【令和7年度】IT経験半年でプロジェクトマネージャ試験に独学で一発合格できた勉強法
はじめに
この度、令和7年度プロジェクトマネージャ試験を受けてきまして、無事合格することができました。
勉強時間は600時間くらいだと思います(IT関連の勉強は2025年は1000時間くらいやっていて、どれがPM試験に関連したものか何とも言い難いです)。
勉強していたのは主に通勤中と昼ご飯を咀嚼してる間と土日祝日です。
プロジェクトマネジメントを勉強してみて、大変ではありましたが、その過程でマネジメントのリテラシーを高めることができたこと、最新のIT業界の情勢を学べたことはとても有意義で面白かったなと思います。
特に学生時代は演劇サークルで組織のマネジメントをする立場にあり、そのとき失敗したなと思った経験が多々あったので、自らを俯瞰し内省するという意味でもマネジメントの勉強をできたのはよかったです。(今年度の論述テーマが「チームの育成計画」であったため、そこに当時の反省も込めました。)
参考図書
勉強法
・東大医学部在学中に司法試験も一発合格した僕のやっている シンプルな勉強法(河野玄斗)
勉強方法はとりあえず頭の良い人を参考にした方がいいので読んだ。読むだけで頭良い気になれてモチベーションアップにもつながって良かった。レベルが高すぎて真似できないものもあった。
午前I・Ⅱ
・(全文PDF・単語帳アプリ付)徹底攻略 応用情報技術者教科書 令和7年度(瀬戸美月)
章末問題があり、章を読むごとに定着を測れるのと、全文PDFが非常に良かった。書籍は座って勉強する際に使い、PDFは電車の中でタブレット端末で読んでた。
・令和7年度情報処理教科書 高度試験午前Ⅰ・Ⅱ 2025年版 (EXAMPRESS)
午前試験はテキストを読んでこれを解いていれば問題ない。分量が膨大なので購入特典のWebアプリなどで通勤中に解いたりしていた。
午後I・Ⅱ
・情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2025年版 (EXAMPRESS) (三好康之)
かなり解説が充実している。ほぼこれ一冊でいい。ただ分量が膨大であり全て手を付けるだけるだけの時間があればいいいが、現実にはある程度取捨選択をする必要があり不安になる。完璧主義の人は要注意(自戒)。自分は勉強する際スマホは持っていかないので観てないけれど、解説動画が付いていて素晴らしいと思った。コラムも非常に有用で面白い。
・プロジェクトマネージャ試験 午後I記述・午後II論述の徹底対策 2025年版(広田航二)
上記のEXAMPRESSの方では午後Ⅱの記述が経験者向けで記述パターンも多様だったため、ある程度の記述の型を知るためにITストラテジストでお世話になった広田先生の参考書を買った。また違った視点から解答を見ることができて良かった。
・歴代過去問
一番参考になる。ひたすら読み込んで疑似体験をしつつ頭に叩き込む。
書籍
(経験不足を補うもの、面白かったから読んでた)
絶対読むべき
・アジャイル開発とスクラム 第2版 顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント (平鍋 健児 , 野中 郁次郎 , 及部 敬雄)
できれば
・プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本(橋本将功)
・人が壊れるマネジメント プロジェクトを始める前に知っておきたいアンチパターン 50(橋本将功)
その他、IT経験が浅い人は関連書籍やIPAの資料などたくさん読み、質の高い擬似体験を積んだ方がいいです。
便利グッズ
・タブレット端末
Amazonの「Fire HD 8」という1万円くらいの端末を使っていました。勉強のための必要最低限のアプリしか入れず、音楽を聴く用と勉強用BGMの動画をダウンロードして勉強中流してました。経済的余裕がある人はiPadを買ってもいいと思います。
・タイムロッキングコンテナ
夜スマホをぶち込み強制的に触れないようにするため。
・タイマー
勉強時間を測るため。
ゴミ
・スマホ
大事な心構え
膨大な試験範囲をすみずみまで全てを完璧に習得することはできません。
PM試験であれ難関大学の入学試験であれ6割取れれば合格できます(医学部は除く)。
