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漫画家アシスタント物語 古い話で章〈4〉 原稿運びは、楽しい毎日!

 
《 画像上:豊島区椎名町の駅近くの住宅街。千早町からジョージ先生の仕事場がある中落合まで、こんな風景の中をテラさんは、歩いて原稿を運んでいました。当時の古い町並みは新しい住宅に替わっています。2008年撮影 》
          < この「古い話で章〈4〉」は、文庫本約6ページ分 >

 
 
  
「古い話で章」は、独立した「章」ですので、「諦めま章」の続きではありません。 無料で、各話、お楽しみいただけます!
 
ただし‥‥ 各話が連続していますので、
「古い話で章〈1〉」から読みいただく方がよろしいかと思います。
 
はじめての方は、
「マガジン:第1章、第2章」(無料)がお薦めです!
 
 
 
さて‥‥ 本文の前に‥‥ ここで‥‥‥‥
 

「漫画家アシスタント物語 第4章」のマガジンをご購入いただいた方の記事を紹介させてください。

ちゃーちさん ‥‥‥‥‥‥ ありがとうございました!
以下の記事が、ちゃーちさんのnoteホームページです‥‥‥‥

 
 
 
               その7

    《 漫画家アシスタントが・・・電話番をする!? 》

テラさんは、毎日、アシスタントが仕上げた原稿を先生の仕事場へと運ぶために、豊島区の千早町から、新宿区の中落合までテクテク徒歩で往復していました。

完成原稿をジョージ先生に渡し、先生からキャラクターの入った原稿を受け取って、先輩アシスタントが待っている千早町のアパートへ向かうのです。 

しかし、先生が人物を描いている時は、仕事部屋の隣で待機しなくてはならない事がよくありました。

朝、一番に先生の仕事場を訪ねるのはテラさんでした。 編集部からの電話などの応対も自然とテラさんがやっていました。

たまに、朝10時に電話を受け取った時など‥‥‥‥

「 週刊○○の者ですが‥‥ 先生の仕事はどうでしょうか? 」( 締め切りを心配する編集員 )

「 あ‥‥ はい‥‥‥‥ まだ、先生来てないです 」

「 えええっ まだぁ? しょ、しょ~がね~~なぁ~~~ 」

などといった会話が朝からあったりしたそうです。

ある時、変な電話がありました‥‥

「 アキウマ君、いますか? 」

テラさんは、聞いた事のない名前に『 間違い電話かな? 』と思いつつ‥‥

「 え‥‥? ‥‥アキ‥‥‥‥ ウ‥‥ マ‥‥? 」

「 アキウマ君、いますか? 」

隣の部屋で仕事をするジョージ先生が、電話口で戸惑っているテラさんに顔を向ける‥‥‥‥

「 先生、アキウマ君って言ってますけど? 」

「 あ、俺ぃだ 」

後で分かるのですが、この電話は、ジョージ先生の師匠にあたる森田拳次先生( 1960年代に少年マガジン「丸出ダメ夫」がヒット、テレビドラマ化されて話題に、1970年頃に渡米 )だったのです。

森田先生は、アシスタント時代から顔の長かった先生( ジョージ秋山 )の事を「 アキウマ君 」と呼んでいたそうです。

それにしても、弟子がすっかり売れっ子の有名人になっていても、青年時代の愛嬌のあるあだ名で呼ぶあたりが、いかにも森田先生らしいところなのかも知れません。

ただ、この当時の森田先生は、日本の漫画界を去ってアメリカで一コマ漫画で初歩からスタートするという「 冒険 」をした時期で、ジョージ先生と森田先生が呑気な会話をしていたとは思えませんが‥‥‥‥ 今となっては、その内容を推し量る事もできません‥‥‥‥。

 
 
 
 


目白通りのイチョウ並木。落ち葉を掃除する事を考えると憂鬱ですが、この上を歩くだけなら、最高にロマンチックな気分になります。中央奥にうっすらと仕事場のあるマンションが見えます。

 
                その8

  《 漫画家アシスタントが・・・先生と二人で寿司屋に行く!? 》

アシスタントが豊島区千早町にあるアパートで、最後のページを仕上げると、その原稿を持って新宿区中落合にあるジョージ先生の仕事場へ運ぶのがテラさんの仕事でした。
 
毎日、アシスタントのアパートと先生の仕事場を何度も往復するのですが、テクテク歩いて往復4,50分かかるので大変だったそうです。

ただ、一つだけ嬉しい事があって‥‥‥‥ それは、この仕上がった最後の原稿用紙を先生に届けると‥‥‥‥

「 コーヒーでも飲むか? 」
‥‥などと誘われる事があるからです。
 
たまには‥‥
 
「 一杯やるか? 」
‥‥とか、
 
「 すしでも食うか? 」
‥‥などと誘ってくれる事があります。
 
その事が、とても嬉しかったそうです。

仕事場近くの喫茶店や寿司店で軽くお喋りしながら先生と差し向かいで話せる事の喜びをどう表現したらよいかわかりませんが‥‥‥‥
 
今でも練馬区石神井町に暮らすテラさんは‥‥‥‥
 
「 個人的に先生とサシで喋った時間は、俺が一番長いと思うよ 」
 
‥‥‥‥と、自慢するのです。 嬉しそうに話すテラさんの顔に全てが表れている感じです。( 40年以上も前の事なのに、ホントに嬉しそうです )
 
ただ‥‥‥‥‥‥
 
「 どんな話をしたか教えて下さい! 」

私は、きっと‥‥‥‥ 禅問答のような難しい話や漫画制作の秘訣でも教わったのではないかと期待すると‥‥‥‥‥‥

「 ん~~~~ 」
‥‥と、考え込んで‥‥‥‥

「 あんまり~覚えてね~ンだよなぁ~~ 」
それでも、ガッカリしている私を憐れむように‥‥‥‥
 
「 よく小説や映画の話をしてくれたよ 」
 
ジョージ先生は、小説や映画をよく覚えていて、その中の登場人物やセリフについて詳しく解説してくれたそうです。

「 小説を読めよ~、『 人生劇場 』なんか凄いぞぉ‥‥ それに、世界文学もいっぱい読んで勉強しろよ! 」

などと、本といえば漫画本しか読んだことのなかったテラさんに小説や映画に触れる事の大切さを説いたわけです。

もちろん、こうして先生と仕事の後で話せる事は、他のスタッフも知っていますから、時には‥‥‥‥
 
「 今日は、俺が原稿を届けるよ! 」
‥‥と、先輩アシスタントが名乗りを上げる事があったそうです‥‥

しかし‥‥
 
「 いや、これは俺の仕事ですから 」
‥‥と、キッパリ断って、誰にもこの完成原稿の配達を譲りませんでした。
 
他のアシスタントにとっては羨ましい話だったと思いますが‥‥‥‥ あくまで、この原稿運びを誰にも譲らないあたりが、後輩とはいえ、テラさんもしっかりしています。

それでも‥‥ 毎日、アパートと先生の仕事場を4回報復するのは大変です。

歩くよりも自転車を使った方が効率が良いのではないか‥‥‥‥ そう考えたテラさんが先生に進言して自転車を買ってもらうのですが‥‥‥‥
 
その自転車の車輪に原稿がからまってグシャグシャになる‥‥‥‥ 話は次回に‥‥‥‥!

 
 
 
 
     「 漫画家アシスタント物語 古い話で章〈5〉」へつづく・・・・
                  「古い話で章〈3〉」へもどる‥‥
                        「もくじ」 へ‥‥
 
 
 
  
 
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