漫画家アシスタント物語 第8章 〈22〉 地獄に弁護士事務所のドアが!
《写真上: 秋山プロの仕事場前にて。早めの仕事終りに夕陽の見送りです》
< この8章〈22〉は、文庫本約11ページ分 >
「第8章」は、独立した「章」ですので、「第7章」の続きではありません。
「第8章〈1〉」(無料)より、お楽しみいただけます!
ただし‥‥
はじめての方は、「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
さて‥‥ 本文の前に‥‥ ここで‥‥‥‥
「漫画家アシスタント物語」のマガジンを購読してくれた方を紹介させてください。 ぷにょさん ‥‥‥‥‥‥ ありがとうございました!
以下の記事は、ぷにょさんの作品の中でも、私が特に好きな漫画です‥‥
その43
《 漫画家アシスタントが・・・陽気を装う・・・!? 》
漫画家アシスタントが破産するのは、珍しいのか珍しくないのか‥‥ その辺のところはわかりませんが‥‥‥‥
破産か任意整理か‥‥‥‥ 弁護士からの連絡を待つ陰気な毎日‥‥‥‥
その事を私のカミさんもお店の女の子( ※参照 )たちも知らない‥‥‥‥ アシスタントの仕事をする秋山プロ( ※参照 )の先生もスタッフも知らない‥‥‥‥
もちろん、拙ブログの読者も当時のブログ( 旧gooブログ )記事( 『 第4章その55 』の頃 )から、その作者が破産一歩手前で落ち込んでいたとは想像もしなかったと思います。
いつもの様に顔色一つ変えずに仕事をする‥‥‥‥ 挨拶、相槌、お愛想、お辞儀、そして、明るく笑顔‥‥‥‥
日常を当たり前に振舞う事がこれほど疲れるとは想像もしませんでした。
心の中では土砂降りの雨が降っているのに、顔では初夏の明るい笑顔を演じているわけです。
2007年6月某日、私が池袋にある弁護士事務所へ行った時には、「相談無料」というのを当てにして、まったくお金を持って行きませんでしたので、初期費用は後払いという事になっていました。
まず着手金31,500円、そして、借金の元金が減額した場合はその2~3割は手数料として払わなくてはならないので、その分を加えて毎月3万円ほどは支払わなくてはなりません。
しばらくは、今までとあまり変わらない生活が続きそうだな‥‥‥‥と。 パロミスの元金は減るかもしれないけど、それ以外の350万円の多重債務(銀行、信販、カードローン)から逃げる事は出来ません。
弁護士事務所へ行った日から数日は陰気な毎日を過ごしました。まるで重たい胃病でも患った様な日々‥‥‥‥
6月の中旬‥‥ 私は池袋の西口、昼間の繁華街を歩いていました。駅前の銀行へ寄ってから、目白の仕事場へ向かおうとしていたのです。
人の少ない、昼間の飲食店街ではパチンコ店だけが目立ちます。私は携帯電話を出して‥‥
「 これから、着手金31,500円を送金しますんで‥‥ 」
‥‥と、下利弁護士に電話をしたのです‥‥
下利弁護士は、気味が悪いほど明るい声で‥‥
「 小池さん、おめでとう! 」
何がおめでたいのかサッパリ分からない私は黙ったまま携帯に耳を押しつけます‥‥
「 まだ大雑把な計算ですが‥‥ 過払い金が700万あるんですよ! 」
「 ‥‥? 」
「 ですから、もう手数料の送金は必要ありません! 」
「 え~~っ!? 」
「 着手金も手数料も、払わなくていいんです、後で清算しますから‥‥ 」
「 か‥‥ 過払い金が700万円戻るって事は‥‥ つまり、そこからパロミスの200万円を返せるって事ですか‥‥!? 」
「 違いますよっ! 小池さん、最初から200万円の借金なんて無かったンですよっ! 」
「 ‥‥‥‥はぁ‥‥‥‥??? 」
「 小池さんの借金は、最初の3年目で全額返済されていたんです! 」
「 ‥‥‥‥3年‥‥で‥‥? 」
「 そう。 だからそれ以降に借りたお金は、余分に支払った小池さん自身のお金だったという事なンですよ!」
私は26年間‥‥‥‥ 毎月々々、パロミスの現金自動支払機の前に立って、背中を丸めていた事が走馬灯のように頭の中を巡ります‥‥‥‥
36%の利息を20%で計算し直すと、私の借入額は3年目でゼロになり、それ以降は、パロミスが私に借金(?)をしていた事になるのです。( おまけに、その「 借金 」には5%の金利まで付きます! )
私は、地球の自転が急に逆回転を始めたのではないかと思いました。 まったく逆さまな事が起こったのです。
先月までは550万円の多重債務で破産しそうだった私が、今では破産しそうなパロミスの債権者になっているのです。
「 700万円 」と聞いた私は‥‥ 突然、ド貧乏からリッチに!
