Nikon Ai Micro-Nikkor 55mm f/3.5がとてもエモいいレンズだった。
仕事で東京に行った際、よく立ち寄るのがカメラのキタムラのジャンクコーナーだ。中古レンズを中心に感性を刺激する面白そうな道具がないか、ふらりと立ち寄る。
普段使いのスナップレンズは撮影仕事で使うレンズとは異なり、MFや単焦点を好んで使用している。自分の足で距離を稼ぎ、自分の身体感覚により近い形で目の前の景色やとらえたいものをカメラに収める。そのプロセスそのものの醍醐味をダイレクトに味わいたいからだ。
外出する際にはNikon NIKKOR Z 28mm f/2.8をよく使っている。
先日、秋葉原のカメラのキタムラ中古買取センターに立ち寄って、ジャンクコーナーのレンズを見ていた。
平日の夕方少し前の時間にもかかわらず、多くの人で賑わっていた。海外からの観光客、カメラが好きそうな若いカップル、どうやら転売を狙っているせどりの玄人風、多様な目的の多様な属性の人間模様が見れてなかなかに面白い。
それはさておき、MFレンズのジャンクコーナーで面白そうなレンズがないか探していると、Nikon Ai Micro Nikkor 55mm f/3.5が税込4800円で並んでいた。
このジャンク品と一口に言っても、本当に状態はさまざまだ。あたりもあればハズレもある。このレンズの場合、ヘリコイドグリスが切れているものの、レンズ本体のゴミや曇り、カビは許容範囲内だった。

何より、単純にマクロレンズの世界を味わいたくなった。
昔、AF-S 60mm f/2.8というマクロレンズを仕事で使っていたが、どちらかというと料理などの物撮り目的で、マクロらしい撮り方はほとんどせずにZマウントへの切り替えと共に手放してしまった。
もう一本掘り出し物で見つけた手頃なPENTAX SMC-M 50mm f/1.4(税込2200円)とともに購入し、家に持って帰ってきた。この価格で手軽にNikonやペンタックスの代表的なMFレンズを楽しめるとは、本当にいい時代に生まれた。
レンズクリーナーで2本のレンズを磨き上げると、汚れや表面の曇りがスッと取れた。どちらも外に持ち出すのに問題なさそうだ。

早速マクロレンズをK&F CONCEPTのマウントアダプター(Fマウント→Zマウント変換)を介してNikon Z6につけて外に持ち出して、あれこれ撮ってみた。このマウントアダプターはシンプルで造りもしっかりしているので、好んで使っている。
柔らかくて独特の空気感と画角を持つNikon Ai Micro Nikkor 55mm f/3.5。寄りで撮っても引きで撮っても楽しい。

絞り開放のf/3.5というのは一見中途半端な絞りに思えるが、実際に撮ってみると55mmという中望遠一歩手前の標準画角だけあっていい感じにボケが生まれる。視線を集中した際の背景のボケのような感覚だ。

いつも行くインド・ネパール料理店「カリまる」のカレーランチを撮ってみた。いつもよりもディテールが出てきている。ナンの焼き立てカリカリがいつも以上においしそうな雰囲気だ。

照明や装飾もその場の空気感をそのまま切り取ったかのようだ。特に照明ガラスの映り方と光のコントラストが美しい。

こういう何気ない撮影が、実は一番楽しい。
何も考えずに、撮りたいもの、みたいものを、新しい視点でカメラに収める。

そうそう、こういう体験がしたくてカメラのレンズを買ったんだよなと、心の中に喜びが湧き上がってくる。外歩きがますます楽しみになった。


筆者:KOZO
1981年生まれ、岩手県出身。インハウスエディター。広報・カメラマン・ギター・楽曲制作も。日々の出来事や感じたことを書きます。Amazonアソシエイトに参加しています。
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