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鍵、閉めたっけ?の呪い

 朝、急いで家を出る。
 階段を駆け下りて駅へ向かう途中、ふと脳裏に走る電流。

「……鍵、閉めたっけ?」

 思い出せない。
 玄関のドアを閉めた記憶はある。
 でも、「鍵を回した感触」が、ない。

 一瞬で心拍数が跳ね上がる。

 私「……ヤバい、空き巣が……いや、火事が……いや、町内会の噂に……!」

 ──私は踵を返し、全速力で家に戻った。

 ~第一章:「鍵閉めたかどうか」はなぜ“記憶”から消えるのか~
 人間とは不思議なもので、
 毎日のルーティンになってることほど、記憶が曖昧になる。

 ・歯を磨いたか
 ・コンロの火を消したか
 ・財布をカバンに入れたか

 そして、

「鍵を閉めたか」

 これはもう、記憶じゃない。感覚の幻影。

 ~第二章:戻った時の“絶望あるある”~
 ドアの前に立つ。
 鍵を回す──

 カチ。

 あ、閉まってた。

 このときの、自分への腹立ちと安堵のミックスジュース感。

「お前、信じてなかったんか自分を」
「じゃあなんで今この時間に家戻ってんの」

 そして、再び駅へダッシュ。

 ~第三章:「鍵閉めた瞬間に指差し確認する」民たち~
 この“呪い”を克服するため、
 一部の人類は進化を遂げた。

【確認派の行動例】

 ・声に出して「カギヨーシ!」と言う
 ・スマホで鍵を閉める瞬間を撮影しておく
 ・ドアノブを3回ひっぱって「よし」と唱える
 ・玄関の壁に「鍵閉めたか?」と貼り紙

 でも、これを見慣れてない第三者が見ると、完全にヤバい人。

 ~第四章:「鍵閉めた記憶がある気がする症候群」~
 一番タチが悪いのがこのパターン。

 ・閉めた気がする
 ・けど、昨日の記憶と混ざってるかも
 ・夢で閉めた映像と混ざってる可能性

 → つまり、確信がない。

 確認しに戻る。
 閉まってた。
「やっぱり! 自分を信じてよかった!」

 → 翌朝また不安になる。

 永遠のループ。

 ~第五章:「戻ると負け」の謎のプライド~
 鍵の不安を抱えたまま、
 会社に着いても手につかない。

「いやでも、戻るのもアレだし……」
「閉めたって信じれば、きっと大丈夫……」

 → 全然集中できない。
 → むしろ誰かが「玄関開いてたらやばいよね〜」と言っただけで過呼吸寸前。

 最終的に:

「すみません、やっぱり一回帰って確認してきます」

 → 鍵は閉まってる。

 → 心は折れてる。

 ~第六章:近所の人に目撃された場合の恥辱~
「やっぱり不安だから戻ろう」
 → 家の前に着く
 → 鍵をじっと見つめる
 → ノブをそっと引く

 そこへ、隣人・山田さん(70代)が登場。

「どうしたの? 鍵忘れたの?」

「い、いえ、ちょっと確認を……」

 この瞬間、“ちょっと変な人”にランクイン。

 ~第七章:進化するテクノロジーと、信用できない自分~
 最近は「スマートロック」なんてものもある。

 ・スマホで鍵の状態を確認
 ・自動ロック機能付き
 ・音声で施錠もOK

 すごい。文明の進化。

 でも、人間という生き物は……

「でも、スマホの表示がバグってたら?」

「自動ロックって、信じていいの?」

 → 結局、不安。

 結論:
 鍵の記憶はすぐに消える

 不安になったら戻るしかない

 自分への信用が最弱の朝

 テクノロジーは信じても、自分は信じきれない

 他人に見られると、恥ずかしさ倍増

 ~最終章:それでも、今日も私は鍵を閉める~
 今朝も私は、鍵を回してドアを閉めた。

「よし……閉めた……たぶん」

 そう呟いて、駅へ向かう。

 ──でも、30メートル歩いたところで立ち止まる。

「……閉めたよね?」

 私は、引き返す。

 そう、今日もまた、

 鍵と私の、不信と信頼の物語が始まる。

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