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【マンガ原作】『#0〈コードネーム・ゼロ〉』「スピンオフ・水沼の夏」

※トビラ画面
夜。タクシーを運転している…警視庁公安部・水沼警部補(31)、タクシ―会社の制服制帽姿。水沼の視線の先にヘルメット姿の中年男が運転する原付バイク。

タイトル、字幕かぶせて。
タイトル『#0〈コードネーム・ゼロ〉』    
    「スピンオフ・水沼の夏」

字幕⦅警視庁公安部・水沼警部補のある夏の夜の出来事…⦆

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東京・四谷あたりー
深夜。交通量が少ない道路。
字幕⦅1994年(平成6年)・夏ー⦆
夜の闇を走る原付バイク。原付バイクを運転する中年男性、調査対象者…コードネーム・B。
交差点を曲がる原付バイク。
声("B"…四谷駅前右折)
原付バイクの数メートル後方にタクシー、(回送)の表示。
タクシー車内。原付バイクを追う男の眼。
運転する、タクシー会社の制服制帽姿の水沼。ハンドルを握る手には白い手袋。
水沼「どーせまた、例の"おねーちゃん"の家だ…」
  「お前…先回りして"おねーちゃん"の所で張ってろ」
耳の小型無線機のイヤホンから声。
声(了解…追い抜きます)
タクシーの後ろから、荷台に"バイク便"のロゴが入ったボックスを積む中型バイク。
中型バイクを運転する、ヘルメット姿の…警視庁公安部・近藤巡査部長(27)。
横からのアングルで、タクシーとバイクが重なり、バイクがタクシーを追い抜く。
後からのアングル…水沼の視点。中型バイクが前を行く原付バイクに追い付き、やがて追い越す。
中型バイクのバックミラーに、原付バイクが映し出される。
近藤の声("B"…今日も飲酒運転ですね)
タクシー車内の水沼、苦笑。
水沼「交通課じゃねえんだ…目ぇつぶれや」
近藤の声(わかってますよ)
水沼「…その先、坂道のカーブだ」
  「おめえも安全運転でな…」
近藤の声(了解…)

闇を走る原付バイク。
追尾するタクシ―車内の水沼。
原付バイク前方、緩やかな坂道。
原付バイクのハンドル、アクセル全開にする右手。
加速する原付バイク。
タクシー車内の水沼。
原付バイク前方、カーブ。
原付バイクを運転するヘルメット姿のB。
水沼の眼。
加速するバイク。
タクシーの水沼。
ヘルメット姿のB。
タクシー車内の水沼、目を見開く。
水沼「…!」
原付バイク、カーブを曲がり切れずガードレールに激突。
スローモーションのように道路に投げ出されるB、ヘルメットが転がる。
慌ててブレーキを踏む水沼。
事故現場後方で停車するタクシー。
タクシー車内、水沼。
水沼「おい離脱しろ…本部で待機」
近藤の声(どうしました?)
水沼「…"B"が、事故った……」
近藤の声(オレもそこまで戻ります!)
水沼「来るな…オレたちは陰の存在だ」
近藤の声("B"のファンなんです)
水沼「関係ねえ」
  「いいから…オレに任せろ」
近藤の声(…了解)
携帯電話を取り出す水沼、119番。
電話の声(火事ですか…救急ですか?)
水沼「交通事故です、新宿区安鎮坂…」
電話の声(通報者のお名前は?)
水沼「…!?」
水沼、一瞬躊躇して。
水沼「…き、北野です」
電話の声(すぐに向かいます)
電話を切る水沼。車から降りて、事故現場に走る。
バラバラに散らばる原付バイクの破片。
転がっているヘルメット。うつ伏せに倒れているB、頭部からは夥しい量の血。
駆け寄る水沼。
水沼「だ、大丈夫ですか…?」
B、うめき声…。
B「う…ううっ」
水沼の声(…生きている!)
水沼、携帯電話を取り出して番号をプッシュ。
水沼「"B"が…事故りました……」
携帯の声(…)
水沼「救急は通報済み…"会社"にはまだ」
携帯の声(了解…すぐに離脱)
水沼「かなりの重傷です!」
携帯の声(離脱せよ…)
水沼「…」
携帯の声(…痕跡は、何ひとつ残さないように)
水沼「り、了解…」
電話が切れる。
水沼、タクシーに戻り後部トランクを開け、手袋をした手で三角表示板を取り出す。
携帯の声が甦る。
携帯の声(痕跡は、何ひとつ残さないように…)
事故現場に戻り、Bの傍らに三角表示板を設置する。
水沼の声(知るかよ…後続に轢かれたらどーすんだ!)
遠くから救急車のサイレンが聴こえてくる。《ピーポーピーポー!》
水沼「…!?」
慌ててタクシーに戻る水沼。事故現場を振り向いて。
水沼の声(し、死ぬなよっ…!)
発進するタクシー。
車内の水沼。タクシーのバックミラーに赤色灯の光。

