今日からダイエット。なのに、なぜ焼きそばパンが届くのか
月曜の朝、私は人生を変えると誓った。
正確に言えば、鏡に映った自分の横腹に絶望し、「もうダイエットしか道はない」と確信した。
体重計は正直だった。
数字が、私の好物(カツ丼)を否定する。
去年のスーツのスカートが、「あと1cm……詰んでる」と言ってくる。
ダイエット、決行。
今度こそ、やる。
職場の近くにジムも入会した。
朝ごはんはヨーグルト。昼はサラダ。夜は……もやし。
完璧な計画だった。
が、世界は私を痩せさせる気がなかった。
事件は10時のことだった。
社内チャットがピコンと鳴る。
総務:今日、某取引先から差し入れです!
焼きそばパン50個!!会議室前にてどうぞ!
…は?
焼きそばパンって、あの、パンの中に焼きそばが入ってて、炭水化物が二段構えのやつ!?
なぜ、よりによって「今日」!?
焼きそばパンが悪魔に見えたのは初めてだ。
「行く?」
同僚Aが私に聞いてくる。
彼女はすでに立ち上がっていた。
「いや、私、今日からダイエットで……」
「え、マジ?でもタダだよ?」
「いやいや、でも、炭水化物on炭水化物はちょっと……」
「たまにはいいじゃん♪月曜だし♪」
「(月曜だからこそ始めたんだよ…!)」
もうひとり、同僚Bがやってきて言う。
「焼きそばパン、めっちゃ柔らかくて最高だった」
「ちょ、お前……」
私の胃袋がうっすら音を立てた。
脳内で、焼きそばパンの断面図が再生される。
食欲って、なんでこんなに記憶力いいの?
11:30。
私は負けた。
会議室に向かう足取りは、まるで犯罪現場に向かう刑事のようだった。
「最後の1個、ありますよ〜」という声に、
「いや、それ私のために残ってたやつでしょ?」と、都合よく解釈。
袋を開ける。
ふわふわのコッペパンに、つやつやした焼きそば。
たまに顔を出す紅ショウガが、妙にエロい。
一口目で、世界が変わった。
「うっま……」
思わず声が出る。
その瞬間、私のダイエットは散った。
それはもはや、美味への献身だった。
13:00。
別のチームからメッセージが飛ぶ。
うちの係長の実家がケーキ屋さんなんですって〜
ミルフィーユたくさん届いたので、フリーです!
なんで今日!?
なんで今日は「炭水化物フェス」!?
パン→ミルフィーユって、胃袋が体育祭してるじゃん!
一応、食べないフリをして席を立ったが、
気づいたらフォーク握ってた。
サクッ。とろっ。うまっ。
脂肪よ、こんにちは。
19:00、意地でジムへ。
ランニングマシンに乗るも、胃袋の中でパンとミルフィーユが会議してる音がする。
私「今日、ちょっとカロリーオーバーで…」
トレーナー「そういう日もありますよ!」
(なんでこんなに明るく言えるの?)
結局、15分走って、早々にシャワーへ逃げた。
体重計?無視しました。
帰宅。
冷蔵庫を開ける。
そこには、今朝の自分が用意した「もやしと鶏むね」。
黙ってレンチン。
食べながら泣いた。
「焼きそばパンには勝てなかったよ……」
結論:
ダイエット開始日に限って差し入れが届く
焼きそばパンは強い
ミルフィーユは心を壊す
でも、また明日からやればいい(はず)
いいなと思ったら応援しよう!
楽しんでいただけることが一番の喜びです。いつもご覧いただき、ありがとうございます!これからも、皆さんと一緒に素敵な時間を共有できるように、より一層努力していきます。