第3話 淡恋
そして、それからしばらく経ったある日。
また僕たちは、あの公園にいました。
前と同じベンチ。
でも、その日はいつもと少し違いました。
会話が少なくて、お互いどこか落ち着かない。
僕もなんとなく、
「今日は何か起こるかもしれない」
そんな気がしていました。
しばらくして、彼女が僕の方を見ました。
目が合う。
二人とも少し照れながら笑う。
そして――
初めてキスをしました。
本当に一瞬でした。
でも、僕にはそれがものすごく長く感じました。
その後は二人とも恥ずかしくなって、何を話せばいいのか分からない。
結局、いつも通りくだらない話をして笑いました。
家に帰ってからも、ずっとそのことを考えていました。
「あれ、夢じゃないよな」
なんて。笑
スマホを開いて彼女とのLINEを見返して、また思い出して。
今思えば、かなり浮かれていたと思います。
でも、あの頃の僕にとっては、それだけで十分幸せでした。
好きな人と一緒にいる。
手を繋ぐ。
くだらないことで笑う。
そして、初めてキスをする。
それだけで毎日が特別でした。
初めてキスをしてから、僕たちはもっと自然に手を繋ぐようになりました。
会える日はできるだけ会う。
会えない日はLINEをする。
何か特別なことをするわけじゃない。
ただ一緒にいる。
それが楽しかった。
そして、僕は少しずつ思うようになりました。
「この人と、ずっと一緒にいたい」
本気でそう思っていました。
この先もずっと、彼女の隣にいる。
それが当たり前になると思っていました。
もちろん、この時の僕は知りませんでした。
この何気ない毎日が、
いつか僕にとって、
かけがえのない思い出になることを。
そして――
その「当たり前」が、
いつか当たり前ではなくなることを。
あれは突然の出来事でした。
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