温水プールの奥にあった、スペースインベーダーの記憶
小さい頃、たぶん、家族でよく行っていた場所があります。
小学校低学年だったのか、
それとも、それよりも前だったのか。
はっきりとは覚えていません。
でも、今でも断片的に思い出すくらいなので、
きっと何度も行っていたか、
私にとってかなり印象に残る場所だったのだと思います。
そこには、温水プールがありました。
家族が「温水プール」と呼んでいたから、
私の中でもずっと、そういう名前の場所として残っているのかもしれません。
広いプールがあって、
場所によって床の高さが少しずつ違っていたような気がします。
その隣には、小さい子用のプールもあったような気がします。
そこには、すべり台もありました。
今思い返すと、けっこう豪華な作りだったのかもしれません。
プールへ向かう途中には、卓球ができる部屋もありました。
ただのプールというより、
いろいろな遊びや休憩ができる、大きな施設だったのだと思います。
そして、私の記憶の中で特に残っているのが、
広い休憩所のような場所です。
長いテーブルがいくつも並んでいて、
座布団が置いてあって、
それぞれの家族やグループが、そこに座って過ごしていました。
ものすごく広い、というほどではないけれど、
子どもの頃の私には十分広く感じる場所でした。
休憩所には、ステージのような場所もありました。
誰かが歌っていたような、
カラオケの音が聞こえていたような、
そんなにぎやかな記憶があります。
館内着のようなものを着ている人もいて、
今思うと、ただのプールというより、
健康ランドのような場所に近かったのかもしれません。
もちろん、当時の私は「健康ランド」という言葉を
知っていたわけではありません。
でも今の言葉で説明しようとすると、
家族で一日過ごせる娯楽施設だったのかなと思います。
プールがあって、
休憩所があって、
卓球があって、
ステージがあって、
ゲームコーナーがある。
そんな場所でした。
その中に、ゲームコーナーがありました。
今なら、アーケードゲームとか、
テーブル筐体という言葉で説明できるのかもしれません。
でも、当時の私の語彙では、
ただ「スペースインベーダーのゲーム」としか言えなかったと思います。
もしかすると、
「スペースインベーダー」という呼び方を知ったのは、
もっと後だったのかもしれません。
テーブルくらいの大きさのゲーム機があって、
そこにボタンや操作するところがついていて、
画面をのぞき込むようにして遊ぶゲーム。
それが、私の中のスペースインベーダーの記憶です。
本当にスペースインベーダーだったのか、
それとも似たようなゲームだったのかは、正直わかりません。
でも、私の記憶の中では、
あれはずっと「スペースインベーダーのゲーム」として残っています。
たしか、テーブル型のゲーム機が
3台ほど横一列に並んでいたような気がします。
通路を挟んだ向こう側には、
背の高いゲーム機も並んでいたような気がします。
他にもゲームはあったはずです。
でも、不思議なことに、
私が覚えているのは、そのゲームだけです。
たぶん、遊んだことがあるのも、
そのゲームだけだったのかもしれません。
子どもの頃の私にとって、
そのゲームは、少し不思議なものでした。
家にあるおもちゃとも違う。
テレビゲームとも少し違う。
家族で過ごす大きな施設の片隅に置かれているゲーム。
画面の中で、何かが動いていて、
それを自分の手で操作する。
うまく説明できないけれど、
その感じが、とても印象に残っています。
プールのすべり台も、
卓球場も、
ステージのある休憩所も、
きっと楽しかったはずです。
でも、今こうして思い出してみると、
なぜか一番残っているのは、
あのゲームコーナーで、
スペースインベーダーのようなゲームをしていた記憶です。
しかも、ただ「楽しかった」というより、
少し安心していたような気がします。
にぎやかな場所の中にある、
小さな暗さというか、
ゲーム画面に集中できる感じ。
大人たちの声や、
カラオケの音や、
休憩所のざわざわした空気から、
少しだけ離れられる場所。
そんなふうに感じていたのかもしれません。
もちろん、当時の私はそんなことを言葉にできません。
ただ、そこに座って、
画面を見て、
ボタンを押して、
ゲームをしていた。
それだけです。
でも、今思い出してみると、
あの場所は私にとって、
ただのゲームコーナーではなかったのかもしれないと思います。
広い温水プールのある施設。
長テーブルと座布団のある休憩所。
ステージで誰かが歌っている空間。
そして、その片隅にあったゲームコーナー。
その中で、
私の記憶に一番静かに残っているのが、
スペースインベーダーのようなゲームだったことが、
なんだか少し不思議です。
子どもの頃の記憶って、
あとから思い出してみると、
「なぜそこを覚えているんだろう」
と思うものがあります。
もっと派手な出来事があったはずなのに、
なぜか覚えているのは、
テーブル型のゲーム機だったり、
画面の光だったり、
その場所の空気だったりする。
きっと、思い出に残るものって、
必ずしも大きな出来事だけではないのだと思います。
そのときの自分が、
安心したもの。
不思議だと思ったもの。
何度も見ていたもの。
うまく言葉にできないけれど、心に残ったもの。
そういうものが、
何年も経ってから、ふっと出てくるのかもしれません。
皆さんにも、
名前ははっきり覚えていないけれど、
なぜかずっと心に残っている場所はありますか?
子どもの頃に行った温水プール、
健康ランドのような施設、
旅館やホテルのゲームコーナー、
家族で行った休憩所。
そして、そこにあったゲームの記憶。
もし似たような思い出があれば、
聞いてみたいです。
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