下町音楽夜話 Reloaded 651「7インチの魅力」
■■■本稿は下町音楽夜話651「7インチの魅力」(2014年12月13日)に加筆修正したものです■■■
最近は少し意識して7インチ盤も買っている。東陽町のダウンタウンレコードのワンコイン・コーナーが非常に有り難い存在ではあるが、他の店舗でも売り場面積が広がっているように思う。やはり人気が出てきているのだろうか。こういう事を書いてしまうと、値段が上がってしまうのではないかという心配もあるが、それほど大きな市場とも思えない。それでも、レコード・ストア・デイなどでも毎度そそられる7インチ盤が出てくるので、買う人がいるということなのだろう。10インチ盤も相変わらずブームのような状態が続いているし、CDと比較して収録時間が短いなどといった不利な要素は棚上げしても、メディアの魅力が大きいという認識があるのだろう。
先般のレコード・コレクターズ誌でも70年代のアイドル特集などやっていたようだが、そうなると7インチの存在感が増してくる状況が実際にあるのだろう。結局7インチというメディアは、小遣いの少ない子どもが中心的な購買層とも言えるので、アイドルとは親和性が高そうだ。自分の場合は、わりと早い段階でジャケットも含めたLPレコードの魅力に開眼してしまったため、子どもの頃にリアルタイムで買った7インチ盤は少ないのが残念ではあるが、主要メディアがCDと逆転した1986年以降、たたき売りされていた時期に50円100円といったお値段で入手させてもらったものがあるので、少しずつ整理しているのである。神保町の古本屋の50円箱で、ボサノヴァを日本に紹介した時期の渡辺貞夫の7インチ盤を2枚見つけたときは、この値段で売ってはいけないと怒りを覚えつつ、有り難く購入してきた。そんなものが何箱かあるので、使えれば盤にとっても本望だろう。
もちろんシングル曲が多いわけで、ヒット曲とは限らなくても比較的粒ぞろいのはずである。レコ漁りをしていても結構楽しい。国内盤はスリーブがあるので尚更面白い。キャッチ・フレーズは笑えるものも多いが、案外しっかりと時代を反映しており、将来的には資料的な価値も出てきそうな気すらする。例えば、先日ダウンタウンレコードで入手したディープ・パープルの「ウーマン・フロム・トーキョー」のキャッチは「空前の来日ステージで人気沸騰!トップ・ハード・ロック・グループの最新ヒット!!」となっている。確かに伝説的な来日公演で、一気にライヴバンドとしての評価を上げたディープ・パープルだけに、妙に納得してしまうスリーブだ。
スーパートランプの「ブレックファスト・イン・アメリカ」の場合は、「全世界のポップス・チャートを制覇して快進撃を続けるスーパートランプの最新ヒット曲!」となっている。「ロジカル・ソング」のほうが大ヒットし、アルバムも売れに売れた後にリリースされたタイトルソングもそこそこ売れたが、おっしゃる通り、ヒットに便乗してリリースしたものだったことを思い出してしまった。またこの盤には、東京音楽大学図書館の蔵書印が押してある。こういうものも流通しているところが微笑ましい。微笑ましいついでに、ロボの大好きな曲「君ともさよなら」のスリーブには「全米ヒットパレード爆発的人気」という文句が印刷されている。何となくおかしい。
残念ながら輸入盤の7インチはスリーブの無いものがほとんどなので、老眼には探しづらくていけない。7インチ盤に限っては、国内盤の方が魅力的といったところである。いろいろな思い出とリンクした曲たちは、眺めているだけでほのぼのできる、パーソナルなアイテムでもあるのだ。
■2026年の独り言■
7インチ盤専門店を始める前の感覚が知れて面白いと思うのは…私だけですね。そうなんです、昔から7インチ専門だったわけではなかったんです。CDに切り替わった頃に集めたものが多かったんです。個人的なお楽しみ程度ですけどねぇ。
