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nanjyoushi_zaka
社会にはGPSがない
海の上では自分の位置が分からないと航海にならない
だから船は測位をする
灯台
レーダー
天体
いくつかの基準から距離や角度を取って現在地を出す
ただ面白いのは測位しても完全な一点は出ないこと
位置線が交わって小さな三角形になる
その中のどこかに船がいる
それでも十分だ
現在地がだいたい分かればコースを修正できる
一方で社会の中ではあまり測位をしない
目標の話は多い
夢の話も多い
「自分が今どこにいるのか」はほとんど語られない
しかも現実はもっとややこしい
社会にはGPSがない
レーダーもない
灯台も見えない
そもそも測位なんてできるのか
そして測位する必要があるのか
多くの人は測位をしないまま動いている
仕事をして
忙しくして
時間が過ぎていく
それでも船は進む
航海でも似た状況がある
雲で星が見えない夜
灯台も見えない沖
レーダーも使えない
そのとき船はどうするか
推測航法
最後に分かった位置と速度と進路から
「だいたいこの辺だろう」と考える
人生も多分それに近い
完全に位置が分かることは少ない
だいたいこの辺という感覚で進む
それでもたまに星が見える
何年も考えてしまうテーマ
身体が自然に動く行為
気づくと戻ってしまう関心
そういうものが自分の星かもしれない
星は目的地ではない
航海士は星に向かって進んでいるわけじゃない
星を使って位置を知る
そしてまた進む
社会にもそういう測位があるのかもしれない
ただその方法はまだよく分からない
