竹之御所流 尼寺 三光院で九月の精進料理をいただく
友人の上京に合わせて、昨年伺ったときと同じメンバー三人で、東京・武蔵小金井にある尼寺「三光院」を再訪、竹林の筍が出始めるころに伺いたいと思いながら、秋のお彼岸の日に、やっと訪れることができた。
(三光院についての私の長年の思いや竹之御所流精進料理や西井香春先生については昨年のnote 記事に詳しく書いていますので、この記事では省略します)
あれほど続いた残暑がくるりと秋の風情に変わり、それでも太陽の下では少し汗ばむ九月の日。
JR武蔵小金井駅で待ち合わせて、タクシーで訪れる。

枝垂れ桜の大木はちょっと乾き気味の大きな葉を纏っている
落葉の準備なのでしょう

あっ彼岸花み~つけた~

柔和な微笑みのまぁるい石の仏様

十月堂の引き戸を開ける


なんだかグーンと背伸びした後のようにリラックスできる空間で
料理のこと、本のこと、音楽のこと、仕事のことなど話題が途切れることなくおしゃべりする
元々は本堂で正座していただいていたのを 香栄禅尼により、ご高齢なかたも楽だろうからと十月堂でいただくようになったそうだ
畳表のテーブルというのも香栄禅尼のアイデア
正午を少し過ぎ、23名全員そろったところで一皿目が供され、西井香春先生が竹之御所流精進料理とこの日の献立について話され、食事が始まる。
九月 菊月
<雪の餐>

供する直前に最中に大徳寺納豆入り餡を詰めた最中

近年、世界中で抹茶の需要が増えていて、抹茶が不足しているのだそうで、
英国事情に詳しいHさんともその話題で盛り上がる
「健康志向からのスーパーフードとしての抹茶人気なんでしょうね」

大和芋の海苔巻き、高野豆腐の含め煮、ごぼうの胡麻和え、南瓜の煮物、南天の葉添え
ああ、懐かしい
背筋が伸びる清々しく可愛らしい盛り付け
やわらかく煮てあって、一口いただくとほっこり笑顔

ごま豆腐は一年のどの月の餐にも組み込まれていますが、趣向は季節によって少しずつ変えてあります

お月見のだんごに見立てた一品
やわらかく煮た里芋を砂糖と塩で味付けし、青柚子の皮をすりおろして振ってあります

精進料理の流れにアクセントを与えている逸品
「この味だぁ・・・」と天を仰いで美味なる余韻に浸るKちゃん
初代住職の祖栄尼の豆腐の西京味噌漬けを二代目住職・香栄尼が桜チップで燻製して出来た三光院の名物料理を、西井香春先生が「香栄とう富」と名付け商標申請し、2016年に商標登録されたそうです

茄子の田楽で、茄子の半身が楽器の琵琶に似ていることから建礼門院愛用の名器「木枯らし」にちなんで香栄禅尼が命名
この料理は一年を通して供される一皿
季節によって茄子の味わいもすこ~し違う気がします
お茶の葉が添えられています

九月らしいお吸い物
お豆腐団子に昆布出汁のお吸い物

おでんとは御所言葉で田楽のこと
粟麩を木の芽味噌でいただきます

初代住職の祖栄禅尼が
心静かに本堂の縁に座り、松籟の音に耳を傾けていると、庭先の”まつかさ”のはぜる心地よい音を耳にし、この風情を何かお料理にしたいと、一生懸命想念し、考え出されたお料理
~祖栄禅尼の料理の本より引用~
素晴らしい料理に感激
これはぜひうちで作ろうと決めたのでした

おばんは御所言葉でご飯のこと
食用菊を洗って酢を加えてさっとゆで、水にとってザルに挙げ、水気を絞り、鍋でからいりし、火からおろして塩で和え、温かいご飯に混ぜてあります
菊月にふさわしいおばんです

お出汁に使った昆布の佃煮、白菜の漬物、梅干し
可愛らしい香の物に目が喜びます
食事が終わり、竹之御所流伝統のすすり茶をいただく

三光院では朱塗りの器ではなく主に陶磁器を使う習わしで 亀甲文に鶴の模様が多い中、このお茶碗は亀甲文に鳳凰文
香栄禅尼の米国で出版された本の授賞お祝いに特別に作ってもらわれたそうです

蓋をずらして、お茶をすすりいただきます
甘い玉露に心も潤されます

ほんの少し
まさしく甘露のようなお茶でした
先日アーティチョークや茄子、ビーツなどの野菜を送って差し上げたKちゃんと私とHさん三人で先生との西洋野菜談義を楽しみ、この後団体の方との歓談の時間が予定されている先生にお礼を言って、十月堂を後にした。

九月の爽やかなブルースカイ



こちらこそ静かな満ちたひと時をありがとうございました

14:34

深々と私も合掌
「三光院は三度来れば身内です」
あと一回、次は四月に伺いたいねと話しながら、歩いて駅に向かった。
途中でもちろんお茶。話が弾む弾む。
帰宅してから書棚から竹之御所流精進料理の本を三冊取り出して、おさらいをした。

