第三章『修理の難関と工夫』(02)
【一勤の発明、失敗からの再起】
その頃、図工室の反対側では、坂本田一勤が電子キーボードと格闘していた。
「電源入った!……けど、鳴らない?なんで?」
一勤はワイヤーの束と回路基板を交互に見つめながら、何度もテスターを当てていた。すでに三日目。彼の机には分解された部品とハンダごて、そしてポップな色のLEDが散らばっている。
「今度こそいけると思ったんだけどな……」
ぽつりと漏らす声は、普段の自信家とは別人のように弱々しかった。
「一勤、何回目の試作?」
背後から桃音が静かに声をかける。
「七回目。スピーカー部品を再利用したんだけど、電圧が合ってなかったかも」
「じゃあ、一度全部戻そう。オリジナルに忠実な構成にして、そこから改造部分だけ確認してみて」
桃音は手早く回路図を描き、問題点を箇条書きにして渡した。「まず“動く”状態を作って、そこから“面白い”を足して」
そのアドバイスに、一勤は深くうなずいた。「そっか。基本忘れてた。ありがとう、指揮者さん」
彼は再びハンダごてを手に取り、再起を誓う。
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