下町音楽夜話 Reloaded 654「時代の表現 - ヒット・パレード」
■■■本稿は下町音楽夜話654「時代の表現 - ヒット・パレード」(2015年1月3日)に加筆修正したものです■■■
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
少し時間がとれる年末年始は、大掃除と言いつつレコードの整理が捗る。昨年末は7インチのオートチェンジャーを購入したこともあって、7インチ盤のデータベースのアップデートとあいなった。結局のところ、LPのオマケのような盤もあり、完璧に全貌を掴むことは難しいのだが、1400枚程度の洋楽と100枚程度の邦楽盤があることは分かった。いつの間にたまったか、ビートルズ関連のものが随分あるが、とりわけポール・マッカートニー関連が充実していることに驚いた。やはり自分はソロになってからのポール・マッカートニーの曲が好きらしい。どの曲にもそれなりの思い出があり、懐かしいものばかりだ。
一方でロックのレコードはLPで買い揃えていったため、7インチ・シングルは少ない。どうしてもチャートを賑わせたポップスが多いことは致し方ないだろう。よく言われることだが、ソウルやレゲエは7インチ盤が充実しているのである。どうしても購買層の比較になってしまうが、白人を中心としたロックを好んだ購買層は収入が多かったと考えるべきなのだろうか。
結果的に自分のコレクションも、7インチはソウル・ミュージックが充実しているというわけだ。大好きだったロバータ・フラックとダニー・ハサウェイがデュエットした「私の気持ち(The Closer I Get To You)」などもある。もちろん「やさしく歌って(Killing Me Softly)」などはアルバムもあるが7インチもある。この辺は必携だ。懐かしかったのは、MFSBの「TSOP(ザ・サウンド・オブ・フィラデルフィア)」だ。テレビ番組「ソウル・トレイン」のテーマとして有名な同曲の7インチ盤も、状態がいいものはそうそうないのではなかろうか。ザ・スリー・ディグリーズのヴォーカルをフィーチャーしたこの曲をいったい何回聴いたのだろうか。母親と一緒に観ていたことが、今となっては笑える思い出でもある。
母と言えばポール・サイモンの「母と子の絆(Mother And Child Reunion)」も非常に懐かしかった。1972年のファースト・ソロ・アルバムに収められているが、シングルはかなり先行してリリースされていたはずである。軽妙洒脱とでも言いたくなるアフロ・テイストを有したリズムは、スカやレゲエのリズムも垣間見え、早くからエスニックなリズムの研究に余念がなかった証しでもある。アフリカ大陸で最も影響力のある白人ミュージシャンと言われるポール・サイモンらしい一事とあらためて感心した。
また、サイモン&ガーファンクルのものも数枚出てきた。自分が小遣いを貯めて初めて購入したLPがT.REXの「ザ・スライダー」、そして2枚目がサイモン&ガーファンクルのベスト盤だったので、7インチ盤にはあまり手を出していないのである。後々に安く買った中古盤だろうが、「コンドルは飛んで行く」など随分聴いたものである。この盤のカップリング曲、つまり裏面は「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」である。大学で建築を専攻していたアート・ガーファンクルをからかって大建築家の名で呼んでいるわけだが、サイモン&ガーファンクルとしての終わりが見えてきていた時期の曲だけに、考えさせられるものがある。
またエルトン・ジョンの7インチ盤も随分ある。彼の場合、現在に至るまでずっと第一線で活躍しているが、やはり絶頂期と言えるのは1973年から75年頃の時期だと思う。アルバムでいくと1973年が「ピアニストを撃つな!」と「黄昏のレンガ路」74年が「カリブ」、75年が「キャプテン・ファンタスティック」と「ロック・オブ・ザ・ウェスティーズ」と3年で5枚もリリースしている。そしてシングルはこの3年で何と13曲をヒット・チャートの上位に送り込んでいる。「ダニエル」「グッバイ・イエロー・ブリックロード」「僕の瞳に小さな太陽」などといった名曲だらけだ。実際に1972年にも「ロケット・マン」や「ホンキー・キャット」「クロコダイル・ロック」といったヒットがあるのだから、もう凄いとしか言いようがない。
オリコンなどが一般的になる前、全米Top40が最も信頼できる情報源であり、受信状態の悪いラジオにかじりつくように聴いては記録していたものだ。後から懐かしくてたたき売りされているものを買ったものが多いとはいえ、やはりチャートを賑わせたポップスの魅力には抗えない。7インチのスリーヴには、ビルボードやキャッシュボックスという以前に、ヒット・パレードという表現が使われていた時期がある。「英国のヒット・パレードで第1位」などといった表現に時代を感じて微笑ましく思うのは自分だけではあるまい。
■2026年の独り言■
"ヒット・パレード " …7インチ盤の世界ではよく使われた言葉ですよね。押し入れの中から出てきた枚数はもっともっと多かったように思います。かなり後になって、エンドレスに出てくるといったことを書いた記憶もありまして…。
