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誰かが笑ってくれたら、もうそれでいいです

今日のことを、せめて笑いに変えたいと思う。


昨晩どさどさ降っていた雨は、夜が明けるに連れて小糠雨こぬかあめに変わっていた。
雨音のせいか、それとも寝相の悪いチビから一晩中断続的な蹴りを入れ続けられたせいか、睡眠の質が悪かったワタシは三度目の目覚ましで起きる。
チビを挟んで眠っていた妻から「チビが起きるから一発目の目覚ましで起きやんかい!」という叱責を静かに受けながら寝室を出る。
急いで顔を洗い、髪を直し、歯を磨き、財布およびスマホをズボンのポケットに押し込む。水筒はカバンに投げ入れて家を出る。

寝坊気味につき小走りで駅に向かい、満員の電車に揺られながら呆ける。
降車駅に到着し電車を降り、てくてくとバス停に向かっていた時のこと。

ふと足が冷たいことに気づき目をやると、右の太ももがびっしょりと濡れている。

あれ。
小糠雨やった気がするけどな。
右足だけ集中豪雨とは珍しい。
こりゃかなり局所的な被害ってそんな訳あるかい!!!

慌ててカバンを見ると、そこにはカバンではなくダムがあった。

ああ。
なんやびっくりした。
今日はカバンと間違えてダム持ってきてしまっただけかいなってそ(以下同文)

どうやらカバンに入れた水筒の蓋閉めが甘かったらしく、一所懸命カバンに水分補給させていたらしい。
へぇ。意外とあるやん。と感心した撥水力によって水筒から流れる水はカバン内部にタプタプと溜められていたものの、限界を超えた分がその底部からワタシの右足太ももへ、さながら湧水が山麓に向かって流れていくかのように移動している。
耳を澄ますとせせらぎまで聞こえてきた。最悪の気分である。

脱ぐわけにもいかないのでびたびたのズボンのまま会社に到着し、カバンはひっくり返して窓際に干した。
窓際に一番近いのが部長席であり、部長は出社するなり「なんだねこのカバンは」と言っている。
あ、ごめんなさいワタシのです~。そのまま干しといてください~。と陳謝して事なきを得た。ワタシは社内でも個性的な人間として一定の評価を得ている(非常に嬉しい)ので、このように変なことをしていても職場の日常は凪いだままである。

昼から晴れてきたので窓のブラインドを全開にし、まぶしがる部長に「まぁまぁ、ワタシのカバンのためですから」と声をかけた甲斐もあり、退社する頃にワタシのカバンは"ずぶ濡れ"から"しっとり"まで状態を回復させていた。

水筒の蓋を、もう二度と開けられないのではないかと思う程の力で締め上げてカバンに投入。そして会社を出る。
だけど水は飲み切っていたので、よく考えたらそんなことをする必要は全くなかったことにワタシは気がつかない。

ズボンはいつの間にか乾いていた。

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