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越境学習は、視野を広げるだけでなく、仲間を増やす時間でもある


今年入社した新卒メンバーに、
他の事業での業務体験を1週間してもらった。

各部署を1日ずつ回ってもらい、
最終日の金曜日に成果発表をしてもらう。

そんな企画だった。

各部署には、1日で体験してもらう
業務スケジュールを組んでもらった。
講師役のメンバーもあててもらった。

企画した側としては、正直なところ、
新卒メンバーの方に目が向いていた。

どんな学びになったのか。
戻ってからの仕事のヒントになったことは
何か。
他の事業を見たことで、視野は広がったのか。

そんなことを聞きたいと思っていた。

教える側が教わることが多いものよぉ

でも、最終日の成果発表を見ていて、
少し違うことに気づいた。

実は、教えた側のメンバーの方が、
かなり気にしていたのだ。

自分たちが教えたことは、
ちゃんと伝わったのか。
1日の体験は、楽しい時間になっていたのか。
自分たちの部署の仕事を、
どう受け取ってくれたのか。

講師役のメンバーや、その部署の管理職も
成果発表に参加していた。
発表を聞く姿を見ていると、
ただ聞いているという感じではなかった。

授業参観に来た父兄どころの話ではない。

自分たちの子どもの発表を見る、というより、
自分たちがした授業の結果を見ている
先生のようでもあった。

もちろん、これは少し大げさな言い方かもしれない。
でも、それくらい前のめりに見ていたように感じた。

新卒メンバーからは、こんな話があった。

入社当初にも業務の説明は聞いていた。
でも、実際に自分たちが経験させてもらうと、
印象が違っていた。

この言葉は、やっぱり大きいと思う。

説明を聞くことと、体験することは違う。

資料で知ることと、
現場で少し手を動かしてみることは違う。
誰かから説明されることと、
その部署の人と一緒に時間を
過ごすことも違う。

たった1日でも、見え方は変わる。

「そういう仕事があるんですね」から、
「こういうふうに仕事が進んでいるんですね」
に変わる。

この差は、意外と大きい。

一方で、管理職からは発表に
対してこんなコメントもあった。

スライドの文字量が少なくて見やすい。
話す原稿とスライドが分かれていて、
理解しやすかった。

このコメントも印象に残っている。

成果発表の内容だけではなく、
伝え方も見ている。
新卒メンバーが、体験したことを
どう整理し、どう伝えようとしているのか。
そこにも目が向いていた。

越境学習というと、
どうしても「学ぶ側」に注目しがちだ。

新卒メンバーが何を学んだか。
視野が広がったか。
自分の部署に戻ったときに、
何を活かせそうか。

もちろん、それは大事だ。

でも今回やってみて、
僕はもうひとつの面に気づいた。

越境学習は、教える側にも効く。

教える側は、自分たちの仕事を
どう伝えるかを考える。
1日という短い時間で、
何を経験してもらうかを考える。
相手にとって分かりやすい順番を考える。
どこまで説明して、
どこを体験してもらうかを考える。

そして最後に、相手の発表を聞きながら、
「自分たちの仕事はどう伝わったのだろう」
と気にする。

これが、
思っていた以上にいい時間だった。

教えることは、楽しい。

もちろん、準備は大変だ。
通常業務もある。
1日で体験してもらうスケジュールを
組むのも簡単ではない。

それでも、
自分たちの仕事を誰かに伝える機会は、
自分たちの仕事を見つめ直す機会にもなる。

普段やっている仕事は、
慣れてくると説明しなくなる。
自分たちにとって当たり前になっている
ことほど、言葉にしなくなる。

でも、新卒メンバーに伝えるとなると、
そうはいかない。

そもそもこの仕事は何のためにあるのか。
どこが難しいのか。
何を大事にしているのか。
会社全体の中で、
どこにつながっているのか。

そういうことを、
一度言葉にする必要がある。

その時点で、教える側も
学んでいるのだと思う。

そして、もうひとつ。

越境学習は、仲間を増やすことにもつながる。

業務説明を聞いただけの部署と、
1日一緒に過ごした部署は、やっぱり違う。

「あの部署」ではなく、
「あの日に教えてくれたあの人がいる部署」
になる。

「あの仕事」ではなく、
「あの人たちがやっていた仕事」になる。

これは、小さいようで大きい。

仕事は、組織図だけで進むわけではない。

困ったときに、少し聞きに行ける。
別の部署の事情を、少し想像できる。
相手の仕事を、前より雑に扱わなくなる。

そういう関係が、
あとから効いてくることがある。

越境学習は、視野を広げるためのもの。
そう言われると、その通りだと思う。

でも今回、僕が感じたのは、
それだけではなかった。

越境学習は社内に仲間を増やす時間でもある。

そして、教える側にとっても、
自分たちの仕事を見直す、
少し楽しい時間になる。

ここから先は、今回の体験をもとに、
越境学習を「いい体験だったね」で
終わらせないために、僕なら何を考えて
設計するかを整理してみたい。

業務体験や部署横断の研修を企画する人。
新卒や若手に、
他部署の仕事を知ってもらいたい人。
部署を越えたつながりを、
少しずつ増やしたい人。

そんな人の参考になればうれしい。


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