「O型だけの村」が想像以上にO型だった件
「O型だけの村があるらしい」
この情報を最初に聞いたとき、私は完全に都市伝説だと思った。なにせその話をしてきたのは、血液型占いを信じてるタイプの同僚・中村(A型)だったからだ。
「全員O型ってどういう村よ? 入村試験でもあるの?」
「血液検査の結果、O型ならOK。しかも全員が“なんとなく”で生活してるって噂だよ。ルールも“ゆるい気持ち”で守るんだって」
どういうことだ。
しかし調べてみると、実在していた。「オーヴィレッジ」。山奥のポツンと一軒村ではなく、れっきとした行政区画。観光客は歓迎。ただし、「几帳面すぎる人は入村をご遠慮ください」と公式HPに書いてある。
気になりすぎて行った。
【村の入り口】
「こんにちは〜! なんか来ちゃいました〜?」
警備員なのか、ただの村人なのか、ものすごく緩いテンションの女性に迎えられた。パーカーにスウェット、手にはスコップ……じゃなくてアイス。
「O型以外は入れません、なんとなく! というわけで〜、血液型わかる?」
「O型です」
「えっ、マジで? やった〜!」
なんだその反応。
「一応、証明書あると安心だけど、忘れててもだいたいのノリでわかるよ。あとで血液型占い師さんに見てもらえば〜って感じで!」
徹底しているようで、徹底してない。
【村の中】
・役場の名前が「まあまあの館(やかた)」
・村議会は「月イチお茶会」で実施(議題は「最近どう?」)
・標語:「だいたいでいいんじゃない?」
O型をイメージすると「おおらか」「大雑把」「社交的」なんて言われるが、ここはその要素が120%濃縮されている。
「ゴミの日ってあるんですか?」
「ないよ。集まったら出すっていうか、だいたい誰かが燃やすっていうか、燃やされてる」
「道がちょっと崩れてるんですけど」
「そうそう〜、そこ“味”って呼ばれてて。転ばないように気をつけてね〜。でも転んでも、笑っておけば大丈夫!」
たしかに、全員O型じゃないと成立しない世界観だった。
【村のラジオ放送】
村には「Oラジ」というラジオ局があり、毎日放送しているのだが、内容がこうだ。
「今日の占い〜。O型は“まぁまぁ”な日です! でも基本、いいことも悪いことも気にしないのがO型なので、だいたい大丈夫! 運勢アップには“午後からちょっと動く”がおすすめ!」
具体性ゼロだが説得力があるのが怖い。
しかも、村長がリスナーからのお便りで毎日方針を決める。
「『カフェに新メニューを』ってリクエストがあったから、とりあえず今日の午後に思いついたもの作ってみる〜!」
「村の木、切っていい? って質問きたけど、木に聞いたら“いいよ〜”って風が言ってた気がするからOKにしまーす!」
思いつきすぎて逆に才能すら感じる。
【O型村・最大の事件】
私が滞在していたある日、とある一大事が起きた。
「A型の人が紛れ込んでた疑惑があるらしい」
村人全員がざわついた。
「この前の寄せ植えが一直線だった!」
「洗濯バサミが色で並んでた!」
「かごの中に“説明書”があった……!」
証拠は微妙だが、O型村にしては珍しく会議が開かれた。
とはいえ、「詰問」とか「追放」とかではない。
「気になったから、聞いてみよっか〜?」
「え〜やだよ〜! なんか責めてるみたいじゃん!」
「でも説明書って……誰が入れたか気になる〜!」
「あたし入れたかも〜! え、違う? あ、でも何かに使った記憶ある気も……まぁいっか!」
会議、終了。
その場にいた全員が「まぁ、O型ってことで〜!」と拍手して解決。
逆に怖いわこの村。
【帰り際】
最後に役場のスタッフが、手書きのしおりをくれた。表紙にはこう書かれていた。
「だいたいハッピー、それがO型」
中を開くと、線がガタガタのイラストと、ふわっとした言葉が並んでいた。
・忘れ物? それは“記憶のダイエット”だよ。
・今日やらなくても、明日でいっか。だって今日じゃないかもしれないし。
・すぐ動かなくても、心がもうちょっと寝てたいって言ってる。
なんだか、救われた気分になった。
【結論】
私はこの村で3日間過ごし、気づいたことがある。
O型が集まると「カオス」になるかと思いきや、なぜか「調和」が生まれるのだ。
誰も完璧じゃないし、誰も完璧を求めない。
だからこそ、誰かがちょっと失敗しても、ぜんぶ「味」として笑いになる。
正直、この世界が全部O型だったら――
たぶん地球は、もうちょっと遅れて回ってる。でも、すごく居心地はいい。
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