靴下、どこいった
朝7時35分。今日も時間がギリギリ。あと15分で家を出ないと、電車が「満員レベルEX」に突入してしまう。
私「よし、あとは靴下履いて出るだけ!」
──ない。
片方、ない。
~第一章:なぜ片方だけ消えるのか~
靴下は、ペアで存在しているはずである。
洗濯機にも一緒に入れた。干すときもセットだった(記憶では)。引き出しにしまったはず(おそらく)。
なのに──今朝。右足だけが、消えている。
これはもう、妖怪の仕業ではないか。
「靴下カクシ」人が焦っているタイミングを見計らって、片方だけ持ち去る妖怪。
~第二章:全力で探すも、なぜか“派手なやつ”しか見つからない~
とりあえず引き出しの中をかきまわす。
→ オレンジのしましま(昨日履いた)→ クリスマス柄(季節外れ)→ 片方だけのピカチュウ(もう片方どこ)→ ピンク(左右で素材が違う)
なぜ、「今日履きたいやつ」だけがないのか。
全宇宙が私のファッションに嫌がらせしているとしか思えない。
~第三章:間に合わせで“違うペア”を組んでみる~
時間がない。
→ 黒い靴下と、黒に近い紺→ スポーツ用ソックスと、ビジネス用ソックス→ 左足・くるぶし丈、右足・ふくらはぎ丈
遠目にはバレないかもしれない。
でも、自分が歩くたびに違和感を感じる。
「この左右差、気になる……」「今日一日ずっとこれ?……無理!!」
~第四章:靴下を変えるか、心を変えるか~
選択肢は二つしかない。
① 靴下を揃えるために予定を遅らせる② 靴下を妥協して時間通り出る
そして私は──
③ 無言でサンダルを選ぶ
もうどうでもいいや精神、発動。
~第五章:そもそも、なぜ靴下はこんなに消えるのか問題~
家のどこかに、靴下だけを吸い込む異次元の穴がある気がする。
・洗濯ネットの裏・ベッドの下の奥・クローゼットの隙間・洗濯機のドラムの“あの謎のスキマ”
探しても探しても出てこない。
でも、出かけたあとに突然出てくる。
「今!?このタイミング!?」
~第六章:「片方だけ出てきた」事件簿~
そして夜。
出勤から帰ってきた私の目に映ったのは──
床の端っこで、くしゃっとなって転がる“片方の靴下”。
私「おまえ……今さら出てくんなよ」
しかも、しれっとしてる顔してる。
あたかも「ここにいましたけど?」みたいな態度。
~第七章:靴下を統一しようとして挫折する話~
決意した。「もう全部の靴下を、同じ黒にする!」
→ 黒ソックス10足購入→ 数週間後:3足行方不明→ 色あせてきて微妙にトーンが違う→ 結果:どれがペアかわからなくなる
“全てを統一する”という理想は、現実に敗北した。
~第八章:靴下の片方が“未来の何か”に使われることを願う~
片方だけ残った靴下。
・雑巾にするには厚すぎる・ポーチにするには短すぎる・手袋の代わりにしてみたけど、フィットしない
結果:引き出しの奥に眠る“片足難民”が増えるだけ。
私「……こいつら、どこへ行けばいいんだろう」
結論:
靴下の片方は、必ずいつか行方不明になる
時間のない朝に限って消える
間に合わせは心がざわつく
揃える努力より、心の柔軟性が求められる
そして靴下は、勝手に帰ってくる(遅れて)
~最終章:また明日も、私は靴下を探す~
翌朝。新しく買ったはずのグレーの靴下が、片方しか見つからない。
私「またかよ!!!」
でも、もう慣れている。左右違いの靴下で、さっそうと出勤。
──そして駅でふとすれ違った人の足元を見ると、明らかに左右の靴下が違う人がいる。
同志、発見。
その瞬間だけ、世界が少しあたたかく見えた。
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