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「月曜のパンツが消えた件について」

 朝6時、目覚ましのアラームが耳元で核爆弾のように鳴り響いた。
「起きろ、社畜!」と言わんばかりの音量だ。
 私はその声なき怒号に、条件反射でスマホをベッドの下に落とした。

 うっすらと目を開けると、カーテンの隙間から刺す光が、まるで「お前、昨日も洗濯してないだろ?」と問い詰めてくる。

 そうだ。
 洗濯、してない。
 というか、パンツがない。

 そもそも私は、自称・ミニマリスト。
 つまり、洗濯を怠ると即詰む構成で生活している。
 パンツ5枚、靴下5足、白シャツ3枚。
「洗濯は週2で回せばOKっしょ♪」という楽観に支えられた生活。

 だが、現実は非情だ。

 先週、雨が3日続いた。
 部屋干しはカビ臭い。
 結果、私は日曜の夜に「洗濯をしていない」という大罪を背負って、月曜を迎えてしまった。

  6:10。 私は無言でタンスを開けた。

 1段目:シャツ(しわくちゃ)
 2段目:靴下(穴あき)
 3段目:……あった!と思ったら水着の下だった。

「うーん……あり、なのか?」

 迷うこと3秒。
 私は理性を選んだ。
 水着は、水着だ。
 スーツの下に履いていくもんじゃない。

 6:15、洗濯機の前で絶望。
 中にあるのは、土曜の飲み会帰りに脱ぎ捨てた全ての汚れた衣類。


 やるしかない。
 即洗濯、即乾燥。
 ドラム式乾燥機なんて高貴な存在は我が家にない。

 ということで、私は「電子レンジで温める」という禁忌に手を出してしまった。

 やり方はこうだ:

 パンツをよく絞る

 キッチンペーパーでくるむ

「お弁当あたためモード」で20秒チン

 出す

 熱い

 ……結果、ふんわりとした湯気が立ち上る一枚のパンツが完成した。

「これ、パンじゃないよな?」

 
 満を持して出社。

 スーツの下、電子レンジで蒸されたパンツを装着しているのは自分だけだろう。

 エレベーターで同期に言われた。

「なんか今日、あったかそうな顔してるね?」

 言えない。
 下半身がパン蒸し器になってるとは言えない。

 会議中、微妙に湿った座り心地に集中力がもっていかれる。
 議題は「業務効率化」だが、私は頭の中で「次からはパンツを増やそう」という結論を出していた。

 
 帰宅後、私はついにAmazonでパンツ10枚セットをポチった。

 レビューが熱い。

「夫が大喜び!洗濯も楽に!」
「毎日違う色でテンションが上がる♪」

 みんな、パンツに何を求めてるんだ。
 でも、わかる。
 人生は、パンツ1枚で劇的に変わることがあるのだ。


 3日後。
 新しいパンツが届いた。

 開封してみると、「え、全部グレー!?」という地味な展開だったが、それでも私は感動した。

 乾いてる。
 未使用。
 袋入り。

 それだけで、泣きそうになった。

 結論:
 人はパンツがなくなると急に哲学者になる

 洗濯の重要性は、パンツで学ぶ

 レンチンは最後の手段。真似しない方がいい

 そして、月曜の朝に人は成長する(はず)

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