友に現物で10万株、さらに信用で3万株という大胆な投資を実行しました。
この戦略が功を奏して、資産は再び倍増の道を辿ることになります。

「私は勝つためにここへ来たのだ、ミッターマイヤー。そして勝つためには戦わなければならぬし、戦うからには安全な場所にいる気はない。」

ラインハルト・フォン・ローエングラム

そして、2024年に入り、新たな投資の地平を見つけます。
市場は既に金利上昇を織り込み済みであり、資産インフレは続くと判断しつつも、金利は簡単には上がらないという独自の判断から、当時低迷していたJ-REITに集中投資しました。これが、その後の「定量分散」戦略と驚くほど相性が良いことに気づきます。

現在、私が運用しているポートフォリオは、現物で12億円、信用で6億円という合計18億円の規模にまで膨れ上がりました。これは単なる数字の達成ではなく、市場の荒波に揉まれつつも、「よくもまあ、ここまで生き残ってきたものだ」の結果なのだと思います。


この話は、特別な才能や、一攫千金を狙うギャンブルの話ではありません。それは、一人の普通のサラリーマンが、偶然出会った一冊の本で知り得た「投資」に惹かれ、「学び続ける姿勢」によって、自らの生き方を切り拓いてきた… それはもう取るに足らない銀河のかけらの軌跡なのでした。

「相場にやられないコツは…、世の中を甘く見ることだ!」

オリビエ・ポプラン

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