完璧には出来ない、ある程度ミスも妥協した上で、限られた勉強時間のなか点数を最大化させるための行動を意識してください。
勉強計画
以下、IT未経験の前提で書きます。
まず過去問を見て、合格までを逆算し計画を立てましょう。
私は「月毎(1週間区切り)」の計画と「その日やること」に分けて計画を立てていました。
・月毎
4つある試験区分でどの期間にどれをやるかざっくり区切る。
掛かる時間の目安としては、午前Ⅰ(3ヶ月)>午後Ⅱ(3ヶ月)>午後Ⅰ(2ヶ月)>午前Ⅱ(1ヶ月)など。
・日毎
◯◯年度午前Ⅰ、◯◯年度午後Ⅱなど
IT関連プロジェクトよろしく基本的に予定通りにいかないので適宜修正していきましょう。
試験対策
午前Ⅰ(難)
試験時間は50分・30問、4肢選択問題です。(6割以上で合格。合格率45%)
勉強時間の目安は、ITパスポート未取得・IT未経験で300時間程度です。ITパスポート取得者で150~200時間。
試験範囲は応用情報技術者試験の全範囲で、同日程の応用情報の午前試験からランダムに30問抽出されます。プロジェクトマネジメントの試験だからといって出題分野に偏りはありません。
ここで受験者の50%以上はITリテラシー不足ということでプロジェクトマネジメントの専門知識など問われることなく脱落するのでかなりの鬼門と言えます。
応用情報技術者試験に合格していたり、他の高度試験の午前Ⅰの基準点を満たしていると2年間免除権が得られます。なのでIT未経験者は免除権を手に入れてから受験するのが望ましいです。
勉強方法
1章読んで、その範囲の過去問を解くの繰り返しです。通勤時間に過去問Webアプリなども使って解きましょう。
大事そうなところを勘でマーカーを引きながら読んで、章末問題で確認という流れです。
ITパスポート未取得者の場合、内容が結構難しいので、適宜ITパスポートや基本情報技術者試験のテキストも参照しながら読み進めていきましょう。といっても1周目はあまりわからない部分に引きづられず、あんま良くわかんねえなあ〜くらいで流していく勇気も大切です。2周目以降だんだん分かってきます。
午前Ⅱ(やや易)
試験時間は40分・25問、4肢選択問題です。(6割以上で合格。合格率70%)
勉強時間の目安は30〜50時間。
出題範囲はプロジェクトマネジメント分野が多く、セキュリティ、システム開発技術、システム戦略、経営戦略などの分野からも出題されます。
勉強方法
午前Ⅰと同じです。
10〜15問は過去問に準拠した問題なので過去問をしっかり解いておけば十分合格できます。
間違えた箇所の解説をよく読んだりやテキストに立ち返って間違った箇所とその周辺の知識を復習しましょう。
大体試験範囲3周もすれば十分合格圏かなと思います。
「セキュリティ」と「プロジェクトマネジメント」は頻出なので特に重点的に押さえておきましょう。
午後試験
ここからはかなり「プロジェクトマネージャとしての思考法」が問われるようになります。
プロジェクトマネージャの経験者やIT関連プロジェクトの経験者が一層有利になる範囲です。
でもそういったマネージャー層は忙しかったり油断してたりしてそもそも試験対策が取れていなかったりするので、私含め経験の浅い人はそこになんとか滑り込んでいきましょう。
午後Ⅰ(やや難)
試験時間は90分・3問中2問選択、20〜50字程度の記述型文章問題。(6割以上で合格。合格率60%)
勉強時間の目安は50時間。(個人差あり)
システム開発のプロジェクトに関する文章が出題され、下線部の行動はプロジェクトマネジメントの観点からどういった目的・理由なのかが問われることが多い。
国語の文章題のようで実際そのような問題もありますが、プロジェクトマネジメントのリテラシーが問われるため、経験が多い人がかなり有利に思います。逆に私はIT経験が浅いため、IT関連の本を読んだことによる疑似体験で補っていました。
文章の質が高く、AIを活用したプロジェクトやアジャイルを用いたDX、心理的安全性の実現など、最新のIT業界を取り巻く事例がテーマとされているため問題文を読むだけでも非常に勉強になります。プロジェクトで発生する生産性の低下やコスト超過、進捗遅延のなどの事態とそれに対する予防措置、対処方法は殆ど午後Ⅰと午後Ⅱの事例で出てくるため、単なる試験対策に終始せず、良きプロジェクトマネージャになりたいと志す人ならば実際の現場をイメージしつつよくよく読み込んでおきましょう。
