冷蔵庫にあるはずのアレがない日
夕方17時。
一日の終わりが見え始める頃、
私は冷蔵庫の前に立っていた。
「今夜は親子丼にしよう」
「鶏肉はあるし、玉ねぎも……あとは卵!」
冷蔵庫、オープン。
──卵、ない。
「……え? 昨日あったよね?」
記憶と現実の落差が、心に突き刺さる。
~第一章:ないと気づいた瞬間の5段階感情~
①驚き「え、なんで? 昨日まであったじゃん」
②否定「絶対あるって! 見落としてるだけ!」
③怒り「誰だよ食べたの!?(一人暮らし)」
④交渉「卵なしでも、なんとかなるかも……いや無理だろ」
⑤諦め「……ウーバーするか」
そう、人間は食材一つで感情のフルコースを味わえる生き物なのだ。
~第二章:謎の“影”に期待する~
もう一度冷蔵庫を見る。
白いパックは……ない。
でも、冷蔵庫の奥の“影”が妙にそれっぽく見える。
「アレ……卵じゃない?」
→取り出す
→チューブのわさびだった
願望フィルター、強すぎ問題。
~第三章:玉ねぎだけ取り残される~
せっかく切った玉ねぎ。
ポリ袋に入れて冷蔵庫に戻す。
しかしそれは明日の料理に使えるかといえば──
・翌朝 → 「朝から玉ねぎ炒めたくない」
・翌昼 → 「これに合う料理ってなんだっけ?」
・翌々日 → 「なんか水出てる」
・その翌日 → 「……腐ってない?」
結果:さよなら、玉ねぎ。
~第四章:調味料でなんとかしようとする無謀~
卵がないなら、卵っぽい味にすればいいのでは?
という謎の逆転発想が浮かぶ。
→ だしの素を濃く
→ 甘めの味付けにして「卵っぽい甘さ」演出
→ 見た目:玉ねぎの照り焼き
→ 味:何かが違う(当然)
結論:卵の代用は、卵にしかできない。
~第五章:「他のもんで済ませるか」による迷走~
・冷凍庫にシュウマイ(主役としては弱い)
・納豆(親子丼の気分からは遠い)
・カップ焼きそば(米炊いたのに!?)
・チョコ(もう夜ご飯ってなに?)
選択肢があるのに、全部じゃない感がすごい。
しかも、「親子丼の口」になってる。
~第六章:買いに行くか、買わないか~
時刻:17時35分
天気:微妙に小雨
服装:部屋着+スリッパ
気持ち:0.8外出したいけど0.2で逆転するレベル
私「この格好で外、出たら社会的にダメな気がする」
→ ジャージに着替える
→ 化粧するのが面倒
→ 髪ボサボサで外に出られない
→ 結論:「今日はもう、なんかテキトーでいっか」
敗北。
~第七章:「これだから冷蔵庫ってやつは……」~
もはや冷蔵庫のせいにし始める。
「何のためにあるんだ君は!」
「あると思わせて、ない。人の心を試してるのか?」
でも中を見たら、
ちゃんと冷やしてる。
ちゃんと光ってる。
冷蔵庫、何も悪くない。
悪いのは私の“買った気になってた記憶”だけ。
結論:
「あると思ってた」は、大体ない
卵は常備食材に見えて、意外と減る
玉ねぎは使い道に困るとすぐ萎れる
冷蔵庫は無言で現実を突きつけてくる
夕飯を作る気力は、卵1個で崩壊する
~最終章:次の日、また同じことを繰り返す~
翌朝、スーパーへ行く。
「今度こそ忘れないぞ」と思いながら買い物カゴへ──
・牛乳
・パン
・ヨーグルト
・なんかのスナック菓子
帰宅後、冷蔵庫を開ける。
──卵、買い忘れてた。
またやった。
人間って、卵よりも記憶が脆い。
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