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東京・霞が関ー
警視庁本部庁舎、外観。
本部庁舎一室。
字幕⦅警視庁公安部公安総務課⦆
公安総務課課長・青木警視正と水沼。
青木「良かったなあ…沼さん」
  「"B"は一命を取り留めたようだ」
水沼「…」
青木「事故当時の記憶はないものの…」
  「脳にはほとんどダメージがないそうだ」
水沼「ほお~…」
青木「…だが、芸能界は引退だろうな」
  「顔半分は、原型を留めてないらしい」
水沼「…」
青木「それにしても…事故を起こした本人と」 
  「通報者の苗字が、偶然同じとはな…」
水沼「…!」
青木「"我が社"と取引きのある大手芸能プロダクションに」
  「第一発見者の依頼を発注したよ…」
  「…後始末も、骨が折れますなあ」
水沼、苦笑して。
水沼「なぜ…"B"を」
青木「たとえ思想信条に問題はなくとも…」
  「おおよそ世の中に影響力がある人間は…すべて対象に成り得る」
  「…それが我々の仕事だ」
一礼して退室しようとする水沼。
水沼「…」
呼び止める青木。
青木「そうだ…沼さん」
振り返る水沼。
水沼「…!?」
青木、領収書を差し出して。
青木「紛失した三角表示板の代金…実費で貰える?」

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都内ホテル・記者会見場ー
交通事故を起こし、入院していたお笑いタレントの退院記者会見。
字幕⦅1994年(平成6年)・秋ー⦆
会見場に現れるタレント。
その顔は麻痺が残り大きく変形している。
一斉にカメラのフラッシュが焚かれる。
大勢の取材陣。その中に、取材パスを下げカメラを持った近藤巡査部長の姿が。

都内杉並区・阿佐ヶ谷あたりの商店街ー
歩いている水沼の内ポケットの携帯電話が鳴る。
立ち止まる水沼。道の傍らに寄り、携帯電話を取り出す。
水沼「あい…」

都内ホテル・ロビーー
記者会見終了後。取材陣でごった返すなか、近藤が携帯電話を手にしている。
近藤「近藤です」

商店街ー
水沼「…ああ」

ロビーー
近藤「記者会見、終わりました…」

商店街ー
水沼「うむ…」

ロビーー
近藤「…感動しました」
  「ダウンしたボクサーが、何度でも起ちあがり…」
  「…ファイティングポーズを取りつづけているような……」

商店街ー
水沼「…そうか」

ロビーー
近藤「そういえば水沼さん…」
  「最近見掛けませんけど…今どちらに?」

商店街ー
水沼「"会社"の人間にも言えるワケねーだろ…」
  「…それが"我が社"の掟だ」

ロビーー
近藤「うふふ…そうですね」

商店街ー
水沼「だが、ひとつだけ教えてやる…」

ロビーー
近藤「…?」

商店街ー
水沼「オレもなあ…"B"のファンだ」
  「あのひとはこのままでは終わらない…」
  「…必ず復活するはずだ!」

ロビーー
近藤「…!」

商店街ー
水沼「オレたちは…陰から見てるしかねえけどな」
水沼、《ピッ》と携帯を切り。
水沼「よし…行くぞ」
歩き出す水沼。

※ラストコマ
「はい!」
水沼の後を追う、スーツ姿の…彼末大輔巡査。

『#0〈コードネーム・ゼロ〉』「スピンオフ・水沼の夏」END

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