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「ロダン早乙女の事件簿 SECOND・CONTACT」怨嗟の鎖    第二十二話

午後5時、ノックがあった。
 
 佐々木刑事が、
「教授、お迎えに上がりました。ところで、名刺ですが教授のお見立て通りでした。」

「やはりそうでしたか。佐々木刑事にお願いがあります。今日の捜査会議にはギリギリに入ってほしいのです。そして、捜査方針を言われる前にお話しさせていただきたいので、会議直前に水野係長に了解を得て下さい。お願いします。」

「それは構いませんが、どうしてですか。」

「佐々木刑事にはお伝えしたいのですが、そうすると、捜査員であり、且つ部下である以上、水野係長にその事を伝えなければならなくなります。そして私の発言ができなくなる恐れがあるからです。ただ、津野神さんの名刺の件は当然伝えて下さい。」

 佐々木刑事は分かりましたと言い、それ以上聞かなかった。まだ少し時間があるので、伊藤さんがコーヒーを淹れてくれた。

「伊藤さん、見ているとコーヒー豆からドリップで淹れていますね。美味しいわ。教授いつもこんな美味しいコーヒーを飲んでいるんですね。本庁はインスタントですからね。」

「これは、伊藤さんの好みで、いつもリラックスができるようにという配慮からです。私が助手をしている時はインスタントを入れていましたね。その当時は気が利かない助手だったかも。」

「そんなことはありません。ただ、あまり外出なさらないので、少しでもゆったりとした気分になれるようにと思っているだけです。」

 佐々木刑事が、ご馳走様でした、はいと言い、両手で太ももあたりを叩き、さあ行きましょうかとニコッと笑った。

 何か変。

 佐々木刑事は、車をとってきますと言い、先に出て行った。伊藤さんは後片付けをした後に、教授、出かけましょうかと言った。

 車は警視庁に着いた。
 時刻は午後五時四十分であった。身体検査後十階に上がると会議十分前であった。お願いしていたように佐々木刑事が水野係長に話してくれていた。 

 こちらに来ると耳元でOKですと言ってくれた。
 全員が席に着き、上席が入ってきた。水野係長の号令で礼をし、着席した。

 水野係長が、
「最初に、鑑識から報告がある。峯村、報告を。」

「鑑識峯村です。報告ですが先に画面を見て下さい。本日佐々木刑事の依頼で早乙女教授から提供いただいた津野神という記者の名刺です。結果は、教授の指紋しかありませんでした。」

 会議室がざわついた。あちこちで犯人かと言う言葉が飛び交った。

 お願いした通り、
「このことに関して、早乙女教授から意見を述べたいとのことなので、先にお話を聞くことにする。早乙女教授お願いします。」

「ありがとうございます。まず、この津野神セリさん、本名はツノイチノカミセリさんと言います。漢字では牛の角に数字の横一と神様の神と書いて、角一神さんと書きます。尚セリさんはカタカナです。

 この方とは、今年の一月十二日に私の仕事に関する取材に来られた方です。その時は、准教授時代の論文のお話をさせていただきました。その後、発刊していただいたのですが、その雑誌社が雑誌考都でした。」

 右隣にいた刑事さんが、それじゃあと言った。

「そうです。被害者の神崎さんに、回顧録の取材と称して近づいた記者の雑誌社です。ただ、捜査では当該記者は在籍していないということでした。取り敢えず、以前取材を受けていることから、本事件を隠したまま聞けると思い、上席の許可を頂き伊藤と訪問しました。

 すると、私の取材の担当者は秋山さんという男性だったので、おかしいと思い、取材のお礼を兼ねてお会いしたいと秋山さんと連絡を取りました。
 その日に会う約束をし、その場所に行くと秋山さんと共にその名刺の津野神さんが現れました。

 話をお聞きすると、ここ二週間はその秋山さんと一緒にいたそうです。まあ、秋山さんが共犯であれば疑う余地はありますが。グルメの取材をされていたのですが、うちの伊藤に逆取材していたことも含め、無意識を感じることはなかったので、本当であると思われます。
 
 ただ、話している中で何かしらの関係はあると判断しました。ですから、身辺調査は当然お願いしたいのですが、事情聴取は少し待っていただきたいのです。」

 すると、周りから、捜査方針に口を出すとは何様や、前の一件で図に乗っているんじゃないかという声が聞こえた。

 佐々木刑事が立ち上がり、
「私も教授の意見に賛成です。死体を遺棄するだけでもあれだけ用心深い犯人が、指紋のない名刺を差し込み、且つ、雑誌社が同じだなんて、すぐに分かるような証拠を残すとは思えません。」

 周りが、佐々木刑事に対し、お前は知っていたんだろう。それじゃ先に報告するべきだろうがと言われたが、

「黙れ、聞いていれば報告しておるわ。車の断定しかり、自宅での誘拐しかり、そして今回の名刺の件しかり、教授のお陰で分かったことばかりじゃないか。少しは教授の考えに耳を傾けろ。」と怒鳴った。

 すると、水野係長が仲間内での争いは許さんと言い、佐々木刑事に座るように促した。そして、上席と相談するので十分休憩とした。

 その間、佐々木刑事は先程の刑事さんに今にもつかみ掛からんとしていたので、抑えて下さいと言い、私も捜査方針に従いますので上席の結果を待ちましょうと話した。


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