オーディブル完聴#40 『バリ山行』
縁あって、このブログにたどり着いてくださりありがとうございます💚
なんとなくこの本の表紙とタイトルに惹き付けられて読んだ本。
『バリ山行』著者は松永K三蔵さん。この作品は第171回芥川賞受賞作。
初版は2024年7月、オーディブル化は2025年4月。
著者自身会社員をしながら執筆活動を続けていらっしゃるとのことで仕事の人間関係等とってもリアルに描かれているのでプロフィールを見て納得しました。
登山の描写が出てくるので登山好きにはたまらないのかなと思いましたが登山をしない人でも人の描写がとてもよく描かれているので、なぜだか惹き付けられてあっという間に読んでしまいました。
あらすじ
主人公の波多は、経営不振に揺れる建築会社「新田テック建装」の社員。内装リフォーム会社から転職して2年が経ちもともと会社の人間関係を避けてきた無趣味な社員だったが、同僚に誘われて社内登山部の活動に参加する。そこで、整備された登山道を外れて未開拓の危険なルートを進む「バリ山行(バリエーションルート登山)」を実践する職人気質の先輩・妻鹿(めが)と出会い、その独特な登山スタイルに強く惹かれるようになる。
感想
登山が趣味でない人も楽しんで読める作品
会社の登山部仲間と楽しく登るのも登山。そして自分で道を見つけて少々危険なルートの登山。両方の魅力、そして何故山に登るのか。自然を知る。普段の生活と180度異なる自然の中に身を置くこと。達成感。生きてる実感。スリル感。山に登る目的によって感じることはまるっきり違うんだな。
妻鹿(めが)さん
この物語で重要な登場人物である妻鹿(めが)さん。彼は会社の中でもみんなの輪の中でつるむでもなく、着々と自分の仕事だけをこなしている。会社の方針が変わったとて、その意に反し、自分の信じたことをする。
そして週末は一人で「バリ」をする。
昔働いていた会社で妻鹿さんみたいな人いたなぁ。と読みながらその人のことを思い出していた。
”仕事のことをあれこれ心配するのは自分がつくり出した不安”
(自分ではどうすることもできないから目の前のことをやるしかないってこと)
”山で向き合う恐怖は本物”
(自然の脅威と向き合い、自分の足で進む)
妻鹿さんの考え方だ。
私はこの割り切った考え方、とても好きだ。
自分を持っていないと、こういう考えができない。
昔の働いていた妻鹿さんみたいな人に思ったことと、
今、物語を読んで妻鹿さんに思うことは同じ。
ということは私は今も昔も自分を持ってないってことだ。。
ちっとも成長していない涙
会社内の様子や人間関係の描写がかなりリアル
経営不振になるとトップの方針がガラリと変わり、営業はそれに従って行動する。お客さんと一番密に接してきた営業が「今までのようにはできません」「もう御社とは取引できません」を伝える辛さ。経営者と平社員の間の溝もどんどん深まる。社内で不満が溜まるとそれをネタに内輪で呑みに行って愚痴やらあの人がクビになるだのの話になる。
ここら辺、かなりリアル。
私も似たような状況を経験した。
結局、呑みに行って愚痴を言い合っても何も解決しないのになんか集団でいれば怖くなくなるみたいな感じになるんですよね笑
その時は自分がどんどん嫌になっていった記憶があります。
働くことと山に登ること
仕事や家庭での悩み、誰でもありますよね。それを吐き出すものこの場合は山に登ることですが、ある人はランニングしたり筋トレしたり、ほかの趣味で気分を転換したり日常生活から切り離した時間や空間を作って「自分」を探したり、取り戻したり、見つけたり、整理したり、、、そんな時間がいまを生きる上で必要なんだろうな。
主人公の波多さんがやけに等身大の自分として読むことができました。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございました💚
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