私の身体がアスファルトから2~3センチほど浮いている様な‥‥ そんな気分になったのを覚えています。
そして‥‥ 池袋西口の喧騒と6月の日差しの中を歩く私は‥‥‥‥
笑いをこらえるのに必死だったのです‥‥‥‥
漫画家アシスタント物語 血豆の教訓
『 みんなで入れば怖くない、お化け屋敷と弁護士事務所。 』

その44
《 漫画家アシスタントが・・・借金地獄について論説する!? 》
世の中では、破産者は半端者、卑怯者として後ろ指を指す人は珍しくありません。
また、そうした人間( 破産者 )の発言や表情さえ薄汚れたものとして軽蔑されさえするのです。
商店主から生活困窮者まで事情は色々ですが、高い利息を何年、何十年と真面目に収めてきたのに誰からも信用されぬまま( 低利息の借り換えができないまま )破産へ落ち込んで行きます。
漫画家アシスタントだって破産もあれば夜逃げもあります。
今日は、少しこの問題について考えてみたいと思います‥‥
前回、700万円の利息の過払いがあったと弁護士から連絡を受けた話を書きましたが、その話の流れを止めてしまう事をご勘弁下さい。
このブログを読んてくれている多くの読者の方には、「 引き直し計算 」( ※参照 )で借金がなくなる事は理解しにくい事と思いますが( 中には、借金の踏み倒しだと思われる方も ) ‥‥‥‥
「 過払い利息の返還 」とは、つまり、存在しない利息を払い続けていたという法的解釈の事なのです。
これは、おつりを払い過ぎていたのを、後になってからそのおつりを返してもらうのと同じ理屈です。
仮に、もし‥‥ おつりを多く貰った時に、相手が間違えている事を知っているにも関わらず、黙って多いおつりを懐へ入れたら軽犯罪法違反になります。( 落し物の現金をネコババするのと同じです )
高金利のサラ金業者が、「利息制限法」で法定金利が20%である事を知らないはずはないので、「 利息制限法を知りませんでした 」なんて言い訳は裁判では通らない。つまり、過払い利息の返還を請求されたら返さざるを得ないわけです。
ただし、過払い請求すれば、日本の全金融機関を敵にまわす事になりますから、事実上、5~10年の間は一切のローン( 住宅ローンも自動車ローンも )、カード類の発行も一部の例外を除いて全て拒絶されます。( 個人信用情報に記録されます )
違法な高利を払いつづけても泣き寝入りする客だけが「 良いお客様 」で、訴訟なんかする「 ゴミ 」とは一切、取引しない。 それが、日本の全金融機関の一致したスタンスである事は、付け加えておきたいと思います。
私が総額550万円の借金に至る26年間にただの一度も遅れずに支払った利息の総額は‥‥‥‥ 約1500万円( 半分以上はサラ金の分 )。まさに利息を払うために生きたアシスタント人生だったと言えます。
しかし、今から考えると利息1500万円払っても元本が減るどころか増え続けたのですから高金利( 20~30% )の恐ろしさを少しはご理解いただけたかと思います。
もっと分かりやすく書かかせていただければ‥‥‥‥
住宅ローンの場合だったら‥‥
2000万( 変動金利2% )の借り入れは、毎月約7万円( ボーナス0 )の返済で35年後に完済できます。
自動車ローンの場合だと‥‥
400万円( 金利2% )( 例:メルセデスベンツC-200 BEL )なら、毎月約7万円で5年後に完済です。
しかし‥‥‥‥
サラ金( 1990年以前 )の場合、200万円( 金利36% )の借り入れで、毎月約7万円( 利息のみ )を1000年、支払っても理論上、元本の200万円は1円も減りません。
