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第5話 北千住駅の駅神様

 北千住駅は、JR・東武・メトロ・つくばエクスプレスまで乗り入れる、北東エリアの大ターミナルだ。人の流れは朝から晩まで途切れず、駅前の商店街へも吸い込まれていく。

 この駅を守る駅神様は、下町風情ただよう飄々とした姿をしていた。ねじり鉢巻きをして、手には小さな団扇。どこか祭囃子の笛でも吹き出しそうな雰囲気だ。

「よっしゃ、今日もにぎやかでええこっちゃ」

 朝、常磐線ホームでは学生が駆け込んでいた。改札まであと数歩。駅神様は団扇でひとあおぎ。すると、偶然エスカレーターが空き、彼はすっと走り抜けることができた。

 一方、地下鉄の改札口では観光客が困っていた。
「スカイツリー、行ける?」
 駅神様は口笛をひとつ。すると、東武線の案内板がちょうど明るく光り、観光客は「あ、こっちだ!」と笑顔で進んでいった。

「ええんや、ここからならどこへでも行けるさ」

 そして夕方。改札を抜けたサラリーマンたちは、自然と居酒屋横丁の提灯に吸い寄せられていく。
 駅神様はにやりと笑い、団扇で風を送った。暖簾がふわりと揺れ、串焼きの香りが漂う。

「今日も一日おつかれさん。――ほな、カンパイや!」

 駅前に笑い声が広がり、北千住の夜はゆっくりと更けていった。


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