なぜ「一般の女性」の前でだけ、あなたは固まってしまうのか。
スナックのカウンター。
チーママに「いやあ、最近の仕事がさ……」と軽妙なジョークを飛ばす。あんなに饒舌で堂々としていたあなたが、どうして明るいスタバで女性と向き合った途端、「石」のように固まってしまうのでしょうか。
「何を話せばいいんだっけ?」 「変なことを言って、嫌われたらどうしよう」 目の前のコーヒーをかき回しながら、冷や汗をかく。そんな「シニア男性あるある」の裏側には、実は私たちの切実な*「自己防衛」が隠されているのです。
「セクハラ」という見えない地雷原を歩く恐怖
あなたが一般の女性、特に職場の同僚などに対して口を閉ざしてしまうのには、大きな理由がありますよね。 それは、「今の時代、何を言ったらアウトになるか分からない」という恐怖です。
かつてなら「その服、似合ってるね」「最近綺麗になった?」「痩せたよね?」という言葉は、ごく自然なコミュニケーション、あるいはちょっとした褒め言葉でした。しかし今は、その一言が「セクハラ」という地雷を踏むことになりかねない。
「良かれと思って言ったことが、誰かを不快にさせ、自分の立場を危うくするかもしれない」
そんな緊張感の中にいれば、石のように固まってしまうのは、ある意味で「賢明な大人の自衛手段」です。プロの女性なら「嬉しい!」と返してくれる言葉も、一般の女性には通用しない。そのルール変更に、心が追いついていないのは、あなただけではありません。
「プロの世界」という名の無重力空間
飲み屋や風俗、あるいはアイドルとの交流。
そこは私たちにとって、いわば「無重力空間」です。セクハラを心配する必要もなく、あなたがどんな話をしても、プロは優しく拾ってくれます。そこには「拒絶」も「通報」もありません。
しかし、一歩外へ出れば、そこは重力がしっかりとかかった地上です。
つまらなければ、あくびをされる。
デリカシーがなければ、軽蔑の眼差しを向けられる。
沈黙があれば、それはそのまま「気まずさ」になる。
「否定されるリスク」のない場所に長く居すぎたせいで、私たちは対等な人間関係で踏ん張るための「心の筋肉」が、すっかり細くなってしまったのです。地雷を恐れるあまり、一歩も動けなくなっている。それが今の私たちの正体です。
石になってしまう、愛すべき「あるある」たち
ここで、私たちが陥りがちな「石化現象」をいくつか挙げてみましょう。

「当たり障りない天気の話」のループ 地雷を避けようとするあまり、「今日も暑いですね」「明日から雨らしいですよ」と同じ話を繰り返す。相手からは「この人、中身がないな」と思われてしまう悲劇。
「お地蔵さん」状態 「嫌われたくない、訴えられたくない」という思いが強すぎて、ニコニコ頷くだけ。自分の意見はゼロ。相手からすれば「何を考えているのか分からなくて怖い」という逆効果に。
いきなりの「武勇伝・説教」コンボ 沈黙が怖くて、つい仕事のクセで「俺の若い頃はさ……」とアドバイスを始めてしまう。夜の店では「頼りがいがある」と言われたその技が、昼間は「うざい」と思われる。
恥をかいてもいい、それが「生きている」証拠です
50代、60代。社会的には立派な顔を持ち、失敗が許されない立場にいるからこそ、私たちは「格好悪い自分」を人に見せるのが怖くなってしまいました。
でもね、思い出してください。
プロはあなたの「完成された姿」を愛してくれますが、普通の女性が心を開くのは、あなたの「崩れたところ」や「不器用な一生懸命さ」に触れた時なんです。やっとデートまで持ち込んだ女性に対して
「すみません、今の時代、何をお話ししていいか分からず、実はすごく緊張しているんです」
そんな風に、格好悪い自分をさらけ出した瞬間、石のように固まっていたあなたの心に、血が通い始めます。地雷を避ける一番のコツは、武装して歩くことではなく、「丸腰の自分」を正直に見せることなのかもしれません。
僕も、職場の女性に「髪切った?」と言うのさえ、心臓がバクバクしていた時期がありました。
タモリさんなら許されても、僕たちは「変な意味に取られたらどうしよう」って。
でも、その「おどおどした自分」を隠そうとするから余計に怪しくなるんですよね(笑)。 格好悪くていいじゃないですか。不器用なままでいい。 ゆっくり、地上での歩き方を思い出していきましょう。
(次回:「当たり前の幸せ」を諦めたふりをする、あなたの中の少年。に続く)
