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法の精神:モンテスキューが現代に語りかける「多すぎるルール」の危険性(「哲学者から学ぶビジネスのヒント」シリーズ 3)

フランスの政治哲学者、モンテスキュー(1689-1755)は著書『法の精神』(1748年)で最もよく知られています。この本は、その後の近代政治思想に深い影響を与えました。

「無駄な法律は、大切な法律の力を弱める」(モンテスキュー)

モンテスキューが提唱した重要な考えの一つが、政府の権力分立です。これは、アメリカ合衆国をはじめとする多くの民主主義国家の憲法構造を形作る原則となりました。

さらにモンテスキューは、過剰な官僚主義に対しても警鐘を鳴らしていました。彼は、不必要、恣意的、あるいは複雑すぎる法律が多すぎると、本当に重要な法律の効果を弱めてしまうと論じたのです。人々が過剰な規制に苦しめられると、法制度全体に対して無感覚になり、法律そのものへの敬意が薄れてしまいます。

法律が権威と効果を維持できるのは、明確かつ必要であり、適切に執行される場合に限ります。逆に不必要な法律が積み重なると、執行に一貫性がなくなり、重要な法律さえ無視される可能性があります。

この原則は、ビジネスの世界にも当てはまります。

過剰な法律が重要な法律の効果を薄めるように、過剰な方針、手続き、規制は、効率、革新性、そして効果を阻害する可能性があります

企業が多すぎる、あるいは複雑すぎるルールを課すと、社員はそれらに圧倒され、無視したり、回避したりするようになるリスクがあります。結果として、品質、安全、そして戦略的な焦点といった本当に重要な方針の遵守を弱体化させます。

不必要な承認の積み重ね、冗長なプロセス、過剰な文書化は、意思決定を麻痺させ、実行を遅らせ、競争の激しい市場での俊敏性を低下させる可能性があるのです。

多すぎる法律が政府において選択的な執行につながるように、ビジネスの世界でも過剰な社内ルールは、矛盾、混乱、そして責任の低下を生み出します。

不必要な法律がもたらす弱体化の効果についてのモンテスキューの警告は、今もなお重要です。企業は、過剰なルールによって、成功に不可欠な方針や慣行が損なわれないように注意しなければなりません。

振り返って考えてみましょう。

1)現在の自社のルール、プロセス、承認のうち、本当に不可欠なものはどれでしょうか?必要性というよりも、単なる習慣から存在しているものはどれでしょうか?

2)重要な方針を社員が守りやすくなっていますか?それとも重要性の低いルールの中に埋もれさせてしまっていないでしょうか?

3)複雑すぎるルールによって、かえって意図しないルール違反を助長していないでしょうか?

執筆者プロフィール:
Rami Goldratt (ラミ・ゴールドラット)
 
全体最適のマネジメント理論TOC(Theory Of Constraints: 制約理論)の創設者である、父エリヤフ・ゴールドラット博士と共に、長年にわたり世界中の小売業、自動車、繊維、化学、およびサービス産業のコンサルティング業務に携わってきた実績を持つ。TOC知識体系の最も影響力のある指導者の一人であり、かつ販売およびマーケティングのTOCアプリケーション開発においても重要な役割を果たしている。ゴールドラットグループの最高経営責任者(CEO)として、TOCの知識体系を日々発展させ続けている。

https://note.com/goldratt/n/nf0ffb57f2a4d