見出し画像

Weekly Security Token (1/19-1/25)

一般社団法人日本セキュリティトークン協会の代表理事として、ブロックチェーン技術を活用した「セキュリティトークン」や、より広い概念としての「RWA(Real World Assets)」を対象に、日本でのビジネス活用を支援する共創型コミュニティを運営しています。
この領域は今、世界中で急速に進化しています。国内外で何が起きているのかを、もっと多くの方にわかりやすく伝えたい──そんな思いから、「Weekly Security Token」と題し、前週の主なニュースや記事を毎週コンパクトにご紹介しています。


【国内ニュース】

-

【海外ニュース】

NYSE、トークン化株式の24時間取引所を新設へ──即時決済・ステーブルコイン対応(1月19日)

New York Stock Exchange(NYSE)は、トークン化株式を24時間取引・即時決済できる新たな取引所(独立した専用ベニュー)を開発している。稼働には規制当局の承認が前提だが、親会社のIntercontinental Exchange(ICE)は、清算機関でのトークン化預金対応に向けてBNYやCitiと連携を進める。
構想では、NYSEのPillarマッチングエンジンにブロックチェーン基盤を組み合わせ、ドル建て注文、ステーブルコインによる資金手当、複数チェーン対応を想定。同分野では、Nasdaqが既存市場でのトークン化株式対応を申請する一方、NYSEはネイティブなデジタル証券を扱う別市場を立ち上げる点が対照的。2026年後半にはDepository Trust & Clearing Corporation(DTC)のトークン化対応も見込まれ、米株式市場のオンチェーン化が加速する見通し。

tZEROとNorth Capital、私募トークン化証券市場をつなぐルーティング網「Agora」を構築へ(1月19日)

tZEROとNorth Capitalは、同社が運営する代替取引システム(ATS)間でトークン化証券に相互アクセスできるルーティング/レジストリ基盤「Agora」の共同開発を発表した。North CapitalのPPEXを含む複数ATSや流動性提供者と単一接続で相互運用できる設計とし、分断されがちな私募トークン化市場の流動性拡大を狙う。現在のデジタル証券は、権利内容の差異、発行基盤やブロックチェーン・トークン規格の違い、二次市場の多重化などにより断片化が進んでいる。Agoraは各ATSの独立性を保ちつつ横断接続を実現し、私募市場を中心にオンチェーン・トークン化を通じた流動性解放を促す構想だ。North CapitalのJim Dowd CEOは、長年サイロ化してきた私募証券市場を接続するインフラが不可欠だと強調している。

韓国、STO法制を正式成立──CSD登録を義務化しトークン化証券を制度内へ(1月19日)

韓国は電子登録法と資本市場法(FSCMA)の改正を可決し、分散型台帳(DLT)とスマートコントラクトを用いたトークン化証券を正式に制度化した。発行体は上場・非上場を問わずKorea Securities Depository(KSD)への通知・登録が義務付けられ、無免許仲介の関与は排除される。施行は2027年1月。これまで規制上、証券会社が扱えなかった投資契約型RWA(家畜や美術品の持分など)も仲介可能となり、RWAトークン化の裾野が広がる。一方、DeFiへの明示的な言及はなく、今後の運用解釈が焦点となる。


RedStone、Security Token Marketを買収──RWAトークン化のデータとオラクルを統合し機関投資家展開を加速(1月20日)

RedStoneは、RWA(現実資産)トークン化分野で最大級のデータベースを運営するSecurity Token Market(STM)および年次カンファレンス「TokenizeThis」を買収した。これにより、RedStoneは米国および機関投資家向けのプレゼンスを強化し、オラクル基盤とRWAデータ・リサーチを一体化した包括的なプラットフォーム構築を進める。
STMは2018年設立で、800超のオンチェーンRWA(株式、不動産、債券、ファンドなど)を追跡し、総時価総額は600億ドル超に達する。RedStoneはSTMの業界知見とデータ資産を、自社のオラクル技術と統合することで、暗号資産ネイティブ市場と機関市場の双方に必要な、信頼性の高い価格データ、リスク評価、インフラ提供を目指す。
買収後の体制として、STM創業者のHerwig Konings氏がRedStoneのアドバイザー兼TokenizeThis責任者に就任し、Jason Barraza氏が資産運用会社や銀行、トークン化プラットフォームとの事業開発を主導する。RedStoneは2026年を「トークン化金融とDeFiの本格融合の年」と位置付けており、今回の買収は、RWAトークン化を機関投資家レベルでスケールさせるための基盤整備を加速させる一手と位置付けられる。

Chainlink、米国株データを24/5提供開始──トークン化株式の実装が現実段階へ(1月21日)

