見出し画像

朝のゴミ出し、それは静かな戦い

 朝7時。
 スマホのアラームが3回鳴ったあと、私は起きた。
 起きてすぐに思い出す。

「今日は燃えるゴミの日だ」

 これが人間にとってどれだけ重い意味を持つか、
 ゴミを出し忘れた経験がある者にしかわからない。

 ~第一章:袋、どこだっけ?~
 まず問題になるのが、ゴミ袋のストックがどこにあるか思い出せないということ。

 キッチンの下を開ける。ない。
 洗濯機の横。ない。
 なぜか寝室のクローゼットから出てきた。

 過去の自分が「ここに入れておけば忘れない」と思ったらしいが、
 未来の自分が忘れているのが人間のリアル。

 ~第二章:ゴミ、入りきらない~
 次の問題。
 想定よりゴミが多い。

 コンビニ弁当の容器(3つ)

 牛乳パック(まだちょっと中身がいる)

 試して失敗したプロテイン(粉も残ってる)

 食べ忘れたバナナ(ちょっと黒い)

「これ、昨日ちゃんとやってれば……」

 ゴミ袋に詰め込む。
 入らない。
 押す。詰める。足で押す。
 パンパン。
 破けた。

 新しい袋を出して、2袋になる。

 ゴミが“分裂”する瞬間、心が折れる。

 ~第三章:服装に迷う~
 時間は7:20。
 ゴミ収集は7:30。
 急げ。

 でもここで、服装の問題が浮上。

 パジャマのまま外に出るのは危険だ。
 近所のマダムに「見られる」と、あとあと話題になる。

 洗いざらしのTシャツ → 背中に謎のシミ

 スウェット → 破れてる(膝)

 外出用の服 → 着るの面倒

 結局、上だけちゃんとして下パジャマで妥協。

「誰にも会いませんように……」と祈りながら靴を履く。

 ~第四章:エレベーターの罠~
 マンション住まい。
 ゴミ袋を2つ持ち、エレベーターへ。

「早く来てくれ」とボタン連打。

 でもこういう日に限って、
 誰かが“途中の階で止めた”状態で放置してる。

 7階から来ない。
 来た時には、すでに7:27。

「終わった……?」

 でも走る。
 エレベーターからゴミ置き場までの道、
 人生で最も緊張する100メートル走。

 ~第五章:ゴミ置き場の地獄~
 着いた。
 ゴミ置き場に先客がいる。

 ──同じように「7:30ギリギリ組」。

「おはようございます〜」と軽く会釈し合う。
 みんな服が“微妙に外出用じゃない”。
 「私服に見えるルームウェア選手権」が自然発生。

 そして、私の袋だけ指定のゴミ袋じゃないことに気づく。

 うちの地域、「黄色い袋(可燃)・青い袋(資源)」*ルール。
 私のは……白。
 うっすら印刷がある「過去のキャンペーン袋」。

「……これ、セーフ?アウト?」

 先客の視線が痛い。
 何も言われないが、心が叫んでいる。

 ~第六章:帰り道で人とすれ違う~
 家に戻る途中、
 角を曲がったところで会社の同僚と鉢合わせ。

「え!?おはようございます……」

 下:パジャマ
 上:スーツっぽいシャツ
 手にはエコバッグ(ゴミ出し用)
 靴はサンダル

 コーディネート:未定義の世界観。

「ちょっとその……ゴミを……」

 同僚「すみません急いでて、また!」

 ──走って逃げられた。

 ~第七章:部屋に戻ると脱力~
 7:35。
 ミッション完了。
 無事にゴミは出せた。
 だが、精神は削られた。

 汗だく。
 Tシャツのシミ、さっきより大きくなってる。
 猫が「おかえり」と言わんばかりに寝返りを打つ。

 結論:
 ゴミ袋は分裂しがち

 服装は“油断”した瞬間に罠になる

 エレベーターは人の心を試す装置

 指定袋の色、忘れがち

 ご近所との挨拶が一番神経を使うのが「朝のゴミ出し」

 ~最終章:ゴミ出しは“修行”だった~
「次からは前日の夜に準備しよう」
「服もセットしておこう」
「指定袋は買い足し忘れないようにしよう」

 そう誓う。
 でも来週の水曜にはまた、
 パジャマのまま袋を探している自分がいる。

 それが、人間。

いいなと思ったら応援しよう!

Goldness 楽しんでいただけることが一番の喜びです。いつもご覧いただき、ありがとうございます!これからも、皆さんと一緒に素敵な時間を共有できるように、より一層努力していきます。