第26話「運動会でてこ原理を説く
秋晴れの朝——
校庭にはカラフルなテントと旗が並び、
中学校恒例の運動会が始まろうとしていた。
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生徒たちが徒競走、玉入れ、リレーと準備を進める中、
アルキメデスは……スケッチブック片手に、ずっと騎馬戦の組み方を見ていた。
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「むむ……あれは、三点支持の応用か?
力点・支点・作用点が……! よし、わしも戦場へ!」
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チーム分けの際、彼は即決で「騎馬の上」を希望。
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「なあアルキメデス、ちゃんと相手の帽子を取るルール覚えてる?」
「任せておけ。支点を制すれば、勝利もまた見える!」
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試合が始まると——
「おおっ、今だ! 左の馬の支柱が傾いた! 引き! 引けーッ!」
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指示が細かすぎて、下の生徒たちは困惑。
「うるせぇ! 物理で戦うな!」
騎馬戦のあとは、徒競走。
スタートラインで構えるアルキメデス。
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「よし……スタートの角度は約32度。重心を前傾、風向き微東南——」
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ピッ!!
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「まだ構成要素の分析が終わっておらん!」
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出遅れて、あえなく最下位。
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応援していた吉澤がため息。
「考えすぎて、逆に動けなくなるやつだな……」
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続く借り物競争。
アルキメデスが引いたカードは——
『〇〇の形をしたもの(“円”に関係)』
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彼は嬉々として探し回る。
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そして、理科準備室から、
直径30センチのπ模型(円周率を視覚化した教材)を持ち帰る。
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ゴールラインを越えながら叫ぶ。
「これは世界の調和を示す神聖なる円環——“π”の象徴なり!!」
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場内、爆笑と拍手。
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その日のノートには、こう記されていた。
《運動と論理》
・てこの原理=戦術的思考の基本
・だが実行には“単純な力”も必要
・走るとは、考えるより、まず踏み出すこと
・そして“π”は、今日もわしの傍らにあった
(第26話 完)
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