Chainlinkは、米国株式を対象に24時間5日対応のオンチェーン・データストリームを開始し、TradFiとDeFiの時間的ギャップを解消する基盤を提供した。板情報や出来高を含む高頻度データを分散型オラクルで署名し、プレ・アフター市場や夜間に生じていた価格の“盲点”を解消する。
この取り組みは、New York Stock Exchangeを傘下に持つIntercontinental Exchange(ICE)が構想するトークン化証券の24/7取引・オンチェーン決済と軌を一にする。ChainlinkはICEの統合フィードを取り込み、株式市場の価格情報をスマートコントラクトが利用可能な形で配信する役割を担う。
また、Coinbaseのブライアン・アームストロングCEOが指摘するように、トークン化株式は即時決済・24/7流動性・担保効率向上をもたらす可能性がある。信頼性の高い株式データが常時供給される環境が整い、トークン化株式は概念実証を超え、実装段階に入りつつある。

Citi、EU資本市場の分断解消にトークン化を示唆──制度調和が前提(1月21日)

Citigroup傘下のCiti Instituteは、EU資本市場の分断を分析したレポートを公表し、トークン化を中長期的な解決策の一つとして位置付けた。EUでは多数の中央証券保管機関(CSD)や清算機関(CCP)が並立し、法制度や税制の違いが市場の非効率を招いている。
調査では、分断解消の最優先策として全回答者が「法・税制・制度の調和」を挙げ、European Securities and Markets Authority(ESMA)による中央集権的監督への支持が示された。一方、DLTやデジタル資産推進は32%にとどまったが、デジタル施策に限れば、証券・担保のトークン化はAI活用を大きく上回る支持を集めており、制度整備を前提に実務的な有効性が意識され始めている。

BlackRock、2026年は「暗号資産×トークン化」による市場アクセスの再編を示唆(1月22日)

BlackRockは「2026 Thematic Outlook」において、暗号資産とトークン化をAIや地政学と並ぶ主要テーマとして位置付けた。注目点は価格動向ではなく、投資家が市場へアクセスする手段そのものが変わりつつあるという構造変化にある。象徴例として、急成長したiShares Bitcoin Trustを挙げ、暗号資産が中核テーマであり続けると指摘する。
同社はトークン化を「新しい投資アクセス」の中核と捉え、ステーブルコインをその代表例としつつ、将来は現金や米国債を超えて幅広い資産がブロックチェーン経由で利用可能になる可能性を示した。さらに、スマートコントラクト基盤としてEthereumがトークン化時代の受益者になり得るとの見方を提示。暗号資産は投機対象にとどまらず、金融インフラを変える技術として主流の投資視野に組み込まれつつある、というメッセージが強調された。

韓国政府債、初のパブリックチェーン上でトークン化──ソラナ活用で新局面(1月22日)

新韓証券はEtherfuseと協力し、韓国政府債券をSolana上でトークン化した。政府債がパブリックブロックチェーン上で提供されるのは初めてで、従来と同様の予測可能な利息収益を維持しつつ、オンチェーンでの保有・取引を可能にした点が特徴となる。香港やフィリピンが許可型チェーン中心で国債のデジタル化を進める中、韓国は公開型ブロックチェーンを選択し、政府債トークン化における新たなアプローチを示した。

Superstate、トークン化証券基盤で82.5百万ドル調達──株式のネイティブ発行へ前進(1月22日)

Superstateは、Bain Capital CryptoとDistributed Global主導で8,250万ドルのシリーズB資金調達を実施し、Galaxy DigitalやBrevan Howard Digitalなどが参加した。SuperstateはSEC登録の投資顧問兼トランスファーエージェントとして、Galaxyと協業しナスダック上場株を名義書換レベルでトークン化するなど、デリバティブではなく完全な株主権を付与する規制準拠型モデルを採用している。さらに新プラットフォーム「Opening Bell」を通じ、EthereumやSolana上でステーブルコイン決済による株式の直接トークン発行を可能にし、既存CUSIPでの追加発行や新株式クラスの登録も想定しており、2026年の本格展開を見込む。

野村系Laser Digital、ビットコインの利回り創出を狙うトークン化ファンドを発表(1月22日)

Nomura傘下のデジタル資産子会社であるLaser Digitalは、ネイティブにトークン化されたビットコイン利回り商品「Bitcoin Diversified Yield Fund」を立ち上げ、ビットコインの価格上昇に加えて年率5%超の超過リターン獲得を目指すと発表した。本ファンドは2023年に開始した単純なロング型のBitcoin Adoption Fundを進化させたもので、長期保有に加え、マーケットニュートラルな裁定取引、レンディング、オプション戦略を組み合わせることで収益機会の多様化を図っている。トークン化はLaser Digitalが共同設立したKAIOプラットフォーム上で行われ、カストディは野村がLedgerやCoinSharesと設立したKomainuが担い、従来型ファンド形態でも提供される点が特徴だ。

F/m、トークン化国債ETFで24時間ステーブルコイン流動性を狙う構想(1月22日)

F/m Investmentsは、運用残高63億ドルの米国債ETF「TBIL」をトークン化するため、SECに免除申請を行ったが、その狙いは単なる効率化ではなく、24時間稼働するステーブルコイン市場向けの流動性基盤構築にある。提案では、Franklin TempletonのBENJIのようにパブリックチェーンを公式台帳に使うのではなく、許可型DLTを採用し、規制ブローカーディーラーが管理するホワイトリスト型ウォレットを通じて機関投資家のみが利用できる設計とした。公式株主名簿は従来どおり移転代理人が管理し、取引も取引所やATSを経由するため、運用コスト削減効果は限定的である。一方で、発行残高3,100億ドル超、2030年に2兆ドル規模も見込まれるステーブルコイン準備資産は24時間での再配分が求められるが、国債やMMF、ETFはいずれも取引・決済時間に制約がある。F/mは、規制下のETFをトークン化し、即時決済と24/7取引を可能にすることで、伝統金融と暗号資産市場をつなぐ常時稼働の流動性ハブを構築しようとしている。

