漫画家アシスタント移住物語 18 蟹工船の船上を表現する!
《 写真上:タイ北部、メサローンの「チュイフォンカフェ」。一面の茶畑に囲まれた丘の上に立つ素敵なカフェ。さすがに凄い人気です。 2022年11月 》
お薦め:古いですが「漫画家アシスタント物語・エントランス」もどうぞ!








こりゃタイ編 その18
2008年に文庫本になった私の「 覇王の船 」( 別冊ヤングジャンプにて100p文芸シリーズとして掲載 )という作品が2017年にDomix( 漫画に声優さんの声をのせて一コマづつ映像化 )によってライブモーションコミックとして公開されたのです・・・・・・
その当時( 2013年頃 )、「 YouTube 」に公開された映像が今でも「 生きて 」いるのを発見したので、ここに改めて紹介したいと思います。( 今回は、この「 覇王の船 」音声収録についてのお話です )
ちなみに、この「 YouTube 」の動画は閲覧数100程度( 2025年現在、閲覧数300、『いいね』は、7個! )で、いつ消えてなくなるか分かりませんので、興味のある方は、お早めにご鑑賞下さい・・・・・
リンクは、本編のラストに貼っておきます。



劇画「覇王の船」をyoutube動画に収録するため、モーションコミックのアテレコ作業に入ったわけですが‥‥ 実は、私もそこへ‥‥
2013年6月の声優さんたちの配役決定や、8月のスタジオ収録など楽しい作業に立ち会えました。
まず・・・・・・
渋谷にあったメディア関係の専門学校( 現在はありません )で、数人の声優さん( 学校でアニメの声優学習をしている学生さん )たちに、どの役をやってもらうかを決める作業から‥‥
構成、演出を担当してくれる樹崎聖氏( ‘09年、月刊アフタヌーンで「 ZOMBIEMEN 」連載、漫画家、演出家、プロデューサー )が、予め出演者の候補を絞り込んでくれていました。
声優さんたちは、さすがに声の出し方や演技の練習を毎日されているだけあって、素人目には圧倒されるばかりです。
ちなみに・・・・・・
奴隷船である蟹工船の怖い漁場監督( 主役 )・・・・・・この役を演じるのは、とても難しかったと思います。
私は、この漁場監督の言葉に「 やれッチ 」とか「 てめェッチ 」などと変則的な言い回しを設定したのですが・・・・・・
声優さんたちからすると、こうした言葉遣いに違和感があるらしく・・・・・・
「 イエス先生、これどこの方言なんですか? 」
別の学生さんは、蟹工船のイメージから・・・・・・
「 東北や北海道の言葉なんですか? 」
私は、「 雰囲気 」です・・・・なんてホントの事は言えないので・・・・・・
「 と・・・・ 特異な・・・・・・・ 人物ですので、特定の地域の言葉というわけではなく・・・・・・ 」
・・・・などと、返答に冷や汗をかいたものです。
2013年、9月、いよいよ収録が始まります。
私は、友人である創作童話作家の羽さん( 仮名:羽田ヒロ、‘13年当時57歳、創作絵本作家 )と一緒に渋谷にある録音スタジオへ向かいました・・・・・・
数人のアテレコを学ぶ声優志望の学生さんたちが収録ルームで待っていてくれました。
挨拶もそこそこにさっそく収録です・・・・・・
私の「 覇王の船 」がシナリオになって、各声優さんに配られています。
ゲストの私と、友人の羽さんも一緒に防音室へ入ります・・・・・・なれない設備にすっかり緊張しっぱなしですが、さすがに声優を目指す学生さんたちは、日々練習しているので落ち着いています。
椅子に掛けて見ているだけなのに、映画でも見ている様なワクワク感があって、喉が渇いてきます。
『 ・・・・よく訓練されているなぁ・・・・・・ 喋りが明瞭で力強い・・・・・ 』
場面が蟹工船の甲板上でのやり取りになった時、私は奇妙な事に気が付きました・・・・・・
残酷な漁場監督と、その部下である監視員たちの会話なのですが・・・・・・
ある学生が一人だけ、収音マイクから少し離れていたのです。
シーンの変わり目で、録音が休止している時・・・・・・私は、彼にもっとマイクに近づいた方が良いのではないかと声をかけました。
すると彼は、ごく自然に・・・・ 当然の事の様に・・・・・・
「 船の大きさからして・・・・甲板も広いと思ったんです。そこで、甲板上の広さと、他の人物たちとの距離感を出すために、わざとマイクから少し離れていました。 」
音声だけで状況を表現する工夫を彼らなりに、考えながら収録しているわけです。( 時に、うつむいたり、肩で息をしたり・・・ )
私は、一生懸命に演技する彼らに感心しながら収録を見つめていました。
物語はクライマックスを迎えるまで、収録はスムーズに進みました・・・・・・
ところが・・・・・・
私が想像もしない出来事が起こります・・・・・・
「 先生‥‥ 」
「 ‥‥はい?」
「 先生もやってみませんか? 」
「 はぁ‥‥? 」
「 船長の役、やって下さい 」
蟹工船上では、労働者たちがストライキを起こし、漁場監督たちと闘うシーンになるのですが、そこへ船長が登場するのです・・・・・・
私は、声優の勉強を毎日続けている彼等の様には演技出来ないし、まったく経験のない事をやって、今日の仕事を台無しにしてしまう事を恐れて固辞しました。
その代わり、群衆が騒ぐシーンなど数ヵ所のシーンで、私と童話作家の羽さんも特別出演する事になりました。
「 わ~、わ~ 」とか、「 やめろ~ 」とか、「 ストライキだ~ 」とか・・・・・・
・・・・・・マイクから少し離れた位置で騒いだのでした。
とても楽しい収録作業でした。
こんな風に、映画やアニメの制作現場が楽しいものなのかどうかは分かりませんが・・・・・・
その緊張感と、演技への集中、テーマへの肉迫、生き生きとした現場の活気・・・・・・・ どれもが、貴重な体験になりました。
でも・・・・・・
演出、プロデューサーの樹崎氏が一番喜んでる感じではありましたが・・・・・・
「 監督業 」って、一度やったら止められないかもですね。
《 2022年12月:ブログ公開 》
「蟹工船・覇王の船」(作、小林多喜二、脚色作画、イエス小池、構成演出、樹崎聖・Domix、) 漫画100ページ、モーションコミック30分もある動画です。 youtubeの都合で削除されてたら、ゴメンね!
「こりゃタイ編 その19」 へつづく・・・・
「その17」 へもどる‥‥
「もくじ・こりゃタイ編」へ‥‥
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