【転職/移住シリーズ③】転職初日、“経験者”のつもりで行って普通に詰んだ
🦝 転職して最初の1カ月。
オレは毎日、 脳みそがずっと軽くパニックだった。
いや、 もちろん未経験業界に飛び込んだわけじゃない。
一応、 同じ“小売業”だ。
30年近く、 接客も売場も、 クレーム対応も、 色んなタイプ店の空気も味わってきた。
だから正直、 どこかで思ってた。
「まぁ、なんだかんだいけるでしょ」
って。
結果……全然だった。
びっくりするぐらい、 何も分からない。
本当に、 何一つ分からない。
その業界の常識が分からない。
専門用語が分からない。
優先順位が分からない。
誰がどこまで判断していいのか分からない。
「このケース、どう処理するのが普通なんですか?」
その質問を、 一日に何回したか分からない。
しかも今回、 完全な新人ポジションでもなかった。
責任者ではないけど、 立場としてはナンバー3くらい。
だから周りも、 たぶん「経験ある人」として見てくる。
質問もされる。
相談もされる。
でも、 何も即答できない。
あれは地味にキツかった。
社会人経験がそこそこ長くなると分かると思うけど、 “何も知らない自分” って、結構ショック。
特にキツかったのがお客様対応。
クレーム対応自体は、 昔から散々やってきた。
怒鳴られるのも、 理不尽なのも、 まあ慣れてる。
でも、 業界が変わった瞬間、 “落とし所”が全部変わる。
どこまで謝るのか。
どこまで譲るのか。
何を優先するのか。
勝手に判断していいのか。
その会社ごとの 「いつもの対応」が全然違う。
結果。
「このケースって、いつもどう対応してますか?」
って、また周りに聞く。
いやぁ……。
長年やってきた側としては、 なかなか変な汗が出る。
しかも周りは、 年下だったりする。
でも、 詳しいのは当然そっちだ。
だからオレは、 とにかくメモした。
なんでもメモした。
少し手が空けば、 過去のメールを漁った。
昔のトラブル対応を読んで、 「あ、この会社はここまでやるのか」 を覚えた。
マニュアルというより、 過去ログ考古学である。
昼休みにも読む。
帰る前にも読む。
なんかもう、 新しいゲーム始めた直後みたいだった。
チュートリアルが終わらない。
しかもオレの見た目は大ベテラン…
いや怖い、本当怖い1カ月だった。
半年経った今は、 さすがに少し変わった。
過去ログに似たトラブルも何回か経験したし、 周りに普通に話せる人も増えた。
「あの人に聞けば大丈夫か」
みたいな、 職場の地図も少しできてきた。
これはかなり大きい。
最初の頃って、 質問一つするだけで、 妙に気力使うんだよな。
今は、 一日のスケジュールも自分で組めるくらいにはなった。
ちょっとだけ、 管理者っぽい動きもしている。
……まあ、 まだ全然ペーペーなんだけど。
でも不思議なもので、 半年経ってからようやく、
「あぁ、前職の経験って、 こういうところに残ってたのか」
って思う瞬間が出てきた。
人間関係。
クレーム対応。
トラブル時の空気。
ハプニングが起きても、 完全には動じなくなってること。
これはたぶん、 長年やってきた分なんだと思う。
知識は消える。
業界が変われば、 常識も変わる。
でも、 “人間相手の仕事” だけは、 少し身体に残るらしい。
だから今、 転職前の自分に言うなら、 たぶんこう言う。
要らんプライドは捨てろ。
前職の知識も、 一回忘れろ。
転職の面接では、 経験者として全力で戦え。
でも採用された後は、 誰よりも新人になりきれ。
今思うと、 オレがギリギリ壊れずに済んだのって、 最初から 「100%新人のつもり」 で店に入ったからだと思う。
あと、 職場を評価しようとするな。
「前の会社なら」 を始めると、 たぶんロクなことにならない。
……とか言いつつ。
半年経って、 ちょっと慣れてきて、 少し油断しかけてるオレもいる。
危ない危ない。
まだ全然、 分かった気になっちゃダメだ。
キミも気をつけて。
たきおお🦝