CZ、国家資産トークン化で各国政府と協議──インフラや資源を小口化し資金調達へ(1月22日)

Changpeng Zhao(CZ)はダボスでの会合で、国家資産のトークン化について「おそらく十数カ国の政府」と協議していると明らかにした。インフラ、不動産、コモディティなどの国有資産をブロックチェーン上で小口化し、国民や投資家に分散保有させることで、政府が先行的に資金を確保し産業育成に充てる狙いがあるという。具体的な国名や資産は示さなかったが、過去にはパキスタン、マレーシア、キルギスなどとの対話に言及しており、キルギスでは自国通貨連動のステーブルコインや金裏付けドル連動コインの構想も進んだ。あわせてCZは、決済領域では伝統的手法と暗号資産の融合が進み、将来的にAIエージェントが利用者の代理で取引する際のネイティブ通貨は暗号資産になるとの見通しを示した。

プライベートクレジットこそトークン化の本命──Maple CEOが描くオンチェーン信用市場(1月22日)

Maple FinanceのCEOであるSidney Powellは、トークン化の最大の成長分野は国債やMMFではなく、流動性が低く不透明なプライベートクレジット市場だと指摘する。銀行の融資縮小を背景に非銀行系の信用供与が拡大する中、私募信用は価格発見の弱さや情報開示の不十分さといった構造的課題を抱えており、オンチェーン化による透明性向上や二次流通の円滑化が大きな価値を生むと述べた。株式や投資信託はすでに手数料低下や市場インフラが整っている一方、私募信用はOTC取引が中心で、まさにトークン化に適した市場だと強調する。将来的にはオンチェーンでの信用デフォルトも発生すると見込むが、それは欠陥ではなく、貸出から返済・不履行までを可視化できるブロックチェーンの強みを示すものになるとし、不正や二重担保の抑制にも寄与すると語った。さらに、オンチェーン信用が格付け対象となれば、年金や保険会社など伝統的機関投資家の投資対象に組み込まれ、2026年以降に本格的な拡大局面を迎えるとの見通しを示している。

SEC取引市場部門、トークン化証券を軸に4つの優先課題を設定(1月23日)

U.S. Securities and Exchange Commission取引市場部門ディレクターのジェイミー・セルウェイ氏は、トークン化証券に関するルールメイキングを近く開始すると明らかにし、これは2025年12月にDTCへ発行されたノーアクションレターや、Nasdaqの申請、New York Stock Exchangeの申請予定を受けた動きだと説明した。初期のルール整備は財務健全性、記録管理、市場構造を対象とし、「裁定を生まない形でのイノベーション」を目標に据える。さらに同部門の今後3年間の優先事項として、①トークン化証券、②Commodity Futures Trading Commissionとのデジタル資産分野での連携、③24時間取引の実現、④既存の市場構造問題への対応、の4点を挙げた。前半3つは将来を見据えた取り組みであり、最後の1つは現行課題への対応だが、いずれもトークン化と密接に結び付いており、SECが資本市場のデジタル化を中核テーマとして位置付けていることが示された。

Ondo、BitGo上場を受け株式を即時オンチェーン化──グローバル市場へのアクセス拡大(1月23日)

Ondo Financeは、暗号資産カストディ大手のBitGoがNew York Stock Exchange(NYSE)に上場したことを受け、BitGo株のトークン化版をオンチェーンで提供すると発表した。トークン化株は「Ondo Global Markets」を通じて、イーサリアム、ソラナ、BNBチェーンといった複数ブロックチェーン上で展開され、米国で上場した株式がほぼリアルタイムでオンチェーン化され、世界中からアクセス可能になる点が特徴だ。機関投資家向けカストディと決済インフラを担うBitGoのIPOは、デジタル資産と伝統金融の融合を象徴する出来事とされており、Ondoはその動きを即座にオンチェーン市場へ接続した形となる。Ondo Global Marketsは2025年の開始以降拡大を続け、TVLは約4.66億ドル規模に達しており、株式トークン化を含むRWA市場の成長を背景に存在感を高めている。

-

業界関係者の方はもちろん、これから学びたい方にもお役に立てば幸いです。一般社団法人日本セキュリティトークン協会の活動についてご関心のある方は以下のWebサイトからお問い合わせ下さい。

https://securitytoken.or.jp/

※本Noteの内容は、筆者の個人的な解釈・整理にもとづいて作成したものであり、情報の正確性・完全性を保証するものではありません。投資等の判断を行う際は、必ず一次情報をご自身でご確認ください。本Noteの内容に基づく判断や行動により生じたいかなる損害についても、筆者は責任を負いかねますのでご了承ください。