近年はアジャイル開発を用いたプロジェクトの文章や更に上流工程のITストラテジストの観点に寄った設問・テーマも多いです。(令和7年度問1など)
※ただ問題を作り慣れていないのか、設問の質はあまり良くないのでその点は慣れが必要です。公開されている模範解答を見ても「うーん」となることが良くあります。受験者を正しく評価するという試験の根幹に関わってくるのでそこは頑張ってもらいたいです(何度も言うけど文章の質はとても良い)。
勉強方法
IT関連の本を読み、基礎的なイメージを付けつつ、過去問を解いていきます。
参考書に「こういう場合は対処法としてこういう事をする」といったプロジェクトマネジメントの観点からの行動の正解・原則が書いてあるのでそれはある程度暗記というか頭に入れておきましょう。それは先代のプロジェクトマネージャ達の経験則の詰め合わせなので非常に参考になります。
一度解いて解答を見て理解して終わりではなく、「DX関連のプロジェクトにおける経営層の参画は常識として解く」など簡単なメモも参考書に残しておきましょう。
なお解いていくと分かりますが、「PMとしての考え」や「メンバーの思い、マイナスの現状」はその行動をした狙いなど必ず設問に絡んできます。
午後Ⅱ(難)
試験時間は120分・2問中1問選択、2200〜3000字程度の論述式問題。(A評価で合格。合格率45%)
勉強時間目安は150〜200時間。
ここまで来れば半分くらいが合格するコイントスのイージー試験です。受験者層のレベルが格段に上がっているという批判にはさしあたって耳を傾けずに、もはやITパスポートや基本情報と変わらない合格率50%の試験なんでもう合格したようなもんですね。(?)
初めに注意をしておくと、記述だからといってなんでも書いていい訳ではありません。問題文に書かれていること、設問で問われていることに漏れなく応える必要があります。
社会人でもそうですが、聞かれていないことに答えること、回答が主旨とずれていることは御法度です。
また、DXプロジェクトは世に様々ありますが、プロジェクトマネジメントには一定の「正解」、「定石」があります(重要)。自分が経験上今まで正しいと思っていたことでも、進捗遅延やコスト超過といったリスクに対し、そもそもプロジェクトの定石とは違う効果のない対策を施していたり、特定のリスクに対しあまり重要でないリスク対策をした場合も減点対象となります。(やった方がいいことは無数にあるかもしれないが、優先順位を付けて必要なものからリスク対策をしていかなければならない)。
これは現実のプロジェクトにおいても良くある事です。UATやったらバグという名の要望がめっちゃ上がってきて、それを課題管理ツールに起票して全部これやってとマネジメント側から言われる、とか。「やった方がいいこと」なんてのは無数にあります。その中で限られたリソースを最大限活かしROIを上げるために優先順位を付けてリスク対処を行なっていく必要があります。
令和7年度試験で私が選択したテーマは問1の「チームの育成計画」です。学生の頃から演劇サークルでみんなが生き生きと活動できる環境作りをするためにはどうすればいいのかなと常々考えて色々なことを行なってみたりしており、社会人になってからも育成やモチベーションの向上といったことはつねに考えていたので、面白そうだと思って選びました。時間的には10分くらい残して書き切りました。日頃から考えていたお陰かあまり難しくは感じなかったです。チームを良くするための自分の考えが採点官にアピールできると思って楽しく書けました。(勿論、心理的安全性とかアジャイルの理論とかを踏まえた上でそれから外れない形で書かなければなりません)
概要としては以下です。
・プロジェクト:証券バックオフィスのサブシステムの再構築
・大企業の親会社から受注できるBPO企業のため保守的(言われたことはしっかりやるが新しいことには挑戦しない)、年功序列、指示型リーダーシップの風土がある
・DXは初めて、経営層から組織風土改革のためにもアジャイル開発の強い要望
書いた内容としては採点講評そのまんまだったのであまり趣旨ともズレずに書くことができたのかなと思います。
勉強方法
