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aityun0914
第3巻 名古屋市:シャチホコノカミの願い
名古屋城の堂々たる天守閣が、朝日に照らされて黄金に輝く。
その麓には、守護神シャチホコノカミが静かに佇んでいた。
彼は名古屋城の守り神であり、何より安全と守りを重視する堅実な性格だった。
しかし、願いを叶えるときはいつも「守り」に変換してしまい、実用性に徹底的にこだわるため、本人も気づかないうちに願いが変質することもしばしばである。
ある日、会社員の晴矢が神社で願った。
「職場のトラブルがなくなりますように」
シャチホコノカミは、少し考えてからゆっくりと願いを受け入れた。
「トラブルがなくなる…ならば、全員に安全第一の規則を徹底すればよい」
瞬間、職場の会議室に安全マニュアルが山積みになり、社内は細かなチェック体制が増強された。
だが、晴矢の同僚たちは次第に息苦しさを感じ始める。細かな規則の数々が仕事の自由度を奪い、会話もぎこちなくなっていった。
晴矢もまた、「これでは窮屈すぎる」と感じながらも、トラブルが減ったことに安堵を覚えた。
そんな様子を、シャチホコノカミは少し申し訳なさそうに見守りながら呟いた。
「守りすぎると、時に風通しも悪くなるのだな…」
その夜、晴矢は同僚たちと飲み会を開き、仕事の堅苦しさを笑い飛ばしながら、少しずつ緩やかな信頼関係を取り戻していった。
シャチホコノカミは遠くからそれを見つめ、ほんの少しだけほっと息をついた。
「願いは叶えた。ただし守りの形でな」
これが名古屋らしい「守り重視」の願いの叶え方だった。
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