Photo by
_miu_39
第4巻 札幌市:ユキマルの願い
冬の札幌は雪化粧に包まれ、街のあちこちで氷の彫刻が輝きを放っていた。
その真ん中に、静かに佇む神様ユキマルがいる。
彼は雪を操り、願いをまるで氷細工のように繊細に美しく叶えるが、仕上がるまでに時間がかかるのが特徴だった。
ある日の夕暮れ、真也という青年がぽつりと願いを口にした。
「新しい仕事で評価されたい」
ユキマルはその願いを受け止め、雪の結晶を手のひらに浮かべながらじっと考え込む。
「評価とは、形あるものではない。だが美しさは証だ」
翌朝、真也の職場のデスクに小さな雪の結晶の氷細工が置かれていた。繊細で美しいその作品は、周囲の同僚たちの目を引き、話題となる。
しかし、札幌の寒さがまだ残るその日、氷細工は昼には溶けてしまい、儚く消えてしまった。
真也は不思議な気持ちでそれを見送りながら、次第に自分の仕事に対しても繊細な配慮を心掛けるようになっていく。
「見た目だけじゃない、本質を磨くんだ」と自分に言い聞かせながら。
ユキマルは遠くからそんな真也の様子を静かに見守り、凛とした雪の結晶のように願いがゆっくりと形になるのを感じていた。
「時間はかかるが、真に美しいものはやがて評価される」
この神様の願いの叶え方は、冬の札幌の厳しさと美しさを象徴し、静かな励ましを与えるものだった。
いいなと思ったら応援しよう!
楽しんでいただけることが一番の喜びです。いつもご覧いただき、ありがとうございます!これからも、皆さんと一緒に素敵な時間を共有できるように、より一層努力していきます。