ナポリタンで闇を消せ
頭の中から泣き声がする。
メンヘラ女が金切り声で叫ぶように泣いている。
子どもの頃から幾度となく頭痛に悩まされてきたけれど、メンヘラ女の泣き声がしたのは初めてかもしれない。
これも全て、怠惰な連休を過ごしてしまったせいだ。
朝日が昇る頃に眠った代償が、メンヘラ女を降臨させる事態となったのだ。
無理矢理出勤したが、もちろん昼間は眠くなるし、若手社員の恋愛リアリティショーの話は頭に入ってこなかった。
「“今日好き”見てくださいよぉ!」と眩しい笑顔でプレゼンされた。
眩しい子に勧められた眩しいコンテンツは見るに耐えない。
何より“眩しさ”は頭痛に悪影響。
体の内部では別のことを考えながら、外部は理解したように頷いていた。
後でフィルターだけ替えれば良いのだから。
怠惰な自分と、恋愛リアリティショーを斜めに見た自分。
このツケが全て頭痛に繋がったのだと思った。
メンヘラ女の泣き声は増していく。
変に構うと逆上されそうなので、聞こえないふりをして目を瞑る。
朝になると泣き声は止んでいて、痛みも少なくなっていた。
それでもまだ頭痛の“核”のようなものが存在しているのを感じた。
起き上がるとそいつがつついてきたり、戯れてきたり、全然面白くないダルい絡みをしてくる。
頭痛とともに現れた症状がもう一つある。
それは、左目下の痙攣。
コンスタントに痙攣するので、左目だけ涙袋が発達しそうなほど。
左半分だけ地雷メイクのようになったら、メンヘラ女の思う壺だ。
頭痛薬を飲むために、胃にクッションを敷く必要があった。
昨日作ったかぼちゃの煮付けを敷き詰める。
「我ながら上手くできたな」という感想が生まれる前にロキソニンをぶち込み、かぼちゃの煮付けにキャッチしてもらう。
かぼちゃの煮付けとともに体内を駆け巡り、細胞とともに働け、この野郎。くたばれメンヘラ女。くたばれダル絡み大臣。
そこからしばらく横になっていると、幾らか楽になって、お腹も空いた。
スーパーのプライベートブランドの安い冷凍パスタを、文明の力で温まる。
チープなナポリタンの上に、ドサドサと粉チーズをふりかける。
食べ終わると、メンヘラ女もダル絡み大臣も綺麗に姿を消した。
昨日からサボっていた頭痛薬が今日になってしゃかりきに働いたのか、ナポリタンと粉チーズが暗殺したのかはわからない。
とにもかくにも、おかげで明日への希望が湧いた。
闇に葬り去りたい夜も、全て投げ出したい昼間も、一旦ナポリタンに粉チーズぶっかけて食べてみな。
「もうちょっとかけようかな」とか、
「あ、かけすぎたな」とか思っているうちに、
痛みも苦しみも悲しみも削り落ちていくだろうね。
周りがどう言おうと、どう思われようと、ナポリタンと一緒に飲み込めばいい。
貴方が思うより内部フィルターは高性能だ。
だからこそ⸻ナポリタンで闇を消せ。
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みっくみくにしてやんよ ⊂ミ⊃^ω^ )⊃