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生きづらさの理由を紐解く5つのテーマ 「お金」と「自分」の見つめ直し方

『自分を大切にする5つの物語』へようこそ
日々の生活で感じるさまざまな悩みや不安に寄り添い、自己肯定感を高め、より自分らしい生き方を探求してみませんか?
「共感」「お金」「期待」「役割」「自分がわからない」といったテーマに焦点を当て、それぞれの内側と外側を見つめ直すことで、悩みの根本にアプローチできます。
今回は、とくに多くの方が関心をもつ「お金」と「自分自身の迷い」に関する物語をダイジェストでお届けします。
 ぜひ、本書の完全なストーリーをお楽しみいただき、あなた自身の物語に新たな一歩を刻んでください。
 
※本稿は、谷脇まゆみ・著『自分を大切にする5つの物語 悩みの内側と外側を知り自己肯定感をあげる』(ごきげんビジネス出版 ブランディング)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

1.「お金」と向き合ってみよう!

私たちの日常に深く関わる「お金」。手元にあるとき、ないとき、そして使い方までもが、私たちの自己肯定感に影響を与えています。本書の第2章では、「お金」がどのように私たちの悩みの種となり、またどのように解放されるのかについて探求します。
 
日常のなかで、こんなことを感じたことはありませんか?
●お金がないと自分は価値がないように感じる
●まわりの成功者と自分を比べ、焦りや劣等感に苛まれる
●お金を稼ぐために、自分を犠牲にしていると感じる
 
「お金」が自己評価や他者との比較の軸となってしまい、自分の本当の価値を見失ってしまう。その原因となる「外側」の社会構造、とくに現代の資本主義や消費社会の仕組みを紐解きながら、私たちがどのようにお金に縛られているのかを、次項より物語を通じて探っていきます。そして、「お金」という外的要因に惑わされずに、自分をどう大切にできるのか、そのヒントを提示します。
さらに、物語の主人公が自らの「お金」に対する価値観と向き合い、解放されるまでの旅を通じて、読者自身が自分の考えや行動を見つめ直すきっかけを提供します。
「お金」との関係を見直し、自分自身をもっと大切にし、自己肯定感を高めるための第一歩を踏み出しましょう。

2.Chapter1 明彦の焦燥と葛藤

●明彦の来店

2010年、夏
「お先に失礼します」と声を発して、明彦は6時にオフィスを出た。数名が「おつかれさま」と声をかけるが、彼には「定時帰宅ですか」と嫌味に聞こえる。仕事を終えたのだから、と内心つぶやきながら、課長の言葉が胸に刺さっていた。「顧客の要求をもっと引き出せ」と言われるたび、彼は自分の限界を感じていた。
明彦は31歳、中肉中背のエンジニア。真面目な外見とその技術力は評価されていたが、彼にとってコミュニケーション能力を求められることは苦痛だった。無意識のうちに心の中でつぶやくことが増えていた。
「しゃべれないエンジニアはクビかよ」と呟きながら、彼は熱気漂う夏の夕暮れを歩いていた。浴衣姿の人々がすれ違い、ふと家族のことが頭をよぎる。だが、彼は今のままでは家に帰る気になれず、無意識のうちに父親の喫茶店に向かっていた。10年以上も経つが、父が役所を辞めて店を始めたことに対する明彦の複雑な思いは消えないままだ。
彼は古びた木製のドアを引き、父の店に入る。「明彦じゃないか!」と父が驚きの声を上げ、母も笑顔で迎えてくれる。無意識に選んだ店だったが、そこはどこか心が安らぐ場所でもあった。

●人の気持ちが察せないと仕事はできないのか?

「コーヒー、ホットで」と父に注文した明彦は、母からの体調を気遣う言葉に「元気だよ」と応じるが、その言葉にはカラ元気が混じっていた。母が席を離れ、父と二人きりになると、明彦は自身の悩みを語り始める。「人の気持ちが察せないと、仕事ができないのか?」と疑問を投げかける。
父は静かに応じる。「確かに、世の中は理屈だけじゃない」と言いつつ、明彦の心の内にある葛藤に寄り添うように話しを進めた。明彦は、仕事で顧客のニーズを正確に理解しようと努力する一方で、「共感」や「相手の気持ちを察する」ことが苦手だと感じていた。彼は、その矛盾に苛立ち、さらに職場での評価や未来への不安が頭をもたげていた。
父は彼に「世の中の矛盾や曖昧さをどう受け止めるかが大切だ」と語るが、明彦は自分の不安と向き合うことに難しさを感じていた。

●「共感できない」起点とする連鎖は本当か?

父との会話が進むにつれ、明彦は自分の心情を少しずつ解き放っていく。仕事で顧客とのやりとりがうまくいかない理由が、自分の「共感力の不足」にあると感じていた彼は、上司からもその点を指摘されていた。それがプレッシャーとなり、自分が「職場で生き残れないのではないか」という不安が常に付きまとっていた。
父はそんな息子に問いかける。「本当にそうなのか?」明彦は一瞬、思考を止め、入社以来の7年間、彼が何とかやりくりしてきたことに気付く。それでもなお、「相手の気持ちを察する」ということが、仕事を続けるための絶対条件であるという重圧が彼を襲っていた。

3.Chapter2 仕事と人生をつなぐ「交換」の意味

●社会は「交換」でできている

父の問いに対して明彦は声を強め、「今のままでもなんとかなるのかもしれない」とつぶやいた。彼の中で、少しだけ光が見えた瞬間だった。
コーヒーを一口飲んだ後、父はふと歴史の話を持ち出した。「縄文や弥生時代、人々は物々交換で生活していた」と。明彦はその話に戸惑いながらも、父が伝えたかった「社会は交換で成り立っている」という視点に気付く。物だけでなく、気持ちや価値観も交換の一部であり、それが社会を支える重要な要素なのだと。
父は続ける。「社会の中で、人々は『交換』によってつながっている。お互いに何かを提供し合い、その結果、生活や仕事が成り立っているのだ」と。明彦はその言葉に深く頷き、今まで考えたことのなかった視点に目を開かされていく。

●金銭も「交換」の一部

「お金もその一部だ」と父は続ける。物々交換が発展し、今ではお金がその役割を果たしている。だが、単なる物のやり取りではなく、そこには「価値観の交換」や「思いの交換」が含まれている。明彦は、今までただの数字や報酬としてしか見ていなかった「お金」の持つ本質的な意味に少しずつ気付いていく。
父の話を聞きながら、明彦は「お金」を介した人間関係や社会の仕組みを再認識し、その中で自分がどう生きていくべきかを考えはじめた。
 
店を出る頃、明彦は心の中に小さな変化を感じていた。仕事に対する不安やプレッシャーはまだ完全には消えないが、「交換」という新たな視点が彼に新しい道を示してくれるかもしれないという期待が芽生えていた。

関連書籍

『自分を大切にする5つの物語 悩みの内側と外側を知り自己肯定感をあげる』
著・谷脇まゆみ/ごきげんビジネス出版 ブランディング/発売:2024年09月24日

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