つまり、「 低利 」と「 高利 」は数字の違いでなくて、質的な変化が起こるという事なのです。「 多いか少ないか 」ではなく、「 天国か地獄 」が出現するのです。
返済できない人間に、わざと高利の金を貸すのは、その人間を生涯奴隷として搾取するためです。
さて‥‥
繰り返しになりますが‥‥‥‥
「 過払い金が700万あるんですよ! 」( 20%の利息と借りたお金を全て返済した残金 )
そう、下利弁護士から聞いた時には、ちょっと信じられない様な‥‥ 本当にキツネにでも騙されているのではないといった不思議な気分でした。
「 過払い請求 」という事は、つまり‥‥ パロミスが私に借金がある事になるわけです。
これは、私が破産寸前なのではなく、パロミスが破産寸前になったのです。
あっという間に、私は債務者から債権者になってしまいました。 天地が逆転した様なものです。
ただ‥‥
その日の夜‥‥ いや、深夜‥‥
私が心配したのは‥‥‥‥
『 700万円も臨時収入があるという事は‥‥ こりゃ、税金が大変なんじゃないか‥‥? 』
という心配でした。
深夜、私は寝床の中で寝返りをうちます‥‥ まったく眠れない‥‥‥‥
グズグズと起き出して、メールで弁護士に質問すると‥‥
翌朝、返信が届きました。 その内容は、いたって簡単で‥‥
「 元々、自分のお金が戻って来るだけなのに、なんで税金なんか払う必要があるんですか! 」
‥‥と、これまた嬉しいお言葉!
後は、弁護士に任せて毎日笑っていれば約2ヶ月後には700万が‥‥ ド~~ンと!
ドドド~~~~~ンッ!
‥‥と!
それにしても、もし、弁護士に相談する前に行った東京スッペー銀行で「 おまとめローン 」を借りられていたら‥‥ 今でも元本と利息を月々の分割返済で支払い続けていたかも知れません。
その意味では、この東京スッペー銀行が融資を断ってくれた事に感謝しなくてはならないのでしょう。
さて、払い過ぎた利息を返してもらうのは簡単ではありません。 多くの場合は訴訟という手段をとります。
ちなみに、訴訟費用は返還されたお金の30%を弁護士に払わなくてはなりません。 これが行政書士だと20%ほどと、なぜか安いのですが‥‥ それはともかく、8月にこの支払交渉が上手くいってパロミスから過払い利息を返還するとの回答がありました。
しかし、パロミス側から支払いを少し待ってほしいとの条件があり‥‥( 立場が完全に逆転! ちなみに私は延滞なんかした事ない! )、さらに2ヶ月の間、私は棚から落ちてくるボタ餅を、現金を、ウハウハと口を大きく空けながら、C調( 1960年代の流行語、イ~加減の意 )に暮らしたわけです。
‥‥‥‥めでたし、めでたし。
次回は、いよいよ現金が!
‥‥‥‥札束くん、登場!
「 漫画家アシスタント物語 第8章〈23〉」へつづく・・・・
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「もくじ」 へ‥‥
~~~ 参照 ・第8章〈22〉 ~~~ ( 読んでも、読まなくても!)
【その43】
・女の子 : お店には常時3~5人のマッサージ師が待機。1日に1~3人のお客さんを施術。全員がタイ人女性でタイマッサージ学校を卒業している。ほとんどの方が、日本人と結婚、就労の出来る在日ビザを持っている。
【その44】
・引き直し計算 : 高金利で支払った過去の返済金額を、利息制限法(上限金利20%)に基づいて計算し直す事。
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