初めてカメラを買ってから25年が過ぎた。
2000年秋、僕は初めて自分のカメラを買った。
一番最初のカメラは、中古で手に入れたNikonのFM10だった。レンズはキットレンズのAi Zoom-NIKKOR 35-70mm f/3.5-4.8だったと思う。価格はセットで1万5000円だった。
大学浪人のため岩手から仙台に引っ越し、予備校の寮から毎日自転車で25分、街の中心部にあった予備校の校舎まで通った。
寮では、当時の若者に普及つつあった携帯電話は禁止、テレビもお正月以外は禁止、楽器ももちろん禁止(なぜかノートPCは持込めた。多分PC自体がそれほど普及していなかったからだと思う)という環境だった。
予備校の授業は面白かった。大きな本屋さんがいくつもあって好きな本が読み放題という環境もあり、僕は意外にも予備校生活に順応していた。
ただ、決定的に何かが足りない気がしていた。端的に表すと、手持ち無沙汰だった。

高校でエレキベースやコントラバスを弾き始めた僕は、岩手ではあたり前のように毎日楽器に触れる生活を送っていた。
それが楽器が弾けない環境になり、なんだか表現したり自分の何かを発露したりするはけ口を急に失ったのが大きかった。
そこで目についたのが、カメラだった。
高校の修学旅行で記録係として学校から借りたコニカの現場監督で撮影した体験が新鮮で楽しく、その時のことを思い出したのだ。
カメラ雑誌を何冊か読んで、ヨドバシカメラや中古カメラを扱う一番町のコセキなどに予備校帰りに通い、カメラの知識を身につけていった。
当時爆発的に売れていたCanonのEOS Kissシリーズが当初の候補だった。だが、オートフォーカスに頼ることなくフルマニュアルで最初からカメラを使うと上達するとか、機械式のほうがカメラの仕組みをよく理解できるとか、そういう初心者向けのアドバイス記事を雑誌で読み、最終的に手頃な価格で売っていたNikon FM10に落ち着いた。(本当はFM-2が欲しかったけれど、予算が足りなかった)
早速フィルムを入れて予備校の友達を撮ったり、景色を撮ったり、自撮りをしたりして遊んだ。カシャンという小気味の良いシャッター音、手巻きの独特のクリック感、フィルムの匂い、すべてが新鮮だった。
1本目の現像されたフィルムと写真を見た時の感動は、今でも忘れられない。自分が見たものがこんなにも印画紙に美しく残るのだと、素直に嬉しくなった。
程なく単焦点で標準レンズのNikon Ai 50mm f/1.8を買い増し、一気に世界が広がっていった。

それから大学受験が終わるまでカメラは常に自分の横にあった。僕のカメラとの物語がいつの間にか始まっていた。
マニュアルフォーカスのレンズを久しぶりに触って、そんな昔のことを思い出した。あれからもう25年が経つ。今振り返ると、どう考えても1台目として渋過ぎる選択だった。
大学入学してしばらくしてから、芸術系の学生から写真実習で指定されたカメラがフルマニュアルの一眼レフカメラと50mmの単焦点レンズだったという話を聞いた。最初にカメラを知って写真を学ぶという意味ではすごく良い選択だった。

四半世紀も時間が経ったとは思えないくらい、カメラや写真が楽しいと思う気持ちは変わらない。一方で、1台目のフルマニュアルの機械式シャッターのカメラから随分遠くに来たものだなあとも思う。
あれから何台ものカメラとの出会いと別れを繰り返してきた。
フィルム一眼レフからデジタルカメラ、デジタル一眼レフ、そしてミラーレスへと変遷していく中、多少の寄り道もあった。だけどい、結果としてずっとNikonを使い続けている自分にちょっとびっくりしている。使うレンズも初期を変わらず50mmの単焦点が多い。
書いていたら久しぶりにフィルムカメラを触りたくなってきた。四半世紀経っても、写真を撮ったりカメラをさわったりするのは楽しくて飽きない。今日もカメラを持って外に出よう。

筆者:KOZO
1981年生まれ、岩手県出身。インハウスエディター。広報・カメラマン・ギター・楽曲制作も。日々の出来事や感じたことを書きます。Amazonアソシエイトに参加しています。
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