Step1:プロジェクトマネジメントの書籍やテキストをサラッと読む
あまり時間は掛けなくていいです。
Step2:過去問を1問読んで15分くらい何書くか悩んで、解答を丸写し
最初は何を書いていいかチンプンカンプンだと思うので、とりあえず解答を丸写ししてイメージトレーニングしてみましょう。真似てるとこういう風に書くんだなとだんだん分かってきます。
Step3:3問あるうち、1問づつ解いてみる
色んな文献を参考にしてもいいので1問づつ解く練習をしましょう。
試験対策は基本的に過去問と書籍での事例の勉強です。
まずサラッと過去問を読んで、模範解答を丸写ししましょう。最初は2200字という途方もない分量で何を書いていいのか分からないかもしれませんが、試しに書いてみるとある程度書き方が分かってきます。
参考書に付随しているYouTubeの動画解説を観るのもいいかもしれません。
こういったリスクにはこういう対処法をするというパターンを午後Ⅰや午後Ⅱの過去問の事例を通してある程度覚えましょう。そして日頃の経験や書籍で学んだことで肉付けしていきます。
私は通勤中や昼休憩に過去問を1問読んで10分くらい記述方針を考える→答えを見るなどしていました。
事例は何か一つ特徴的な問題や厳しい制約を抱えている会社を用意していれば十分です(ex.年高序列、QCD厳守…)。
私は金融の証券バックオフィス事業を営む会社にしました。金融というJTCの最前線を走る業界で尚且つ何も行動しなくても営業からお金が貰えるので保守的な企業文化が育まれやすいからです。
大局的な記述方針としては、プロジェクトマネジメントの標準的な対処方法を示しつつ、プロジェクトや会社の組織風土などの独自性を考慮してこういった工夫を行なった(テーラリング)ということを記述します。
記述のポイントとしては、「定性・定量両面で評価をすること」、「リスクの兆候を察知し、解決策を打つ」、「具体的に記述すること」です。
最近の傾向
昔はQCDの管理を中心としたウォーターフォール(WF)開発をテーマの出題が多かったですが、QCDの遵守を目的とし個別最適を生みやすいWFは長期的・持続的な効果を求めるDX向きではないため(大規模システム開発は未だWFが多いが)、近年では1問はアジャイル開発を用いた価値の創出や心理的安全性の実現を意識した出題が多いです。令和7年度も「チームの育成計画」という主題で心理的安全性が保たれていないチームの状態を予防するための計画立案が出題されていました。これはWFでも書けなくもないですが、生産性の向上という露骨なアジャイルを意識した出題なので、アジャイル開発を用いた前提で書きましょう。(筋が通っていればWF型でも勿論合格評価はもらえると思いますが)
現在はただ要件に従ってシステム開発を行うというよりも、情報化により変化の激しくなった世の中で「価値」を生み出すアジャイル開発がますます重要になってきています。
これから勉強する人はWFだけでなく、アジャイル開発についても重点的に勉強しておきましょう。
雑記
論述対策としては書けそうなテーマをピックアップしてパターンを丸暗記してWF型で書くことで付け焼き刃的な勉強で合格することもできるかと思います。
もちろん、プロジェクトマネジメントにおいてある程度暗記しなければならないこともあります。
ただ、この試験は医師国家試験や司法試験のように合格がその職業に就くために必須の試験ということでもありません。
合・不合であれば合格するに越したことはないですが、合格を目的化してしまっていては本末転倒です。ただ合格という表面的な肩書きだけが残ってマネジメントスキルもリーダーシップも身に付きません。
大切なのは、日頃からマネジメントについてよく考えることだと思います。自分がマネジメントされる側であれば、自分はなぜ今モチベーションが下がっているのか・上がっているのか、なぜこの手法を用いるのか、なぜ進捗が遅延しているのか、マネージャー・リーダーのこの行動は正しいのだろうか、もっとこうした方がいいのではないかと考えること。
マネジメントをする側であれば、チームの生産性が下がっているのはなぜか、自分は何をすべきか、このリスクが顕在化した原因は何かと考えること。
そういったことを日々考えながら勉強をすることが、真にチームに貢献するプロジェクトマネージャとなることに繋がるように思います。
