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「管理」ではなく「共創」を。パートナービジネス1年生が、データとマインドセットのアンラーニングで学んだこと



はじめに:なぜ今、パートナービジネスを記録するのか

こんにちは、マネーフォワードの萬壽(ばんじゅ)です。
現在マネーフォワードのパートナービジネス領域のオペレーション部門の部長および経理財務領域におけるパートナービジネス営業企画の副部長を務めております。

今回、パートナープロップさまより「一緒にパートナービジネスを盛り上げませんか」とお声がけいただき、せっかくなのでいつもフロントに出ているベテランではなく、と機会をいただいたので、パートナービジネス1年生だった私としてはこの1年間の歩みを振り返ることにしました。

私の経歴は、営業(アウトソーシング)→事業企画(採用サービス)→事業企画(広告プラットフォーム)→そして現在に至ります。全体を見ながら事業を動かしていくことの難しさと面白さを「事業企画」として経験し、その道を進んでおりますが、これまでは直販組織を管轄していたところから、新たなチャレンジとして”パートナービジネス”の領域に飛び込んできました。

SaaS業界においてパートナービジネスに深く携わっている人はまだそれほど多くないかもしれません。しかし、多くのベンダーが「直販の限界」や「地方市場への展開」という壁にぶつかる中で、パートナービジネスは間違いなく今後の成長の鍵を握る領域です。

そんな「パートナービジネス1年生」の私が感じた、この仕事の難しさと、それを遥かに上回る可能性。この記事が、これからパートナー領域に挑もうとする方や、組織の壁に悩む方のヒントになれば幸いです。

1. 「指示して動かす」という思考を捨てた日

私のキャリアは営業から始まり、事業企画として「仕組みで事業を動かすこと」にやりがいを感じてきました。しかし、マネーフォワードでパートナービジネスに向き合った初日(大袈裟。笑)、大きな壁にぶつかりました。

「パートナーは、私たちの部下でもなければ、IS(インサイドセールス)の代替組織でもない」

当たり前のことですが、直販組織であれば、KPIを設定し、進捗を管理し、ある種の「指示」で組織を動かすことができます。しかし、パートナーは別の看板を背負ったプロフェッショナルです。

ここで私は大きなアンラーニング(学び直し)を迫られました。「どうすれば動いてくれるか?」という自分都合の問いを捨て、「パートナーが本当に売りたいと思う本質は何なのか?」「どうすれば両社でユーザーに最大の価値を届けられるか?」という問いに立ち返る必要があったのです。

マネーフォワードでは、Valuesの一つとして「User Focus」を、Cultureの一つとして「Respect」を掲げています。これは対ユーザーだけでなく、対パートナーにおいても同じ。置き換えると、それは「へりくだる」ことではなく「対等な立場で、相手の成功(Give)を本気で追求する」ことだと解釈しています。
その上で私としては「Give & Take」ではなく、「Give & Give & Give」の先に信頼は構築されていく。このマインドセットこそが、マネーフォワードのパートナービジネスにおける最強の武器になると私は信じています。

2. 「中堅領域」立ち上げの葛藤:社内連携というもう一つのパートナービジネス?

現在、マネーフォワードは中堅領域への展開も加速させています。この領域では直販のFS(フィールドセールス)とパートナーが同席して提案するスタイルが主流ですが、その連携には多くの苦労がありました。

「再販」という仕組みの理解から

社内の誰もがパートナービジネスの構造を熟知しているわけではありません。ユーザーを想うあまり、良かれと思って取った行動が、結果としてパートナーを置き去りにしてしまい、ご迷惑をかけてしまうこともありました。

三方良しは「社内」にも当てはまる

当初は商談の引き継ぎフローも未整備で、「パートナーにとってはプラスだが、社内のFSにとっては負担が増えるだけ」という歪な状態が発生することもありました。
「特定の誰かが過剰に負担をしている状態での成長は、長くは続かない」
関係者全員がハッピーになれる「三方良し」を実現するためには、社外への提案以前に、社内のルール設計や勉強会を通じた「共通言語作り」が不可欠であることを痛感した日々でした。

