『あのころの私』を、私は知らない。
お盆は、帰省されますか?
そのとき、同級生に会いますか?
それとも
帰省してきた同級生に、会う予定はありますか?
※実際の出来事をもとに、一部をアレンジして書いたエッセイです。
7月のある日。
「お盆に帰ってくるんだったら、連絡してほしいって言ってたよ。久しぶりにみんなで話したいって」
地元にいる家族から、そんな連絡がきた。
「誰が?」
聞けば、たまにうちに仕事を持ってくる中学時代の同級生Aさんだという。
最初に浮かんだのは
「なんで今? どうした?」だった。
今回、声をかけてきたAさんとは、一緒に遊んだ記憶もない。同じクラスになったこともない。
なのに、みんなで集まって「久しぶりに話したい」と言っているらしい。
何をきっかけに、いきなり「みんなで飲もうか?」と誘ってくれたのか、不思議でたまらなかった。
ありがたいことなのだろうが、
私は少し冷めていた……。
私は中学を卒業し、地元を離れた。
そのまま地元に戻って暮らすこともなく、気がつけば35年以上が過ぎている。
小さな町だから、うわさ話も入りやすい。
地元に残っている同級生たちは、きっと、お互いの変化を少しずつ知っている。
結婚したことも、子どもが生まれたことも、その後にあったいろいろな出来事も。
年に数回は、地元の同級生で集まったりもしていると聞く。
私の中では未だ思い出話しで出てくる
「あの頃のあの子」が、少しずつ大人になっていく姿。
でも、私はその後の時間を知らない。
私が思い出すあの子は、15歳までの姿
実家に帰った時会う友人が、
あの子がね、と同級生の話をしてくれるが、聞いてても、どうもピンとこない。
「あの頃は楽しかったな……」
「元気そうで良かった」
とは思うが、私の中ではもう思い出になっていて、「会いたいな」とはならない。
あの頃の思い出は、もう何度も思い出し、十分に満たされているのかもしれない。
それが、
「久しぶりに会いませんか」
と、言ってきたって?
中学までの私しか知らない人たちが、今の私をどう思っているのか。
こんな出来事を思い出す。
中学3年生で同じクラスになり、話すようになった友達がいた。
高校1年、寮に住み始めたばかりの頃、その子から突然、手紙が届いた。
「今度、一緒にこれに参加しない?」
何かの体験イベントの資料が入っていた。
(当時は携帯のない時代。やり取りは手紙でした)
高校の寮の住所を教えていたのは、ほんの数人。
この友達は知らないはずなのに、
「わざわざ調べて、送ってくれたんだ……」
そう思った。
地元を離れた私にとって、とても嬉しい出来事だった。
結局、その体験には参加できず、それ以来、その子とは会うことも、連絡を取ることもなくなった。
それから約25年。
40歳のころ、地元で同窓会があった。
友達に誘われ、先生も来るというので、参加した。
そこには、彼女も参加していたので
「あのときのこと、覚えてる?」と、心弾ませ聞いた。
ところが返事は、
「え? そんなことあったっけ?」
……
「ごめん、覚えてない」
そう言われた。
ああ……
そうなんだ、覚えてないんだ……
相手にとっては、たくさんある高校時代の出来事のひとつだったのだろう。
「だよねー、そんなもんだよねー」
と、分かっていたかのようなふりをした私の顔は、
さぞ引きつっていたことでしょう。
大切にしまっていた思い出が、
あっけなく「一つ」、壊れた瞬間でした。
こんな思い出が、人生でいったい何個あるんだろう……(;'∀')
そして今回、また久しぶりに同級生に誘われている。
これは、本当なら喜ぶべきことなのだと思う。
(家族も、そのテンションで連絡してきたし)
15歳までの自分しか知らない人。
それなのに、同級生というだけで、会った瞬間に、
「あのころさー」
と話が始まる。
「あの頃と変わってないねー」と言われるのか、
「いやーん、変わっちゃって」と言われるのか、
はたまた「あー、面影が残ってる!」とか言われるのだろうか。
ただ、
そんなもんでしょ?と思う私。
社交辞令のようなものを、同級生の間でまですることに、
少し、疲れてしまったりして…
世渡り下手な私には、こういうのが、どうも苦手だ。
それより、気になることは
相手には、どんな記憶が残っているんだろう。
私のことを、どんな人として覚えているんだろう。
私との思い出のエピソードは何ですか?
そもそも、ありますか?
私が相手にしているのは、
相手の頭の中にいる私。
今回、その記憶がどうなって
なぜ私を誘うと言い出したのだろう……。
気にはなる。
正直、私の記憶の中では
「そんなに、仲良くはしてなかった人」
(嫌いとかではなく関係は薄かったハズ)
またこれも、私の中の記憶と感情
そして、正解がわからない。
変わっていてもいいのか。
変わってちゃいけないのか。
変わってていいところもあれば、
変わってほしくないところもあるのか。
あーーー、このジャッジの的にされるのを覚悟で、
帰るよと言わないといけないのか。
一緒に行くだろう友人は言うだろう。
「考えすぎ^^;」
……だよね。
どうでもいいことだよね。
だから、嫌なんですけど……行くの。
行くのか?私?
優柔不断な私が出てくる
あの、
そもそもさ……今さら、会わないといけない?
50過ぎまで会わなかった人に
飲み会の、
(話題の)つまみにされる感じのところには行きたくない。
そう思ってしまう。
質問攻めも、ご勘弁……。
「そんなつもりはないってー。
懐かしいんじゃない?」
と友人は言ってくれる。
でも、どこか、そんな感じに思っちゃうんだよね……。
今までも、実家には毎年帰ってきてたわけだし、
「連絡して」と言ってくれた子には連絡してたし、
会ってもいる。
なのに、なんであの人が今、誘ってきたのかわからない(;'∀')
年に一度の帰省という名の行事に、
なんか、高いハードルができたな……。
(ちなみに、次はお盆以外に帰る予定)
帰省の日程が決まったら、
「今度帰るよ」と、その人に連絡するのか、しないのか。
さあ、どっちにしよう。
『あのころの私』を、私は知らない。
もし会うことがあったら、
「あのころ」のことを、聞いてみようかな。