3. データ整備は「最高のリスペクト」である

理想を掲げる一方で、現場の状況は「暗闇」でした。
入社当時のデータ基盤は、受注実績がかろうじて追える程度。どのパートナーが、どんなプロセスで動いているのか、分析しようにも材料がない「手探り」の状態でした。

直販組織とは違うといえど、やはり最低限のパイプラインは見えるようにしたい。やはり「再現性」というキーワードはパートナービジネス領域でも大事にしたいポイントでした。そしてこの1年、私が取り組んだのは、この暗闇に灯りをともすことでした。

  • 現在地の可視化:パートナーごとの提案状況や解約率を泥臭く集計。

  • 「型」の発見:データから、パートナーの特性に応じた成功パターンを抽出。

データがない状態でのコミュニケーションは、どうしても「勘」や「お願い」になりがちです。それはパートナーの貴重な時間を奪うことにも繋がります。
「正確なデータに基づき、的確な支援を行うこと」。 それこそが、パートナーに対する最大のリスペクト(Give)だと考えています。

パイプラインの思想イメージ 引用パートナープロップ社

4. AI活用で「属人化」の壁を越える

マネーフォワードでは全社的にAI活用を推進しており、それはPBの領域でも同じ。PBの現場にどうAIを組み込むか。ここでも「Give」の精神が試されました。

  • 【失敗】自分たちの都合から始まったAI

当初「問い合わせ工数を減らしたい」という自分たちの効率化から、パートナー企業からのお問い合わせに対する自動回答ツールを検討しましたが、ボツにしました。それはパートナーとの大切な対話を軽視することに繋がりかねないからです。「自分たちが楽になるため」のAIは、パートナーへのGiveにならない。この気づきは大きな収穫でした。
    
自分たち視点でスタートしてしまったことで少し方向性が逸れたのですが、パートナーが楽になるという前提に立ち返ってもう一度チャレンジしてみたい気持ちはあります。

  • 【成功】知見を民主化する「知見者AI

一方で、社内のベテランが持つ「属人的な知見」をAIに学習させ、パートナーへの提案クオリティを底上げするツールは大きな成果を上げました。これにより、メンバーの誰もがあらゆる経験から導き出された「パートナーへの最適案」を練れるようになったのです。

5. 外部パートナー(PartnerProp)との新たな挑戦

仕組み化を加速させるため、現在「PartnerProp」という外部ツールの活用も開始しており、徐々にモニタリングの整備も進んできています。イメージしていたパイプラインの数字も見えてきており、ここからさらに作り上げていく「パートナーと同じ目線でデータを見られる世界」にワクワクしています。

自前でスプレッドシートを管理する限界を超え、パートナーへの直接的なGiveをテクノロジーで支援する。

マネーフォワードのパートナービジネスは、ここからさらに進化していく予感がしています。

6. 次の1年へ:広がる可能性

マネーフォワードには多くのプロダクトがあります。経理財務・人事労務・法務といった幅広いバックオフィス領域をカバーし、さらに、中小企業から上場企業まで様々なステージの企業に対応可能な、30ほどのプロダクトを展開しています。
これらを組み合わせることで、パートナーの事業成長にもっと貢献できるはずです。
体制が整ってきた今、各領域のセールスとの連携をさらに強固にし、パートナーと共に「ユーザーの成功」を形にするフェーズへと進んでいきます。

最後に:PBに挑む仲間たちへのメッセージ

パートナービジネスは、正直大変です。関係者が増える分、調整ごとも増えますし、解くべき課題の難易度も高い。

しかし、「自分がいいと思っているサービスを、自分一人では明らかに手が届かない多くの人たちへ届けられる」。このレバレッジの大きさは、パートナービジネスでしか味わえない醍醐味です。

ユーザーの成功の積み重ねが事業を作ることは変わりませんが、パートナーという「会社」と手を取り合うことで、その熱量は何倍にも膨らみます。もし、この記事を読んで少しでも心が動いたなら、ぜひこの挑戦的な世界に飛び込んできてください。

一緒に、SaaS × パートナービジネスの未来を作っていきましょう!


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